第113話 望月緋奈子 アメリカ編
私、とうとうアメリカまで来ちゃったよ…。
前、ヒロくんが一時帰国の時にアメリカ連れてけとは言ったけどほんとに連れてきてもらえるとは…。
ホテルもなんか調べてみたら高そうなホテルだし…。
ロシアの時もそうだったとはいえ相部屋だし…。
私、生きて帰れるかな…。
いや、逆か。
ヒロくんを生きて返しちゃダメなんだ。
骨抜きにしなくちゃ。
ニューヨークの空港に着いたらヒロくんがめちゃくちゃかっこいいスポーツカーの横で、サングラス姿で腕を組み車にもたれかけながら待ってた。
「絵になるなぁ〜。」
「お!こっちこっち!」
ヒロくんが手を大きく振ってくれたのでそれに向かって、ゴロゴロとスーツケースを引っ張りながらヒロくんのほうに行く。
ヒロくんの方も、サングラスを外して手を振りながら向かってきてくれた。
やっべぇ〜、蕩れ〜(裏声)。
この笑顔がたまんねンだよなァ〜。
軽率に抱かれェ〜(裏声)
はっ!
私の中のおじさんが目を覚ますところだった…!
あぶないあぶない…。
女の子は軽率に抱かれちゃダメだよ!!!
「お疲れ様。長旅で疲れたでしょ。先にホテルいこっか。」
「いく!!!!」
「???」
ホテルという単語に軽率に反応してしまった。
あっぶね〜。
「あ、やっぱり観光が先でもいいよ!」
「ほんとに?疲れてない?」
「大丈夫!爆睡だった!」
ということで、観光する流れに。
ロシアでの話とか、ヒロくんの留学中の話とか、たくさんの話をすることができた。
ヒロくんはよく、ことあるごとに手紙をくれたりメールの返信は割と返してくれたり、筆まめなのだけど、電話まめ?では無いため、今日はひさびさに直接話ができてすごく楽しかった。
ヒロくんは言っては無いが、話の端々から、薄らと、ごく僅かながらも他の女の存在の匂いがするのが少し気がかりである。
幸祐里には要報告案件だな。
晩ご飯はステーキ。
なんでも筋肉を今やってるとかで、高タンパク料理を今の主食にしてるんだって。
あんまりゴリゴリマッチョさんになるのは嫌だなぁ…。
幸祐里は筋肉好きだけどさぁ…。
あらかた有名な観光地はめぐってくれて、少し疲れたなといったところで
いよいよお楽しみのホテル。
ヒロくんが連れてきてくれたホテルはめちゃくちゃ豪華っていうわけじゃないんだけど、まためっちゃくちゃ上品なホテルだった。
ネットで調べただけじゃわかんないとこまで上品で、まさにずっと泊まっていたくなるような素敵なホテルだった。
時間的に大丈夫かな?混んでないかな?と思ったけど、大丈夫だったみたいで、すぐにベルの人がやってきて、部屋まで案内してもらった。
「すっご!!!!」
「あー、ここにしてよかった〜。」
ヒロくんはそのままベッドにダイブ。
必然的にそのベッドがヒロくんのベッドとなる。
私も飛び込みたい…。
ヒロくんの上に飛び込んで包み込まれたい…。
そしてくんずほぐれつ…。
「ひなちゃん、どしたの?」
「へっ?」
「口半開きだよ?」
「あっ!!!!なんでもない!!
