(新)第3話 衝撃

「大丈夫か?それ余に目先の事に釣られ過ぎると、評判に繋がる。 俺達のパーティーもそうだが、特に国王に次ぐこの国家の象徴でもあるお前の顔にも泥がつくんじゃねーか?。 例えばほら…『卑しい』ってな」


揉め事が心配なオレはつい悪い癖で説教臭く、彼女に向かって聞いてしまった。 


「チッ」ッとカルマが、舌打ちしている声が背後から聞こえた。 彼は自分でも気づいていないようだが、どこかロクシスを心酔しているフシがある。



「…まぁそれもそうだけど。 それよりも納得いかないことがあるの…。」



「?」


 ため息をつきながら、ロクシスはオレの隣に座り苛立ちながら口を開いた。


「今回の依頼【空中機動都市船アルフューノ三型 巡航ルート整備】、元の報酬金、憶えているか?」


「540003オルノ だいたい武器などを差し引いても全員、贅沢できるくらいのお小遣いは、入るくらいだろう。」


 カルマはロクシスの投げた問に、すぐさま答えた。 しかしロクシスはその答えに激昂する。


「ふざけてるだろ…なにが【贅沢できる程度の金】だ!」


「?」


「「!!」」


 ドンッと、言う激しい音とともに、あげられた彼女の怒声にオレは心底驚き、他の二人の空気も引き締まった。 彼女が怒りを露わにした姿を誰も見たことがないからだ。


 オレも彼女とは幼い頃からの付き合いになるが、感情を表に出すことは、多いが起こったところは見たことがない。 心底不思議な気持ちだ。



「この依頼の内容は人口爆発に対抗するための新たな居住区の設立。 それに伴った、土地一帯の魔物の殲滅だった。 


この依頼はこの国のこれからを左右すると言っていいほど重要な、ものかつ、人類では不可能に近いとさえ言われる、高難易度のミッション、厄介な問題だった。


ソレを達成できた僕たちの功績ははっきり言って計り知れないだろ?」



「そりゃあ…自分で、言うのは、なんだけどオレたちに、国からの指名という形で、白羽の矢が立った任務だからな…。」


 カルマは戸惑いながらも相槌を打つ。


「なのに、その報酬が贅沢できる程度だと? おい…ゴルジ、僕達は冒険者の顔だ。 確かに謙虚に良心的に依頼をこなすことは大切だ…。 だが本当に他の冒険者のことを思うなら、こういうふうに舐められないことこそがいちばん大切なんじゃないのか!?」



「だから、お前は、報酬増額の交渉を行ったと?」


 オレがそう問いかけてみれば、ロクシスは頷き、曇りな目をこちらの目と合わして応えた。


「冒険者の印象と品を大事にすることは大切だ。だがな僕達は、顔としてそれらを守るのと同じくらいメンツも守らなきゃいけない。 ボク達の背中を追いかけてきてる連中が、ちゃんと腹を満たせるように、まず僕たちが対価をしっかり払わなきゃいけないんだ。」


「そうか…それもそうだな。」


 確かに彼女の言うことも最もだ。 ギルドには現在6000をにも及ぶパーティーが登録されていて。その功績とメンバーの推定能力の総合を加味して評された付けられた【ランキング】が付けられている。


 俺達はギルドランキング1位。 即ち全ての冒険者パーティーの中で最強最高の存在、まさに冒険者の代表とも言える存在なんだ。


 俺達が甘いとこ見せると、結果他にも、ソレを強いていしまう未来もある。彼女はソレを見据えてあえて、事を起こしたということだ。


「まぁ、そんな事はいい…。ロクシス! ツムステッドはどこに行ったんだ?」


 先程まで、俺達の話を聞き流しながらも、意見を上げず、黙々と部屋の隅で鍛冶作業をしていた、アトヌスが作業を終え、ロクシスとともにいたはずのパーティーメンバーの一人のツムステッドの行方を尋ねた。


「彼女はこれから、教会で儀式の仕切りをしなければならないから、報酬だけ受け取って先に帰ったよ。」



「そうか、ならオレも…。ヨイショ」


アトヌスはイジっていたモノを黒いショーケースに収め立ち上がった。


「今日は解散でいいだろ? ロクシス」


「ん゙?あぁそうだなアトヌス…お前の文の報酬を受け取ってくれ。 あとカルマも、 帰っていいぞ解散だ…。 ただゴルジはまて。 話したいことがある。」


「あいよ…。」


アトヌスの言葉にロクシスの要求に、ロクシスは、応じてカルマとアトヌスにそれぞれ、布袋の中から、更に小分けにされた袋を取り出し二人に渡した。 

 

 アトヌスは渡されるやいなや、早々に中身を確認すると、眉をひそめた。



「おい…何だこれは。」



中に入っていたのは、どうやら、多額の金貨と、謎の金色に輝くチケットのような紙だった。 アトヌスはソレを手にするとその詳細をロクシスに尋ねる。


「それはね…アルフューノの最上高級区画居住区画のチケットだよ」


「おい!まじかよ!!空の楽園だぞ!あそこに住めんのか? しかも一番いいところに!」


「普通に手に入れようとするなら、400000オルノ以上の価値があるぞ?」


 ロクシスの言葉に息を巻いて、カルマとアトヌスは興奮した。 


「当然でしょう? 今回の僕たちのお陰でアレが飛び立てるよるんだ。 僕たちが完成させたようなもんなんだよ。 


 完全開放されるのは、10日後だから、そしたら、停車場にコレ持っていけ。 部屋に案内されるはずさ。」


「オレ…そこら辺の奴らに自慢してくる!じゃあな!!」


ロクシスの言葉を聞いたカルマは、急ぎ足で、部屋を後にした。 自慢してくるとか言ってたけど、盗まれないか心配だ。  


「…。 おいゴルジ…完成したぞ。」


 カルマの背中を見送ったあとアトヌスはオレに持っていた。 ショーケースを開いて渡してきた。


 中には1.5メートルほどのサイズの杖が入っていた。


 通常杖は木製だが、その杖は、黒い金属で構成されており、先端には内面から青い光を放つ宝石が、嵌め込まれており、その宝石を中心に全体的に黒いツノと青色ツタが巻かれているという、歪でもあり秀逸でもある見た目だった。


だが、何よりその杖の一番奇抜なところは、長柄の銃がくっついているところだった。



 その杖を見つめる、オレにアトヌスはため息をつきながら、口を開いた。


「苦労したぜ…。 お前は魔法使いくせに、物理もやたら強いし、ソレに頼ることもあるからな。


どんな力で殴っても壊れないように、エウルメタルを中心に柄を仕上げた。 


 加えて、お前のバカげた魔力量のポテンシャルを最大限引き出せるようにほかんとこも工夫もしたぜ。 


お前の『得意』【得製魔法 元素獣】が使えるように、【血玉】を装填して発射できる部分もついている。


今の俺じゃこれが限界だ。」



「ありがとな…アトヌス。」


「あいよ…じゃあな」


オレはアトヌスにお礼をいい、その杖を受け取ると、やる事を終えた雰囲気を出しながらアトヌスも足早にその場を後にした。


 そうして、部屋の中はオレとロクシスだけが残った。


 オレは椅子に再度座るとロクサスの方に目を向けて、声をかけた。



「おい…ロクシス。 オレに話したいことってなんだ? まさか役に立たなすぎて、パーティーをクビってことはないだろうな。」



「そうだよ」


 ロクシスはオレの冗談に、無表情で答えると机に座りジッとオレの目を見た


「あぁ…それは良かっ…  あ, え?」



その場には、まるで誰もいないかのような静寂が訪れた。

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