第一章───ひさかたの①
息を切らして、京の町を駆け
足を
今、追いかけているのは人の
すると、頭上から
「
その声に探雪が見上げれば、屋根の上に立つ
「しっかり。授業でやったことを思い出して」
今度は、反対側の屋根から
「落第したくないでしょ?」
その言葉に探雪は今、四季隊に入るための
他の同級生たちは試験課題のため、画術によって
「
探雪は、猫の獣を頭に思い
「なんでだーっ!」
探雪が
「出たよ、探雪の
守景が
「もふもふしてて、可愛いじゃん。俺は好きだけど」
一蝶も楽しそうに目を細めていた。
探雪は
そうしている間にも、キュウソは現れた獣が猫ではないことに気づき、再び探雪をぎろりと睨みつける。ぞっとして、探雪は
気がつけば、今度は探雪が行き止まりに追い込まれていた。じりじりと
「題目、『
そう唱えながら、探雪は手を前にかざす。それから
「おお、自然系の術はやっぱり得意みたいだね」
上から見守っていた守景も感心したように言う。
画術は、動物を具現化する〝
炎なら、きっとキュウソにも効くはずだ。けれど、炎はキュウソの毛をちりぢりにしただけで、再び歯をむき出して
「え、なんで……! 鼠って火に
「試験用のキュウソだからね。課題である猫じゃないと倒せないよ」
守景から言われ、それもそうかと探雪は納得する。
キュウソは、
もうダメだ、落第だ。
キュウソの
猫の獣が軽やかに着地して、主のもとへと駆け
「はぁ……助かったよ。ありがとう」
探雪が素直にお礼を伝えると、光起は冷めた視線を向ける。
「……別に助けたわけじゃない。点数、
内心毒づいていると、笛の音が町に
探雪は落第を
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