第22話リーシェ、コラボ配信する2
コラボ配信当日、私とアリスは渋谷ダンジョンのゲートの前でソワソワと待っていた。
「待たせちゃってごめんね」
「大丈夫ですの。私も今来たばかりですの」
「嘘ですよ。リーシェ様ってば、嬉しさのあまり三十分位前から待ってたんですよ」
「アリス! 余計なこと言わないでくださりますの?」
アリスが余計なこと言うからエリカさんにドン引きされたらどうしてくれますの?
「リーシェちゃんって結構可愛い処あるのね」
「エリカさんほど可愛くないですわ」
エリカさんは黒髪でエキゾチックな顔立ち。
人気があるのも当然ですわ。
何よりちゃんと実況出来る処が憧れてしまいますわ。
そんなエリカさんとコラボ出来るなんて。
始めたばかりの頃、同接ゼロだった頃を考えると感慨深いものがありますわ。
感激してる私をよそに。
「リーシェちゃん、この間は本当にありがとう!」
エリカさんが、姿勢を正して頭を下げる。
「何の話しですの?」
「何って、リーシェちゃんがいなかったら、私、二回も死んでた」
「いや、そんな。私はただ」
エリカさんのお礼に思わず萎縮してしまいますわ。
エリカさんは先輩探索者で、配信者として超有名人。エリカさんをググッて、その凄さを思い知りましたの。
私なんて、やれバーサーカーだのマジキチだの性格破綻者・・・なのですわ。
「エリカさん、そんなに遠慮する必要ありませんよ。リーシェ様はちょっとストレス発散しただけですから」
なんでアリスがそんなフォロー言いますの?
事実ですけど。
「エリカさん、むしろエリカさんのカメラに映らせて頂いたのでリーシェ様はここまで来れたのですから、感謝するのはリーシェ様の方です」
「アリスの言う通りですわ。本当にありがとうございました」
「いや、私は命を助けてもらったから、感謝の次元が違うよ!」
エリカさんはなんで謙虚なんでしょう。
「お互い、持ちつ持たれつってことで」
「はい! 今日はよろしくお願いしますのですわ!」
先輩に感謝の言葉を伝えると、配信の準備をして、ダンジョンに潜った。
☆☆☆
「こんにちは円城エリカです!今日は渋谷ダンジョンから実況しています!」
たちまち同接が次々と増えて行く。
「今日はゲストとして私、円城エリカが参加してます!
“何故にエリカちゃんが実況?”
“おお! 心待ちにしていたコラボか!”
“二人共大好きやでー!"
“アリスちゃんの存在を忘れては行けない”
‘¥50000おじさんはアリスちゃんが、アリスちゃんがぁ”
“↑通報”
エリカさんの澱みない挨拶と同時にチャット欄が活気ずきましたわ。
私達異世界冒険団のチャンネルにゲストとしてエリカさんを招いたコラボ配信。
「それにしても、何故かゲストの私が実況しているのですが、皆さんツッコミ無し?」
“だって妥当”
“リーシェちゃんもアリスちゃんも実況なんて無理”
「そ、そんなことは無いですよね?」
“エリカちゃんも見てたから分かるでしょw”
“平気で無言配信”
“双方向性ゼロ”
「あ、あはははは」
“エリカちゃんが誤魔化そうと必死w"
“リーシェちゃん、ちゃんと見習うんだよ”
“アリスちゃんもね”
“アリスちゃん、最近常識人枠から外れてるw”
「皆様! 私に無茶振りは止めて頂けますの?」
「リーシェ様と同じ扱いなんて酷いです」
皆さん、酷い誹謗中傷ですわ。
「ま、まあ、それは置いておいて、ここはリーシェちゃんのチャンネルなので、私のことを知らない人が居るかもしれないから自己紹介しますね」
“ゲストが実況して、自己紹介とかw”
“何故エリカちゃんのチャンネルにリーシェちゃんをゲストにしなかったのか”
「だって・・・」
“ドンマイ!エリカちゃん!”
“悪いのはリーシェちゃんだからw”
私のチャンネルなのに、エリカさんに暖かい言葉が・・・なんか私の時より盛り上がってる?
一方、私に対しては・・・。
“うっさいッ!どか、べし、ばし、鮮血”
“そして、あははは( ・∇・)”
"3秒で分かるマジキチリーシャちゃん!→URL”
“リーシェちゃんのマジキチスマイル集!→URL”
酷い。この差はなに?
その変な掲示板はなに?
「リーシェちゃんと言えば、やっぱりあの天使のスマイルとやってることが悪魔の落差だよねぇ」
「エリカさんまでぇー」
エリカさん、視聴者さん提供の変な掲示板見てニヤニヤするのやめて下さいなのですわ。
☆☆☆
「今日はいつもと趣向を変えて、探索の解説動画をやっていきますよ」
“普通の動画はそれしかないでw“
“無言でいいのはリーシェちゃんだけw“
“でも、実況と解説あるとこんなに心地いいんだ“
“やっぱエリカちゃんは凄いな“
「・・・」
「・・・」
ヤバいのですわ。私もアリスも二の句がありませんの。
そうして私たちは、中層入口に足を踏み入れる。
「今日の配信は中層の魔物のダンジョン飯です!」
"う〜ん解説あると分かりやすい"
"突拍子もないことがいきなり始まるパターンに慣れてしまっていた"
"ん?ということはリーシャちゃんの戦闘の解説が聞ける?"
"プロの意見聞きたい!"
「ごめんなさい、私みたいな戦闘の素人には何が起きているのかなんてわかりません・・・実は料理も・・・」
“エリカちゃん大丈夫やで“
“ワイが悪かった“
“マジキチの解説天使に頼むとかw“
“リーシェちゃんは訳がわかんないのが魅了w“
「エリカさんはその、謙遜されているだけで、本当は・・・」
「・・・ごめんリーシェちゃん」
エリカさんは何故か目を逸らして・・・・
「リーシェちゃんと一緒にはされたくない・・・かも」
「なんでですの!」
私が涙目でふくれていると。
"エリカちゃん本音出てるw"
"でも二人とも可愛い"
"¥50000おじさんはアリスちゃんが一番好き♡"
“↑通報“
チャット欄がなんか和気あいあいとしている。
今まで殺伐としてたのに・・・
私は何故か楽しくなってきましたわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます