第26話 ハーレムは本当に男の夢?


 ふん♩ ふん♪ ふん♫ ネコのフン!


 適当な鼻歌を歌いつつ人攫いの隠れ家を物色中のボクはナイヤ。


 大したお宝は見つからなかった、多少の金品と武具、マジックアイテムも良くある既存の物、あっでも5㎥の容量が入るマジックバッグが3個見つけた、人攫いにしては良い物を持っている、まず2個には雑多な品が入っていただけだったけれど、1個はデザインや作りがしっかりとした高級品で中身も高価な金品が入っていた、ウホボスのへそくりだろうか?巧妙に隠してあったし。


 まあでも、ボクのブサカワ猫ポーチにはデザインでも内容量(100㎥)でも負けているけどね。


 物色していて分かったことは、この人攫いは南の隣国に雇われた工作員らしいという事と、捕らわれている4人の内3人と掘られた雄っぱいはCランクの冒険者らしい。


 冒険者ギルド証の他に南の隣国メシャーラの特殊身分証と貴族からの命令書を見つけた。


 ・・・面倒くせぇ・・・いっその事彼らに手柄厄介事渡して押し付けてしまおうかな。


 ヨシ! 彼らの態度次第で名誉と実績を渡し、ボクは金品を貰う、本来であれば今回の拾得物は全てボクの物だけれど、今回に限っては彼らの装備と最低限の荷物は返してあげよう。


 あれ? Cランクの冒険者・・・もしかしてマジックバッグの一個は彼らのか?


 一応頭の片隅にでも入れておこう、ウホボスの部屋に鍵束があったので拝借して4人がいる収容場所へ向かう。


 収容場所には4人の女性がほぼ全裸で閉じ込められていた、収容場所も岩場をくり抜き入り口に鉄格子を取り付けただけの簡素な牢屋だった。


 彼女達はボクには気付かずに寄り添いながら寝床のワラの上に身を固めていた。


 3人は雰囲気で冒険者と分かる、残った1人は別枠なのかめそめそと愚図っている。


 先ずは接触を図ってみる、Cランク冒険者なのだからこの状況で騒ぐことは無いだろう。


 鉄格子の間に小石を投げ入れる、異変に気付いた彼女らに先ずは話しかける。


「騒ぐな、先ずはこちらの話を聞け、騒ぐようなら見捨てる、言ってる意味が分かるな」


「え! た、たすk「黙って! 指示に従いなさい!」・・・う、ごめんなさい」


 慌てて声を上げる泣いていた女性を制して筋肉質の女性が低い声で黙らせたのちに此方に話しの続きを促せる。


「話を聞くようだなよろしい、先ずはコレを渡しておく」


 そう言って3人分の冒険者ギルド証を牢屋に投げ込む、ボクは出来るだけ暗闇で見えないようにして話を続ける、隠密状態でも認識されると此方の姿が見えることがあるから、認識阻害の使用しつつ相手の視界にボクが映り込まないように心がける。


「現在この洞窟内の人攫いは無力化してある、君達以外のもう1人男性を保護しベッドで休ませていr「バサラ! バサラは無事なのか!」・・・暴行は受けているが命には別状無い、最低限の治療は施してある」


 ボクの説明を金髪ロングがさえぎり、バサラ雄っぱいと呼ばれる男の安否を聞いてきたので最低限の処置はしていると伝える。


「君達はパーティーかい?」


「ええそうよ、Cランクパーティー『エターナルブレイブ』よ! リーダーは貴方が保護したバサラ、メンバーは私達3人・・・私達が人質として捕えられたから抵抗が出来なくて言いなりになるしか無かったの、でも無事で良かった、ほんとうによかった」


 最後は涙ぐむように答える、筋肉質の彼女。


「ちっ、ハーレムパーティーか」


・・・静かな沈黙がしばし流れ。


「ち、ちがうの! ハーレムとかじゃ無くて、みんなバサラに恩があって、わたしもその、あの、そう手の掛かる弟みたいな存在で・・・・・」


 慌てていらん事まで話し出す筋肉質乙女に便乗して金髪ロングも話しに加わる。


 ・・・ボクは何を聞かされているのだろう、何故か2人は恋バナを始める、筋肉質乙女を揶揄うように自分はバサラ雄っぱいが好きだと話す金髪ロング、耳をピクピクとさせながらも此方を警戒しているケモミミ黒髪少女、さっきまでの泣き顔はどこえやら恋バナに興味津々の緑髪の少女、そして彼女等に共通していえるのが〇っぱいが大きい!


 バサラ雄っぱい君の趣味かな? もいでおけば良かった。


 前世でもハーレムの経験はある、男女両方で男の時は巻き込まれるように女性が増えていき、何故か彼女等は協力結託して逃げ道を塞いでいかれハーレムが出来上がっていた。


 女性の時は百合ハーレムが多かった、相手が男の時は手込めにしようと襲われる事が多数あったが全て返り討ちにした。


 女性体に転生してもどうも男に対して一部を除き忌避感がある。


 盛り上がる恋バナに飽きてきたので、置いていく物を置いてその場を退散しようと気配を消し始めた途端に、ケモミミ黒髪が恋バナを中断させる。


「2人ともそこまでにして! 気配が消えた! 呆れて帰ったかもしれない!」


 ・・・まだ此方が居る事は微かに分かってはいるようだが、今後も話が脱線しないように脅して釘を刺したようだ、彼女は斥候の役目も担っているのかな。


 彼女の警告に慌てる3人・・・だかっらて大声で叫ぶなアホ娘共。


「「「ごめんなさい」」」


 低い小声で説教と嫌み、バサラのナニをモギルぞと言ったら。


「「「「やめて!」」」」


 今度は4人揃って声を上げたのち、顔を真っ赤にしてうつむいた。


 ・・・こんなに慕われているのか、新たな扉・・・開いていないと良いな。


 いい加減茶番にも飽きたので本題を切り出す。


・人攫い集団は既に壊滅している、この洞窟内は今の所は安全。

・バサラは肉体的暴行と疲労、精神的苦痛?でお休み中。

・彼、彼女等の装備と荷物(マジックバッグの1個が彼らの持ち物だった)は条件付きで返す。

・今回の人攫い討伐とウホボス捕縛の報告を「エターナルブレイブ」が全て請け負う、拒否は受け付けない。

・ボクに関する事を詮索しない周囲に話さない。


 承諾するのであれば装備に荷物、着替えに治療ポーションを牢屋の鍵と一緒に鉄格子の前に置いていく。


 しかし即決では承諾はされず、しばらく話し合う事となった。


 彼女等の主張は、いくら何でも自分達に利益がありすぎる、せめて街でお礼がしたい。


 ボクの主張は、貰う物は人攫いのお宝から頂いている、現状厄介事に関わりたくない、面倒を押し付けていくのだからお礼はいらない、恩を感じているのなら気分良く関わらないで欲しい。


 ボクは訳有り感を出し突っぱねる、彼女達も思惑があり縁を結ぼうとする。


 ・・・面倒くせぇ! ちょっと感情的になったボクは4人に睡眠魔法を使用し1時間は目を覚まさないように設定し鉄格子の前に必要な物資を置き洞窟を出る事にした。


 帰り際にバサラ君とウホボスの様子を確認、ウホボスは負傷した状態で手足を拘束、バサラ君はサービスで腫れあがった肛門に治癒ポーションを突っ込んでおいた、直腸吸収で治りも早くなるだろう。

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