第10話:俺と瑠奈のピンチなこと。

金曜日、俺は学校の屋上でオカルト女「望井手 美奈のぞいて みな」から告られた。


「私、はるかくんと瑠奈が付き合う前から君のこと、好きだったの」

「だからね、よかったら、私と付き合ってほしいと思って・・・」


「まじで?」


「ダメかな・・・」


「いいけど・・・」


「ほんとに?」


「あっ、いや、いや、いや・・・うっかりオッケーするとこだったわ」

「あのさ、基本的に俺、浮気は無理だから・・・」


「浮気って?・・・もう誰か他に付き合ってる人いるの?」


「そんなやつはいないけど、俺には瑠奈るながいるだろ・・・だから、おまえと

付き合ったりしたら浮気になっちゃうし・・・」


「何言ってんの?、遥くん」

「瑠奈、亡くなってるでしょ」


「ん?・・・あ!!・・・そうだった・・・忘れてた」

(マンションに帰ったら普通にいるからな・・・ついつい生きてるって勘違い

してたわ)


「そ・・・そう、そうだよ・・・」

「そのさ、亡くなった瑠奈のことが忘れられないって意味だよ・・・」

「瑠奈はまだ俺の中で生きてるからな」


「それにさ、瑠奈を亡くしてすぐに誰かと付き合うとか恋愛とか、そんな

浮かれた気持ちでいたら、俺の人間性疑われるだろ・・・」

「亡くなったとしても俺は瑠奈を裏切れないし・・・ってか俺、誰かから

告られても付き合うつもりないから・・・一生ないからな」

「可能性ゼロパーだから・・・」


「そう、そこまで言われたら、何も言えないね・・・私が諦めるしかないかな」

「分かった、ごめん・・・今言ったことは忘れて」

「悪かったね・・遥くん・・・でも瑠奈がうらやましい・・・亡くなっても

こんなに想われて・・・」

「じゃ〜」


そう言って望井手 美奈は屋上から降りて行った。


「・・・・」


「危なかった・・・」


「でもさ・・・自己嫌悪だよ・・・すまん望井手」

「俺、オカルトには興味ないんだわ・・・」

「それに幽霊でも生きてても、俺に瑠奈がいる限り浮気は許されないからな・・・」

「瑠奈を泣かすようなことできないし・・・」


「つうか今は瑠奈のほうが大事なんだ・・・」

「あいつの可愛さには誰が来たって勝てないよ・・・向かうところ敵なしだもんな」

「ちょっとズレてるところを除いてはさ・・・」


「考えてみたら瑠奈が幽霊のまま現世にいる限り俺は一生恋愛できないんだよな」

「エッチはできないわ、他の女と恋愛できないわ・・・どうしたもんだろ?」


*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


一方、瑠奈をあの世に、連れ戻そうと現世にやてきた三途の河の管理人

馬草把 礼奈衣うまくさわ れないさん」


「帰りません!!」

「誰になんて言われたって絶対帰りませんからね・・・あの世になんか・・・

ずえ〜ったい!!」


「困りましたね・・・」

馬草把うまくさわさんはため息をついた。


「そうですよね、愛しい人のところに帰ってきて、せっかく楽しくやってる

ところに水を差さされるようなことされたら誰だって嫌ですよね」

「その気持ちは私もよく分かります」


「え?馬草把うまくさわさんも前世に恋人残したまま亡くなったんですか?」


「いいえ、幸いにも私は生前好きな人いませんでしたし結婚もしてません」

「だから瑠奈さんみたいな思いをしなくて済んでるんですけどね・・・」


「なんだ・・・なら、私の気持ちわかる訳ないじゃないですか・・・」

「適当ね〜」


「はい!!分かりました・・・私もあの世に帰ったってなにもありませんから」

「だから、いっそこの現世残ろうかと思います」


「え?馬草把うまくさわさん・・・残るの?」

「帰らないと閻魔様に怒られるんじゃないの?」


「いいんですよ、私ひとりくらいいなくっても、だ〜れも気づきもしませんし

探しになんか来ませんから」

「なので、この家、遥さんち居候させていただく訳にはいきませんかね」


「いいよ」


「え?いいんですか・・・そこは普通断るところですよ、瑠奈さん?」


「あのね、私をあの世に連れて帰らないのなら、ここにいていいよ」

「それが条件ね」


「分かりました・・・クチが裂けても瑠奈さんを連れて帰るなんて言いません」


「よろしい・・馬草把うまくさわさん」

「心配しなくていいからね、叶多はこのこと私が説得するから・・・」


「よろしくお願いします」


ってことで、俺がいない間にそんなことになってるなんて・・・俺は知らんし・・・

しかも姉ちゃんがなんていうか・・・居候が増えるとそれだけ家計に響くからな・・・って、そうか瑠奈も馬草把うまくさわさんも幽霊だから・・・食費はかからないんだったわ。


そしてその夜・・・まあ俺はいいとして姉ちゃんを困らせることが起きたんだ。


とぅ〜び〜こんて乳。

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