第19話 君の名は。
・・・困った、名付けがこんなに困難なものとは思いもしなかった、そういえば前世でも友人に「○○○ってネームセンス無いよね」と言われたことがあったな。
・・・ああそうですよ! ネームセンスありませんよ! ボクだって好きでネームセンスがないわけじゃ無い! 色々考えると拗れてしまうんだ!
はっ! そうだ、こんな事でキレていてもしょうがない。
ある人が言っていた「諦めたらそこで試合終了」だと。
初心に返ろう、先ずは姿形から・・・彼女の姿は体長2メートル程、少々汚れて灰色っぽいが恐らく白毛、見た目はスラッとしており、鹿や馬の良いとこ取りかな? 角が2本生えていて後方に真っ直ぐ伸びている、雄に比べてやや短い、尾はフサフサ。
・・・ばかむすmごべらっ! ご、ゴメンじょうだんです、頭突きをしないで、じゃあ〇〇ぴょいもだめか、痛い痛い、今度は前足で叩かないで、・・・ボクはセンスが悪いから前世のそれらしい有名所から引用したのだけれどもお気に召さなかった?
えっ、チョイスが悪い。
じゃあ今朝見た直感で、朝露、七色、白露、白風、白銀、白兎馬、白光、閃光、プリケツ、シルフィ、シルバーシップ、ウインドプラチナ、う~んいっその事寿限無みたいに全部mああああっ痛い痛いらめ噛まないで!
ぐす、ゴメンナサイボクガワルカッタデス。
じゃあ、思い付いた直感で「シャイニス」でどうですか?
・・・・・・え、いいの? ほんと? じゃ、じゃあ。
今日から君の名は「シャイニス」だ!
「ぴい!」
シャイニスは一鳴きしボクの頬へと顔をすり寄せてきた。
「よろしく、シャイニス!」
「ぴいぃ!」彼女もよろしくと返事をしてくれた。
そんなボク等を遠くで恨めしそうに眺めているシュレイトの雄達を無視しつつその場を後にした。
帰らずの森を抜け意気揚々と帰ったまでは良かったが。
「ナイヤちゃん? 貴方って子は、もう少し間を置いてからトラブルを起こして欲しかったわ」
何故か門で衛兵のおじさんに止められ、冒険者ギルドからエルナさんが身元引受人として呼ばれた。
・・・なぜ?
「不思議そうにしているけれど、知らないのは無理もないわね説明されてないでしょうし、テイマーとテイムモンスターには各国共通で決めた国際法があってね、テイマーは事前に所属するギルドから許可証を発行して貰わないといけないの。
その許可証を所持していないと新規にティムしたモンスターを街に入れることは出来ないし、すでにテイムしているモンスターでも門前で止められるのよ」
「モンスターが危険だからの措置ですか?」
「それもあるわね、でもそれよりも各国の思惑が絡んでて面倒くさいのよ、許可制にしたことで今に落ち着いたのよ」
「大変だったんですね」
「そう大変なのよ大人は、で詳細は冒険者ギルドの到着してから聞かせて貰うけれど、まずはその子をテイムモンスター預かり所に預けて保護しましょう」
「保護?」
「そう保護、すでに情報が広がっているだろうからバカ共からナイヤちゃんとその子・・・お名前聞いても良い?」
「はい、シャイニスです!」
「ぴい!」
「シャイニスちゃんね、分かったわ。
シュレイトが珍しい騎獣モンスターなのは知っている?
そう言った希少なモンスターを自己顕示の為に欲しがるバカが一定数いるのよ、イスラートは領主様が出来た御方だから他の貴族も好き勝手は出来ないけれど、バカってね必ず居るのほぼ毎日見るの、いい加減にして欲しいわ本当に!!」
「・・・もしかしてボク何かやっちゃいました?」
「ううん、ナイヤちゃんの所為じゃないのよ、今冒険者ギルドって色々あって手が回らないことがあるのよ、そういったときに限って隙間を付いて悪さをする連中がいるからね、出来ればもう少し落ち着いてから連れてきて欲しかったなって言う私の我儘よ、ごめんね愚痴を言っちゃて」
「いえ、ボクも軽率でした。
少し前にテイムスキルが生えてきたのでそんな決まりがあるなんて知りませんでした」
「・・・生えてきたのテイムスキルが、ふふっ面白い言い方ね」
「変でした?」
「いいえ、そんなことないわよ、大体の人達が習得したとか、授かったとか表現するから珍しいなと思っただけよ。
ああっと、話しが逸れたわね冒険者ギルドに騎獣専用の厩舎があるから書類関係がしっかりと揃うまで隠れていましょ、あそこは専門の職員以外は立ち入り禁止だからね」
「厳重なんですね」
「ギルド保有の希少な騎獣やテイムモンスターを飼育しているからね、ごくたまに不届き者が難癖付けて奪おうとしたり殺して素材にしようとしたりするのよ、ここ数年はないけれど」
「それって罪に問われるんじゃないですか?」
「重罪ね、でも誰も居ないときに襲われたから仕方なく殺した、被害を受けたからこのモンスターの権利は自分にあるって主張して認められた前例があるって噂があるの他の国だけれど、で模倣しようとするバカが出るわけ極希に・・・その噂すら信憑性がないのにね・・・犯行に及んだバカが皆一様にこの話を例に出すのよ、信じられる?」
「噂の裏を取らないで鵜呑みにしたと言うことですか、え?もしかしてギルド職員にそんな事する人が居るんですか」
「・・・う~ん、もう粗方炙り出したと思うのだけど、誰か気になる職員でもいた?」
「え~とエルナさんお休みの時に対応してくれた方がしきりに預金口座の開設を進めてきて、名前だけ書けば面倒な手続きはその方が全てヤルから大丈夫と胡散臭い笑顔で迫ってくるので後日考えてから前向きに検討しますと言って逃げました」
「・・・何処のドイツ様ですか! その阿呆は?」
「へっ、え、えっとアグリッピさんって方です」
「ああ、あれかぁまだ懲りてなかったのね、・・・大丈夫よナイヤちゃん、冒険者ギルドが責任を持ってしょ、注意しておくからね、それと口座開設は成人してからにしたほうが面倒な保証人が必要ないからおすすめよ」
エルナさんの笑顔が怖かったが、取り敢えず冒険者ギルドの到着し色々な手続きや途中突撃して来たバカに対する対処や便乗して不正を企んだ職員が建物奥でしばかれたりと大変な1日でしたが、無事ボクのテイムモンスターとしてシャイニスを登録することが出来た。
もちろんボクもテイマー許可証を発行して貰った。
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