第11話:この人、誰?
もちろん断ったけどな。
瑠奈は瑠奈であの世から「
ニイちゃんがやってきて、瑠奈をあの世に連れて帰ろうとした。
もちろんこっちも断ったみたいだけど。・・・。
そしたら
ってことで俺の知らない間に、若いニイちゃんの幽霊が住み着くことになった。
大学から帰ったら知らないニイちゃんが台所でエプロンして晩ご飯を作ってる
じゃん。
「あ、お帰り叶多」
「おかえりなさい、瑠奈さんの彼氏さん」
「ただいま・・・って瑠奈、この人誰?」
「三途の河の管理人さんの「
「その管理人さんが、なんで俺んちにいるんだ?」
そこで瑠奈がことの経緯を俺に語って聞かせた。
「お〜そう言うことなんだ・・・」
「あの、
ありがとうございました」
「いいえ、瑠奈さんの話を聞いたら可哀想で・・・情にほだされまして・・・」
「でもさ、ニイちゃんじゃなくて、どうせなら若いおネエちゃんならよかった
のに・・・野郎じゃ〜な」
「なに言ってんの?・・・叶多・・・バッカじゃyないの?私がいるでしょ」
「他の女によそ見したら・・死んじゃうよ私」
「死なねえっつうの」
「冗談だよ、冗談・・・男がよく言うたわいもない、
「クチだけ、クチだけ・・・俺は瑠奈だけだからな」
「うまいこと言って・・・」
「誰かに好きだって告られても、ほいほいついてっちゃダメだよ」
「ちゃんと断ってきたわ」
「断ってきた?・・・え?誰かに告られたの?」
「いやいや・・・たとえば・・・たとえば告られてもちゃんと断るから
ってことだよ」
そんなことで揉めてたら姉ちゃんが帰ってきた。
「ただいま〜」
「お帰りなさい、お姉さん」
「お帰り姉ちゃん」
「あ〜疲れたわ・・・毎回言ってるかもしれないけど仕事やめてえ〜」
「ビール、ビール」
そう言って姉ちゃんは冷蔵庫からビールを取ろうと台所に行った。
そこで霊感が超強い姉ちゃんは 知らない男を見た。
・・・・沈黙の遭遇。
「叶多・・・へんな人がいるけど・・・この人誰?」
「はじめまして・・・私、「
しがない幽霊です」
「はあ・・・?幽霊?」
でもって、またもやことの詳細を姉ちゃんにも語って聞かせた。
瑠奈からの又聞きだから所々間違ってるかもだけどな。
「ふ〜ん・・・そうなんだ・・・で?、彼いつまでいるわけ?」
「帰らないって言ってますから、ずっといるんじゃないですか?」
瑠奈が言った。
「まじで?」
幽霊がふたり?・・・今んところな・・・。
『まあ幽霊なんて珍しくもない通勤の電車の中にもたくさんいるけどな」
って、当たり前に言う姉ちゃん。
「あの・・・差しではましいとは思ったんですが・・・ちょっと質問ですが
この美しい女性は 瑠奈さんの彼氏さんのお姉さんでしょうか?」
「美しい女性って?・・・私のこと?」
「お世辞だよ、姉ちゃん」
「ああ、そうか、じゃ〜ちゃんと紹介しておこうかな」
「俺の名前は
「でこの美人かどうか分かんないけど俺の姉ちゃんの
「望美さん・・・なんてお美しいお名前」
「叶多・・・私めっちゃ悪い予感がするんだけど・・・」
「俺もなんとなく、その雰囲気感じるわ」
「私も分かる〜
瑠奈がズバリなことを言っちゃった。
「すばらしい、お三人とも感がするどいですね」
「そのとおりですよ、私、望美さんに一目惚れしました」
「ですので、満を持して望美さんとお付き合い願いたいと思うのですが?」
「ほら、やっぱりな・・・私、人間の彼氏がいいんだけど・・・」
「姉も弟も相手が幽霊って、ありえないだろ」
「姉ちゃん・・・彼氏いない歴長いんだから、いいじゃん」
「
だよ」
「私、いい主夫になれると思いますけど・・・望美さんはなにもしなくて
いいですから・・・家事全般は私にお任せ下されば・・・」
「まじで?」
「だけど、あんた幽霊でしょ・・・ものに触れないでしょう〜が」
「大丈夫なんですよ、私は、すでに気合と根性で完全実体化できるんです」
「うそ・・・まじで?」
「瑠奈・・・おまえ
「俺んちにいることも姉ちゃんの彼になることも俺は全面的に賛成」
「勝手に決めるな叶多・・・」
「いやいやそれが一番ベストな選択だと思うぞ、俺」
「瑠奈もそう思うよな」
「私はあの世にさえ連れ戻されないならなんでもいいかも〜」
「ああ〜・・・まあ瑠奈はな?」
「私があの世に帰って一番困るのは叶多でしょ」
「ちゃんと自分の彼氏のこと考えてるんだよ、私」
「分かった、分かった・・・瑠奈の気持ち嬉しいよ」
「あのすいません・・・望美さんからまだお返事いただいてませんけど」
「私は人間の彼氏がいいって言ったでしょ・・・だから諦めなさい」
「ビールが不味くなるわ」
「はあ、そうですか?・・・残念です・・・でも時間はたっぷりありますから
一緒に住んでたら情も湧くってものです・・・チャンスはありますからね」
「チャンスなんて永久に来ないわ、ったく」
そう言いながら姉ちゃんはビールを一気に飲み干した。
ってことで、人間ふたりと幽霊ふたりの共同生活がはじまったんだな。
でも
それは俺にとっても意義のある大きな収穫なんじゃないかな。
とぅ〜び〜こんて乳。
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