お化粧直してくる!!!!」
「?いってらっしゃい。」
やべえやべえ。
ヒロくんがベッドに正面から飛び込んだからこっち見えてないのをいいことにトリップしてしまってた…。
気をつけなきゃ。
久々の外泊なんだから、ここは勝負決めに行きたいところ。
幸祐里には悪いけど、一足先に女になるわよ、私。
実はアメリカに来る前に、幸祐里と2人で話し合ってきた。
すでに同じ男に惚れた身。
互いに何があっても恨みっこなし。
時には競り、時には助け合って生きていくと誓った。
悔しいが勝負には時の運もある。
今回の旅行、本来なら2人で来るはずだったのだが、幸祐里がテストでヘマをやったため私のみとなったのだ。
幸祐里には悪いが千載一遇のチャンス、逃すわけにはいかない。
決意を新たにした時には鏡の向こうにいつも通りの顔が出来上がっていた。
「よし、今日もかわいい。」
これは私のおまじないのようなもので、その一言を言えるか言えないかでその日1日のモチベーションに関わってくる。
生まれてこの方ずっと一緒に過ごしてきた自分のことを大好きになれなくては人のことを愛すことができようか。
と、何かの本で読んだ。
別に何を直したわけでも無いんだけど、と思いつつ、ヒロくんの元へ。
ヒロくんは荷ほどきしていて、今日明日の予定について話をしてくれた。
前もって連絡をくれてはいたが、本番は明日の14時。
ちゃんと来れるか心配されたけど全然大丈夫。
ニューヨークよりもロシアの方が怖いよ。
ということで、明日の予定を詰めたら、お風呂に入って就寝。
お先どうぞと譲ってくれたので私が先にお風呂に。
ロシアの時はそうでもなかったのに、今日は普段気にならないところがとっても気になる…。
最終的に私ふとった?とかって焦ったけど、そうだとしてももう仕方ないじゃんって気づいた。
冷静になれたところで、いつも通りお風呂を出る。
ヒロくんのところまで戻ると、なぜかヒロくんが少し顔が赤い。
もしかして風邪!?!?明日本番なのに大丈夫!?
私の心配をよそに、ヒロくんはお風呂行ってくる〜とお風呂に。
私は髪を乾かそうと鏡台のまえに座る。
鏡を見る。
気づく。
私裸の上にバスローブ羽織っただけだ。
全身から脱力して机に突っ伏す。
額を強かに打ち付ける。
痛い。
やらかした。
やらかしたことの方が痛い。
今更服着れないよ…。
忘れてたんだなって思われるの恥ずかしすぎる…。
仕方ないからこのままいく。
私はこうなんですよ!という顔しときゃいいでしょう。
まぁ腹は元からくくってる。
そしてヒロくんが上がってきて、彼もまた裸バスローブ。
合わせてくれたんだね。
でもね、あなたが着ると、バスローブの中から鍛えられた身体がのぞいてて私が着るよりセクシーなのよ。
逆効果なのよ。
いろいろ気になっちゃうのよ。
ヒロくんの体を気にしつつも夜は更けて、いく。
眠れん!!!!!
全然眠れん!!!!
「ねぇ。もう寝た?」
「寝た。」
うそつき。
しっかり起きてるくせに。
でも夜のテンションって怖いね。
私言っちゃった。
「…そっち行っていい?」
「ダメ。」
「もうきちゃった。」
私はおもむろにごそごそと布団がめくってヒロくんのベッドに入る。
あ、私下着つけてないじゃん!!!!
大胆すぎでしょ〜!!!!!!
やばいやつだと思われる!!!!!
まぁ、いいか。
もう腹括ってるんだからね!
そのあといろんな話してだんだけど、いつの間にか寝ちゃったみたい……。
だって気づいたら朝だし…。
私としたことが、千載一遇とか自分で言ってたのに、
寝ちゃった……。
悲しい……。
でも急いでも仕方ないよね。
時間をかけてじっくりと進んでいかなくちゃ。
いや、フルスピードで勝負付ける気だったんだけどさ…。
そのことはもう言わないでよ…。
寝ちゃったんだからさ…。
仕方ないじゃんか…。
朝から恥ずかしいこともあったけど今日はヒロくんの晴れ舞台!
気合入れなくちゃ!!!
いっぱいおしゃれするよ!!!
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