第2話
「私ばかりこんなにプレゼントを頂いてしまって、本当に申し訳ありませんわぁ」
妹であるセレフィーナは、その可愛らしい性格からとても人気があった。もっともその性格は作られたもので、本当の彼女はそれはそれは陰湿な性格にある。その証拠に、自身とは違っておとなしい性格の姉であるラナーをこれでもかというほど虐げていたのだ。
しかしその圧倒的な人気の前に、誰もそんな事実には気づかないのであった。
――――
「お姉様、息するのやめてもらえる?同じ空気を吸っているって考えるだけで吐き気がするのだけれど」
そのような口調を並べることなど日常茶飯事であり、私は半ばあきらめてさえいた。…転機となる、あの日が訪れるまでは…
「お姉様の婚約者であるフーレン様、私との婚約を望まれるそうですよ♪私ではなく彼が決めた事なのですから、尊重してあげないといけませんよね?くすくす」
自身の婚約者を妹に寝取られた。普通に考えればこんなことはあり得ないのだが、あの妹の前ではこうなることも仕方がない、と言った雰囲気が二人の周りにはどこかあった。
しかし彼女が寝取ったフーレンには、女癖が悪いという何よりの欠点があった。そして姉の婚約者を寝取ることしか考えていなかったセレフィーナは、そのことに気づけないのであった…
「私はラナーを泣かせたかっただけだから、もうあなたに用はないわ。私にはちゃんと婚約したい相手がいるから、さようなら」
「おっと、そんな話は受け入れられないな…ラナーを切り捨ててまで手に入れた人気者の君を…黙って返すはずがないだろう??」
「は、はぁ??」
しばらくの日が経過して、当然ながら二人は破局した。あんな男を婚約者にするだなんて、なんて女なんだ、という評価が駆け巡り、一方であの男との婚約を切り捨てた彼女にこそ見る目があるのでは、と言う評価もまた駆け巡った。
その後の姉妹の立ち位置が大きく変わった事は言うまでもない。
「あのフーレンと一時でも婚約関係にあっただなんて…人間性が知れてるわね…」
「ええ本当に…恥ずかしくないのかしら??」
今後フーレンが最悪な行動をとるたびに、彼女の評判は落ちていくことだろう。
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