第3話 家に帰ります。
私の家は大学の近くにある。
ここも運よく借りることができたので、自転車で15分ほど走れば家に着く。
本気で漕いだら5分で着く。
軽快に自転車をこいで家に向かう。
自転車も私が大事にしている趣味の1つだ。
体力づくりと心肺機能強化のために始めた自転車だがこれがまあ楽しくて。
今はデローザというメーカーの70 SETTANTAというモデルを使っている。
お父さんのおさがりなのだけど、ちゃんとお父さんが自分に合うように組みなおしてセッティングしてくれた。
「今日はたくさん練習したなぁ。
明日もしっかり練習しよ。大した授業もないし。」
大学の入学式から一週間は大学院の入学式やその他諸々でちゃんとした授業はなく、新入生歓迎ウイークになっているらしい。
家に着いた私は、自転車ごとオートロックのエントランスを抜け自室に入る。
このマンションはサイクリストマンションというらしく、自転車を部屋で保管することができる。そのため、私を含め、自転車を趣味としている人が多く住んでいる。お家賃はそれに加えて立地がいいこともあり割とお高めだが、学費も入学費もかかってないので親に許してもらうことができた。
そう、私は気が合う先生方にも恵まれ、割と勉強も出来る方だったので、学費は全額免除!
資本主義バンザイ!
親を説得するときはこれが強いんだわ。
自転車を部屋の駐輪スペースに止めると、私はまずソファにダイブすることを日課としている。
このソファは大学入試に合格したときに合格祝いとしてMacbookと一緒に祖父母に買ってもらったものだ。
他にも家具家電一式をいただいた。
ありがてぇ。
普段からあまりおねだりをしない私はここぞとばかりにねだり倒して、家具家電はかなり充実した部屋になった。
割と大きめのテレビに、録画もできるBlu-rayのやつ、大きなソファ、いい感じのラグマット、おしゃれなテーブル、間接照明のおしゃれなやつ、調理器具一式、一人暮らしにしては大きめの冷蔵庫、そして極め付けはテンピュールのダブルサイズベッドと枕。
これまでゲームもお小遣いも我慢してよかった…
ちなみに部屋は5畳の部屋と12畳のリビングダイニングと4畳のキッチンを完備している1LDKだ。大学生にしては豪華すぎる間取りなのは自覚している。お家賃なんと20万円。私大の学費をそのまま家賃に回したと母は言うが、逆に学費を払わなければそれくらいの家に住めるという私大の学費が恐ろしく感じる。
ちなみに私はすでにアルバイトいう名の社員をしており、それなりの額を稼いでいる。
ちなみに社員なのは税金の関係らしい。
親戚のおじさんが東京でゴルフバーを経営しており、そこで週に一度レッスンコースを受け持っている。一回2時間で、私は三コマ指導している。
なんでゴルフバーで講師のバイトなんかしているのかというと、私の最初の習い事はゴルフだったことに由来する。
もう競技歴は15年くらい?
まぁそれなりにうまいとは自負しています。
ちなみに私には姉が一人います。
私がゴルフを始めた頃はすでに姉がゴルフを始めてた。
姉は私とは違って、1つのことを一生極めるタイプ。
今はもう大学を卒業してプロゴルファーをしている。
本気で戦ってみたことはないけど、何がどうあってもゴルフ競技で姉に勝てる気がしません。
もちろん父も早々に姉に勝てなくなりました。
姉がゴルフを始めて7年くらいで父を超えました。
話がそれたね。
2時間×三コマ×月4回でだいたい24万の稼ぎになる。これはもらいすぎじゃないのかと言うと、
おじさん曰く「吉弘が入り始めて若い女性客が爆増したからむしろかなりプラス。」とのことである。
とはいえ流石に申し訳ないので、人手が足りない時は、バーの方の手伝いもしている。
叔父さんからの強力なバックアップのおかげで実家にも少々ながら仕送りできており、家賃以外には両親に金銭的な負担を強いることがなく、私の精神衛生にやさしい。
ソファに倒れ込み、しばらくするとお腹が減ったのでご飯を作ることにした。
食べたら入ろうと思ってお風呂を沸かすスイッチを入れて料理にとりかかる。
料理も私の趣味の1つなので、調理道具やお皿にはそれなりにいいものを使っている。
なんともSNSに映えそうな生活を送っているものだとつくづく実感する。
そんな他愛もないことを思いながら出来上がった料理は大学生のお供として名高いパスタだ。
市販のホールトマトとガーリック、バジル、オリーブオイルを使って作った手作りソースのトマトソースパスタだ。私の大好物の1つでもある。
パスタを腹に収めながら、パソコンをカバンから出して充電器につなぎ、動画サイトでピアノの動画を漁る。
たくさんの練習曲をプレイリストに追加し、ピアノ専用フォルダを作ると、お気に入りのヘッドホンで聴く。ひたすらに聴く。
私の愛用のヘッドホンは某有名メーカーのもので約2万円弱のものだ。ヘッドホンごときに2万円と聞くと高価に思えるかもしれないが、そもそもヘッドホンは高い。探せば10万円を超えるようなものなどいくらでもある。
ならば高ければ高いものであるほど良いのかと聞かれると少し疑問が残る。
私は今愛用しているヘッドホンと10万円や20万円もするヘッドホンと音質の違いがよくわからなかった。
もちろん音が違うのはわかるのだが、それがいい音かどうかと聞かれれば、どちらもいい音であることに違いはないように思えた。
つまり好みの問題ということだ。
最終的に、値段を見ずに私が音で選んだ結果、今私が愛用しているものに行き着いたということである。
お腹がいっぱいになって、頭の中がはぎっしりピアノに支配されたところで風呂が湧き上がる時間になったらしい。
給湯器のスイッチがなんか言ってるから。
プレイリストの曲を一時停止して風呂に入り、寝る支度を整え、お気に入りのベッドに飛び込む。
その日の夜、私はピアノを弾く私を見ている夢を見た。
夢の中の私は猛練習していた。
夢の中でも猛練習するとは…
と自分の夢ながら、その姿に自分で引いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます