第32話 初心者ダンジョン・1
・初心者ダンジョン1階層
聞いていた通り階段を降りた先は3方向に分かれている、そして情報通り左右の道には監視役兼通行妨害の人員が各2名ずつ配置されている。
左右共にボク達を牽制するのと値踏みするような視線で見てくる、ここに歳の行った大人が混ざるとイヤラシい眼で視姦してくる、ふっまだまだだな少年達よ。
関わるのも面倒なので無視をして先に進む、因縁でも付けてくるのかと思ったが大人しく目で追ってくる程度だ、気配を消して奇襲を掛ける訳でもなく、仲間を呼んで集団で襲う訳でもない。
・・・君ら本当に冒険者か? おっと前世の世紀末的な世界での自称冒険者達を思い出してしまった、あの時は酷かった。
前世の思い出に苦笑しながら進むとまた横道2本発見! やはり見張り付き・・・おっ今度は右側が女の子2名だ、でもやっぱり無視かな関係ないしって、前方に感あり! モンスターだ!
ボクはスチールツリーの短槍を構える、こちらの反応に見張りの子達も身構える、でもこれはボクの獲物だから手を出すとお仕置きしちゃうよ。
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名前 無し
Lv 1
種族 ダンジョンマウス
性別 無し
筋力 G
体力 G
器用 G
速力 G
知力 G
魔力 G
幸運 G
スキル
〈種族スキル〉
・噛み付く
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ははっ、おっといけない。
バスケットボール程の丸々としたマウス型のモンスター、ハッキリ言って弱い・・・手加減出来るかな?
こちらを確認すると勢い良く突進してくるが凄く遅いです、短槍を下方に構えてからすくい上げるように切り上げる!
・・・サックと中心から真っ二つになってしまった、綺麗に割れた断面から血が流れ臓物が溢れる、そして淡い光を放つ。
ダンジョン案内の冊子にはこの状態で解体スキル持ちが手順良く綺麗に解体すると、ドロップ以外で素材として残りらしい。
あっ魔石みっけ、解体用ナイフを取り出し魔石のみ取り出す、取り出した魔石は発光が消えた、そのままに消えることなく留まるようだ。
それからボクは知的好奇心からダンジョンマウスの断面を弄りながら調べる、後ろで様子を窺っている連中はその光景に若干引いていた、君達冒険者なんだから解体出来ないとやっていけないよ?
結果としてハッキリとは言えないがダンジョンが外のモンスターを模倣したモノではないかと思えた、まずは生殖器が無い、次に消化器官に内容物が無い、そして突然現れる、先程索敵に突然反応があった、つまり突如あの場所にリポップしたという事だ。
そんな考察をしていると発光の状態から光の粒子となって弾けその場に魔石と長方形の肉ブロックがドロップした。
・・・魔石は分かるが、ブロック肉? 持ち上げると長さ10㎝・横幅5㎝・高さ5㎝の特殊なフィルム?のような物に包まれたダンジョンマウスの生肉ブロック、鑑定でもそう表示されている。
取り敢えず後で調理して食べてみようと大籠に肉ブロックを押し込み先へ進む、後ろで何やらコソコソとしているが敵意がないので無視だ。
初心者ダンジョン一階層って意外と広いな、空間把握で一階層全体を調べたが、中央の直線通路を主体に左右対称の横道がいくつか延びており、道なりに進むとT字路に突き当たりそのまま道なりに進むと、入口か2階層の階段へと辿り着く。
今回2度目のエンカウント、遭遇率悪いな? それとも周囲で刈り尽くしているにか?
今回は真っ二つにしないように仕留めよう、解体するとどんな風になるのかが気になるからね。
今回は手前の通路から覗き見ているギャラリーがいるが無視しよう、今はいかに手加減して仕留められるかが重要だ。
短槍の石突をダンジョンマウスに向け、スキル手加減を発動、狙いは頭部に絞る、全身の余計な力を抜き軽くダンジョンマウスの頭部にそえる様に置く。
“コスッ” ダンジョンマウスの頭頂部が凹むと共に淡い光を放つ・・・成功だ!!
ボクは軽いガッツポーズと共に解体用ナイフ取り出し、笑顔で解体を始める、今回は骨切り用のハサミも取り出す、血液は『生体整形魔法術式』を使用し専用の容器に流し込む、筋肉を操り収縮膨張をさせ切り口から血液を絞り出す。
次は内臓を傷つけないように切り開き、ナイフとハサミを交互に使用し内臓と魔石を取り出す、内臓は専用容器へ入れ、魔石は水魔法で綺麗に洗い魔石用の革袋に仕舞う。
皮剥や部位解体も必要かと思ったがここまで済ませると発光は消えダンジョンマウスが丸々残った。
そした足下にはダンジョンマウスのドロップ品が落ちていた。
内容は魔石・肉ブロック4・牙・ダンジョンマウス幸運のしっぽ、解体に成功するとドロップ品も良くなるみたいだ。
ドロップ品で気になったのはダンジョンマウス幸運のしっぽ、お守りとして身に着けておくとドロップ率が1%上昇する効果がある。
ドロップ品は魔石以外は各品にドロップ率が在るらしく、ダンジョンマウス肉ブロックも60%のドロップ率だそうだ、詳しく魔導眼で鑑定したら表示された。
「おいっお前! 解体スキル持っているのか? だったら俺様がリーダーに口利きをしてやるから俺達のパーティーに入れてやる」
はぁ? 何を言っているのだろうこのおデブちゃんは、見た目からしてもスラムからではなく、街のそれなりに裕福な家の出身でしょう。
でなければあれだけ丸々と太っていて、革鎧はサイズが合って無く肉がパンパンにはみ出ているのは、十分に食わせては貰ってはいるが、サイズを合わせた防具まで用意して貰えなるだけの経済力はない家庭と推察する。
もしくは必要以上の食うから追い出された? う~ん、ボクには関係ないから無視で良いかな。
「おい! 聞いてるのか! リーダーに合わせてやるからこっちに来い!」
そう言いながらおデブ君がボクの腕を乱暴に掴もうと手を伸ばしてきたので軽く“パン!”と払った。
「ボクに触れるな!」
少々凄みながらおデブ君を睨む。
「は? へ? い、いでぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~!!!!」
払われた手を抱えて泣き叫ぶおデブ君、その場にしゃがみ込み泣き続ける、ダンジョン内に響く泣き声が五月蠅かったので思わず。
「五月蠅い! 男が腕の一本や二本でガタガタ泣くな! ポーションでも回復魔法でも使って回復しろ! さあ! ハリー! ハリー! ハリー! ハリー! ハリー! ハリー! ハリー!」
「ひっ、た、たすけて、ゆるして! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
「ちっ! 興が冷めた! 今度から気を付けろ!!」
子悪党みたいな捨て台詞を残してボクはその場から去ることにする・・・ある程度まで離れると進む速度を上げて2階層階段まで急ぎ移動する。
途中でダンジョンマウス2度遭遇したが、移動しながら頭を鷲掴みにし頭蓋を砕いて高速で解体とドロップ回収を済ませ2階層へと降りた。
手加減したはずなのに力加減に失敗した、骨の一部が砕けていた。
おっかしいなぁ?
もう少しスキル手加減を鍛えておこうと、ボクは前向きに考えながら2階層へと到着した。
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