アンダークロス 世界を渡る呪い
倉村 観
プロローグ
第1話 ある雨の降る日
俺の名はゴルジ・マギド
どこにでいる普通の14歳の少年…っと言いたいところだがそうではない。
俺は【勇者パーティー】という上級パーティーで活動している魔法使いだ…「いや活動していた」のほうが正確だな。
「お前は…追放だ!!ゴルジ・マギド!!」
青髪でツリ目が特徴の少年はでいかにもキレてますといった態度で、机の上に【解雇認可証】を叩きつけオレに向かってそう叫んでだ。
こいつの名はフッテン・カルマ 昨日まで共に組んでギルドの依頼、冒険をしていたパーティーの中の一員だ。
「オレはクビってことか…カルマ…。」
オレは、俯いたまま、カルマの言葉に応えた。 それを聞いたカルマはオレの胸ぐらを掴み冷たく言い放つ。
「当然だろ?! イメージっもんがあるんだよ…テメェ見てえな、反逆者こんなところにおいて置けるか!!」
言いたいことはわかる。 オレをこのパーティーに残しておくわけにはいかない。
なぜならオレには現在、オルリネス大導魔法学校校長、【アンキット・ネトウ】を殺害した…。 つまりは、この国の重役を殺した容疑がかけられている。
俺達のパーティーはそこらの冒険者パーティーとは理由が違う。
この国、【根の下の頂きオルリネス】の元国王アルギネス・ワルドーの娘、【第一王女】ロクシス・ワルドーと、その元に集う、選ばれし精鋭4人で構成された、最高位パーティーだ。
眼の前にいるこの男は、フッテン・カルマは元々、この国を護る騎士団の出、才能あふれる戦士で、パーティーでも最前線で敵や危険から、その身を張って何度も俺達を護って救ってきた。
他のメンバー聖女ツムステッドと、技巧士アトヌの二人も凄まじく有能な者たちだ。
オレも魔法学校に在籍している今の過程で、少々開発した功績で、【若賢者マギド】という異名を授かっているが、そんなもの他の3人に比べたら、霞む。
何よりの、凄まじいのはウチのリーダー、ロクシス・ワルドーは、俺達共、いや全ての人類種よりも別格の能力を有している。最強の存在。 最高位の血統と合わせて、全ての国民にとってのカリスマ、アイドル的な存在でもある。
親から受けた地位だけの女とは違う。
こうした要素から俺達のパーティーは現在、ギフトランキング1位を誇る、全ての冒険者パーティーの頂点に立つ。 いわば模範だ。
全ての冒険者達の顔であり華、ほかとは違い、気品とメンツが何より大切になる。
だが、そんなパーティーの大事なメンツに泥を塗りたくっている問題がある。ソレが今のオレだ。
「テメェ…何考えてやがる!!なぜあんなの殺したんだ!!?」
「…。お前に言えることはない…お前とオレはオレはこれから無関係だ。」
何かしらの悔しさを噛みしめるようにカルマが、オレを怒鳴りつけるが、オレは、それに対して淡々と突き放すことしか出来なかった。
「テメェ…マギド」
血管がブチギレる程に、激昂をその表情にため続けるカルマにオレは、無言で持っていた大型のケースを前に差し出した。
「なんだコレ…? おい…マギド…?」
「魔道具…オレが使っていた武器…魔法使いの
「マギ…。」
「オレに…もうお前たちと並び戦ったこの武器を握る資格はない…。 せめてお前達にくれてやる…。ロクシスに相談してから好きにしろ…。 それとこの中にはオレが犯行に使った凶器の剣も入っている。」
「何だと?!」
カルマの顔が驚愕し、ひきつる。
「お前たちは、数日後…コレを持って秤場(この世界の裁判所)に、証人として出るんだ。 犯行現場を抑えた。第1発見者としてな…それで俺がつけた汚名も少しはマシになるだろう…。」
「何のつもりだ…テメェ、当てつけか?」
カルマの、顔がまたやるせなさで、歪みのを見て、オレは最後に少し良い気分にもなった。 【奴】の計画を台無しにできている証拠だからな。 オレは怒るカルマ背を向けて、ほくそ笑み、その場を去ることにした。
「…あばよカルマ…達者でな…他のみんなにもオレが謝ってたって、伝えてくれ。」
「待て!! マギィィィィ!!!!」
事務室を去ったオレを、カルマはドアを蹴破ってでも追いかけようとした。
碧宿型 Sランク魔法「【エルチュード】」
追いつかれないようオレは、すぐさま、魔法でからだ霧状にして、その場をあとにした。
そうして、冒険者達の仮部屋を出たオレは、
深呼吸して今一度暮らしてきたこの街をを見ることにした。
暖色のレンガ、或いは磨かれた金で造られた建物と地面を、魔力が込められて頑丈で便利な龍の骨が、纏うようにして、外装をなしている。
まるで、太陽の向こう側のように、純白と
黄金の国、だが今、空はそれに反して黒い雲に覆われ暗黒に染められ、そこから透明色で以上に冷たく、草花の匂いのする雨を僅かに降らしていた
曇り空の中で、シトシトと降り積もる雨の冷たさが、オレの顔を撫でる。
ふと振り返りオレはロクシスを思うと舌をギュッと噛み締めた。
噛み締めた舌から、僅かにくちの外へ滴る血と、雨と、あと一粒、顔を濡らすものが今はどうしようもなく不愉快だ。
それでも、今は彼らに真実を語るわけにはいかない。
真犯人をこの舌で語るわけには。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━オマケ
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碧宿型 魔法エルチュード
モノリスランク S
習得難易度 A
魔能発動精霊消費量 ☆☆☆☆
クールダウン ☆☆☆☆☆
損壊力/死誘力 0(一切の攻撃性なし)
能力発動スピード MAX
耐久性/タフネス MAX
発展性/進化余地 0/☆☆☆(詠唱車次第)
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