第2話 アットホームな職場は意外と・・・・。


『おお、我が僕よ! 死んでしまうとは情けない!』


 暗転より目覚めた矢先にこのお言葉である、我が女神には人の心が無いのですか。


『神だからのう、それに妾は猫の女神であるから、人の心など無いのう・・・まぁ先程は少々言い過ぎた、つい一度言ってみたかったのだ、お主ならばそのまま真に受けないであろう?』


 ええ、ネタを知っていますから。


『うむうむ、お主は話が分かっていて妾も嬉しいぞ、他の達では本気にしてしまい可哀想な思いをさせてしまいかねんからな・・・それに猫以外の僕はあまりおらんのでお主はとても重宝しておる♡』


 そうおっしゃっていただけるとは感謝の極みです。


『良い良い、他のモノ達では頼めないこともお主であれば問題なくこなしてくれる、頼りにしておるぞ・・・でじゃ!

 今回の任務についてじゃが潜伏準備期間40年、実働活動期間1年じゃがようやり遂げてくれた!

 あやつ等マスコットは定期的に騒ぎを起こしてはあの世界に被害を出しておる。

 駆除しようにも様々な約定により中々手が出せぬ、今回は1年で事態を収めてくれて助かったわい、事態が長引けば長引く程にあやつ等は浸食し世界のリソースを自分たちの世界へと流し込んでいくからのう。

 4クールで終わって本当に良かった』


 まぁ、あんなおっさんが自称魔法少女中年なんて言って活動したら打ち切られますよ普通は・・・まぁ異常な世界だったから続いたけれど。


『・・・色々と約定があってな、持ち回りで管理しなければならないのじゃあの世界は、妾の番もこれで終いじゃからもう関わることは当面は無いであろう・・・もう本当に関わりたくないわ(ぼそ)』


 良かったもうあんな格好しなくて良いのですね、任務とは言え今回は転生してから40年間殆どの知識や記憶そして能力を封印した状態で生活していたから、魔法少女中年に変身した直後に全てを思い出して・・・本当に死にたくなった。


『今回の件に関しては本当に済まぬのう、マスコット害獣共に悟らされぬように念には念を入れて準備する必要があったとは言え、お主には不便を掛けた。

 アヤツ等の手違いという事にする為に裏で色々と画策するためにもお主には全く魔法少女には関係の無い一般人であってもらわなければならなかった。

 事前説明もあり、お主も了承済みではあったが何も知らない40年間は大変であったろう、更に潜在的にロリオタ気質を植え付けておいて対象(魔法少女)に自然に惹かれて接近するように仕向けてしまった、本当に済まなかったのう』


 まぁ確かに40年間独身で二十歳頃から同年代や年上の女性に対して興味も薄く、容姿も低身長の幼い感じの女性に惹かれて、二次元にはまってはいたけれども、周囲に感づかれること無く生活はしていた・・・でも結構楽しかったな。


『そんな頑張り屋のお主にはご褒美をやろうかのう。

 ほれ、ちこうよれ』

 

 そう言い、こいこいと手招きをする我が女神様、あの方はその時の気分によってお姿を変えられる。

 今のお姿は猫寄りのグラマラスな獣人形態だ、滑らかな黄金色の体毛にゆっくりと動く長い尻尾、ゆったりとした横長の豪華なソファーベッドに身体のラインがハッキリと分かる薄布のドレスで寝そべりながら私を呼ぶ・・・そうして近づくとにこりと微笑みながら私の頭を優しく撫でながら胸元へと抱きしめてくださった。


『いい子 いい子 お主は本当にいい子 自慢の僕よ よしよし♡』


 ・・・あ゛あ゛~~ぎも゛ぢぇ゛~~~~~!

 モフモフ! すりすり! パフパフ! くんかくんか! 肉球プニプニ! 〇ッパイムニムニ! 更にお褒めの言葉も頂いた! ああっ幸せだ!


 そんな幸せな時間を堪能していると耳元で囁くように語りかけられた。


『いい子のお主にお願いがあるの、戻ってきて早々済まぬが次の任務へと向かって欲しいの・・・ね、おねがい♡』


 耳元に「ふぅ~」と息を掛けながら、我が女神様お得意のナデナデテクニックにより私の答えは〈イエス・はい〉の選択肢のみとなった。


 

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