ブレークタイム -殺し屋の話-(残酷描写あり)

 俺は、まぁ殺し屋をしている。


 スナイパーを使って人を殺す。成功率92%。断った依頼はない。


 何度も殺して、何度も何度も後悔して、何度も何度も何度も懺悔して。

 

 何度も何度も何度も何度も...沢山の事を思った。

 

 でもそれしか俺にはなかった。


 そんなある日。また、依頼が来た。

 内容は、不動産屋を経営している夫婦を殺すという内容だ。


 なぜ、そんな事をするのか、という疑問はない。聞く必要はない。ただ殺すそれだけ。


 周辺調査をするか。そう思って重い腰を上げた。


 夫婦は依頼通り、不動産屋を経営していた東条家の夫婦で、17才の高校生がいる。東条海とうじょううみという子供。こいつは殺さなくていいらしい。


 1週間ほど、2人の行動を観察し、殺しの場所を決めた。


 古いビルだ。夜には人がいない。いい場所だ。入り口に入ると、エレベーターがあるが、それには乗らず、階段を登る。


 ギターケースにスナイパーが入っている。


 階段を登るとギシギシと音が鳴る。自分自身への警告音のようだ。俺は気にせず登り続ける。

 

 屋上に、ついてしまった。


 俺はギターケースからスナイパーを取り出し、4xスコープとサイレンサーを取り付け、マガジンをセットする。


 2人の夫婦が仲良く話しながら帰っている。


 ふぅ。安全装置を外し、トリガーに手をかける。

 リロードは要らない。5発撃てる。2回で終わりだ。


 心臓に狙いを定め——撃った。1人、2人と倒れて血が出ている。


 終わった...そして、すまない。


 そう呟いて、天を仰ぎながら、帰る準備をした。


 2日後。依頼が来た。名前は東条海という人から。親を殺した犯人を見つけ、殺してほしいという依頼。成功報酬3千万円という甘い話。

 しかし、乗ることは出来なかった。


 なぜなら、それは俺だからである。


 依頼を一度も断った事のない男は始めて断った。


 一週間後。俺はギターケースを持って周辺調査を行い、ビルの下見をしていた時だった。

 狙撃相手がいたのだ。


 これはチャンスだ。


 急いで準備をした。奴は気付いていない。動いてすらいない。


 いける。


 そう思ってトリガーを引いたのに、躱わされた。頬に傷ができ、赤髪が散っただけだったのだ。


 おかしい。


 こいつは人間ではないのか?


 そう思いつつ、2発目を撃つが走って躱された。


 まずい。反撃される。そう思っていたのに。


 弓矢を引いていた。


 は?旧式というか、終わりだろ。そもそもの届かない。


 次の瞬間。全てが変わってしまった。


 紅い光が収束され、流星のように飛んできた。躱わす暇すらない。


 その時思ったことは。


 レッドアロー。


 やつのハンドネームだけだった。


 何故だろう。誰がやったのか。誰が仕組んだのか。走馬灯のような時間がゆっくり流れる感覚を味わっている。


 その時。東条海の名前がふと出てしまった。

 もし、何かで俺が犯人だと知って。

 もし、あいつが復讐をする為にレッドアローを雇ったのなら。

 もし、俺にレッドアローを殺す依頼をして、仕組んでいたのなら。


 あぁ。俺が悪い。悟ってしまった。これが俺の人生か。


 そう思いながら。紅い流星を受けて意識が消えていった。


追加

ハンドネーム、レッドアローは「レッドアロー〜紅い流星〜」の主人公です。クロスオーバーさせたかったので、本編に影響しない程度でださせてもらいました。

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