新 第1章 壊れゆく日々

(新) 第2話   いつかまた

※ このエピソードは、新たに作り直した、第2話です。第1話から、続けてお読みください。


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32日前


オルレルケア…穢なき純白の王国


人口7千万人を誇る、王国だ。


鉄の大地、ゲルド大陸全土を治める大国国。

3402 万㎢という圧倒的な国土誇り、大陸の【冷たい揺り籠】という機械の壁に覆われているため、外界からの外交、交易、交信すら不可能で、実質的な鎖国状態状態にも関わらず、この国は様々な分野で栄華を極めていた。


オレの名前はゴルジ・マギド


そんな 活気に溢れるこの王国でのほほんと、暮らすどこにでいる普通の13歳の少年…っと言いたいところだがそうではない。


 俺は【勇者パーティー】という上級パーティーで活動している魔法使いだ。


 パーティーってのはギルドという危険を伴う何でも屋の仲介からの一人では危険で立ち行きできない依頼をこなすために集まった冒険者の一団のことだ。


 今日も俺達はいつも通り、ギルドからの特別指定依頼を達成して、ギルド協会本部に併設されている。バーを貸し切って、報酬受取りの手続きをしている。オレたちのリーダー、ロクシスを待っていた。 


 バーと言っても、この国の法で22歳以下は飲酒が『不必要』な禁じられているため、オレたちの中の誰も、酒を注文できないのだが。





「お前は…追放だ…。 ゴルジマギド」


 机を挟んで、眼の前にいる同じパーティーのフッテンカルマが、手に持っていた3枚のカードを握りしめ、涙目になりながらオレにそういった。


「ふざけんな!ゲームに負けたぐれぇで、パーティー追放されてたまるかよ」


 「うるせーいっつも、いっつも、ウザイ手で勝ちやがってよ〜!! マジ性格悪いマジ!!」


 どうやらいじめ過ぎたようだ。 今、オレたちがやっているゲームは、【オルシチ】と呼ばれるカードゲームだ。


 コレは、この国で最も親しまれている戦略系カードゲームで、フッテンカルマはこういう時間ではいつもオレに勝負を挑んでくる。

 

 が今のところ覚えている限りの勝敗記録はオレの442勝0敗。 とうとういじめずぎて堪忍袋の尾が切れたらしい。


 コツを教えてやって、次の勝負では、もう少し手加減来てやるか。


「もっと頭使ってやらないからだろ?」


「うるせぇ、それ以上口開いたらぶっ殺すぞ…。」


「おい…アトヌス!なんとかしてくれ!」


 オレは怒り狂うカルマに手を焼き、部屋の隅で、何かしらの装置を工具でガシャガシャとイジっている少年に助けを求めた。


「お前たち…また喧嘩か?」


少年はそう言って作業の手を止めてこちらを振り向いた。


 少年の名はアトヌス・ティンフィーセルト

俺達のパーティーメンバーだ。


こいつは、いいやつだし、オレも人のことを言えないんだが、とにかく無愛想で普段無口なやつだ。


だが、こいつは【技工士】という、機械、装置に知見とカンを持つ役職、資格を持っている。


技工士は貴重な人材だ。この世界、特に冒険者にとっては。


 まぁ、こいつは、それ以外にも、

武器制作にも優れた才覚を持ち、鍛冶師のような役割も担ってくれている。



「…。 おい…マギ…オレを巻き込むな。

今だいたいお前の武器を作ってやってんだぞ…。 お前さ。 それに対して喧嘩の仲裁までやれってんの?」


「いや…それは。」


「…。」

「…。」

「…。」

気まずい沈黙が流れる。

強い怒りを詰めてくる、アトヌスにオレは俯くことしかできなかった。


「ただいま〜いっぱいお金ふんだくって来たよ〜。」


 静まり返った部屋に、けたたましい音を鳴らしながらドアが開いた。凍った空気を突き破った救世主の声とともに現れたその姿は俺達がよく知った一人の少女のものだった。


 国家の顔を継ぐもの。見慣れたはずのその顔だが、誰もが再度観るたびに見惚れて釘付けになるほど、整った美しい顔立ち。



 まるで後光がさすがのような、美しいブロンド色の髪と、星空に深海を塗ったような飲み込まれるグラデーションを持つ碧玉の瞳。


ロクシス・ワルドー


現国王の長女として、王女の立場を持ってこの世に生を受け、


その才覚はまさに超人。


とてもオレと同い年とは思えない。まぁいろんな意味でだが。


生まれながらの人類史上最強と謳われる存在で、かついかなる困難や、おぞましい魔物に対しても、恐れず立ち向かい、必ず勝利をもたらすその姿から、いつしか人々は、彼女の事を勇者と呼ぶようになった。 俺達のパーティーのリーダーだ。




「全く懲りないねぇ。ボクも苦労が耐えないよ」


ロクシスはそう軽口を叩きながら、部屋に入ってきた。 


 彼女は、片手に大きな布袋を片手に持ち、その中身が先程からジャラジャラと音を鳴らしている。


「今回の依頼ヤマそんな報酬多かったか?」


カルマは、その布袋の中身を今回の依頼達成でギルドから、受取した報酬だと察し、驚きの声をあげる。 それに対して、彼女は微笑みながら応えた。

 

「いったでしょ?…ギルドと交渉してみんなの分の報酬多めにぶんどって来たんだよ。」


 

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