悪魔の情報屋
その人はリリアンの姿を目にすると、小さく息を吐いた。
司書として働いていた悪魔に彼女を紹介したのは一昨日。そして、昨日捕食を実行したはずだ。
だが、彼女は当たり前のように学園へ来ている。おそらく失敗したのだろう。
「……どうしようかな」
その人は校舎の中から彼女を見つめた。
彼女が生きているということは、手助けした者がいるのだろう。普通の人間ではないとしたら、御使いか、それとも悪魔か……。
教会にずっと囚われている悪魔がいた。もしかすると彼女と繋がりができたのかもしれない。そうなれば、もう少し強い悪魔を使わなければならない。悪魔は、貴族にも平民にも潜んでいる。人に見つからないようにしている者もいる。……さあ、誰を使おうか。
その人は口端を上げて笑むと、頬杖をついた。
そうだ、あの人を使おう。リリアンに強い執着を抱いているのに、行動に移せない愚かで可哀想な人。他者に奪われるくらいなら、自分の手元に置くだろう。そのために、どう動こうか……。
悪魔の情報屋と呼ばれるようになったのは最近のこと。別に情報屋を名乗っているわけではない。必要な人に必要な情報を渡していたら、そう呼ばれるようになっただけだ。すべては自分と……あのお方のために。
その人はリリアンを見て、にっこりと微笑む。
「失敗作で不要なリリアン。……早く悪魔に食べられてね」
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