第9話:それぞれのピンチ。

今朝も瑠奈るなに4時に起こされた・・・彼女が退屈って理由で・・・。

たぶん俺の脳には4時に起きることがベストだとインプットされた気がする。


でもって今朝は顔じゅう、舐められた。

瑠奈は※ブチャラティ女子か?

俺は瑠奈にこれっぽっちも嘘なんかついてないぞ。


朝メシは姉ちゃんが作ったから真っ黒いパンからは解放された。

早起きすぎるぶん、朝ドタバタはしなくなったのはいいことかもしれない。


「やっぱり学校行っちゃうんだね」


「瑠奈が帰って来てくれたんで、やる気でたからな」


「私を残して行っちゃうの?」

「お休みしないの?」


「そんな訴えるような目で俺を見ない・・・」


「あんま頻繁に登校拒否してたら学校から来なくていいって 言わたら困るだろ?」


「叶多がいないと寂しいな・・・私も学校に付いてこうかな」


「いや〜それはどうかな・・・クラスの中にだって姉ちゃん級に霊感強いやつ

いるだろ?」

「特に女子の中にはさ・・・」

「あいつ・・・「望井手 美奈のぞいて みな」なんか霊感強そうだぞ・・・」


「望井手、オカルト系好きだって聞いてるし・・・」

「もし死んだはずの瑠奈が教室にいたら、それこそパニックだよ」

「ホラー映画、流行ってるし・・・」


「学校終わったら、速攻帰ってくるから」

「おとなしく留守番しててくれる?」

「そうだ明日・・・土曜にだから、ずっと一緒にいてやれるし、退屈だったら

買い物にもでかけよう・・・な?」


「分かった」


(瑠奈は以前に比べて俺に対する依存性強くなってないか?)


「なにごちゃごちゃやってんの・・・私、先に出るよ」


「あ、お姉さんいってらっしゃい」


「瑠奈ちゃん・・・叶多がいなくて寂しいけどお留守番お願いね」

「なにかしようなんて思わなくていいからんね、おとなしくしてることが一番」

「そうだ、ヨガのDVDあるから、それでも見ながら精神集中して完全実体化

目指しなさい」

「誰かさんの欲求不満解消のために・・・」


「その言い方意味深だな・・・余計なこと言わないで、さっさと会社行けよ」


「ふん、この間まで、しなびたナスだった男が・・・」


にくさげ言って姉ちゃんは会社に出かけて行った。


「瑠奈、俺も行くから・・・姉ちゃんが言ったように、おとなしくしてること

テレビでも見てろよ・・・それとまだ外には勝手に出ないこと、いい?」


それだけ言い残して、俺が学校へでかけた。

ウツになりかけてた俺は瑠奈が帰ってきてくれたおかげで普通の状態に戻って、

ちゃんと授業を受けれてることに一安心した・・・。


のはよかったんけど・・・。


今朝、ちょっと話題に上がったオカルト女「望井手 美奈のぞいて みな」から、俺は屋上に呼び出された。

屋上?・・・それはめっちゃ嫌な予感がした。


「あのさ・・はるかくん・・・君、今付き合ってる彼女とかいないんでしょ?」


「え?・・・ああ・・・いない?・・・けど・・・」


(いない訳じゃないだろ・・・幽霊だけど俺には瑠奈がいるよ・・・)


「瑠奈ちゃん気の毒だったね・・・遥くん、もう立ち直れた?」


「ん〜まだちょっと・・・」


「そうだよね。そんなにすぐにはね・・・」

「あの私でよかったら遥くんの力になってあげたいんだけど・・・」


「え?」


「私、遥くんと瑠奈が付き合う前から君のこと、好きだったの」

「だからね、よかったら私と付き合ってほしいと思って・・・」


「え?・・・まじでか?」


(瑠奈・・・俺今、めっちゃピンチ)


*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


その頃、遥家にひとりの男性客が訪ねてきた。

ドアホンが鳴ったので瑠奈は、ろくに確かめもせず玄関のドアを開けた。


「どうも〜茲沢ここさわさん・・・馬草把 礼奈衣うまくさわ れないです〜」


「まあ、馬草把うまくさわさん・・・いらっしゃい」

「え?あなたが、なんでここに?」


「瑠奈さんがあの世に、なかなか帰って来ないからお迎えにあがりました」


「お迎え?」


「そうですよ・・・私、言いましたよね、少しの時間だけ現世に戻して

あげますって・・・」

「そうじゃなくても規則破っちゃってるわけですから・・・」

「帰ってもらわないと帳簿にお名前記載できないんですよ」


「え?〜私、あの世に帰らなくちゃいけないんですか?」


「もうお亡くなりになってますからね」


「嫌だって言ったら?」


「そう言われると私が困るんです」


「もし、私があの世に帰っちゃったら、叶多が悲しみます」

「ショックのあまり死んじゃうかも・・・」

「そんなことになったら、馬草把うまくさわさんの責任です」


「え?なんでそういうことになるんでしょう?」


馬草把うまくさわさんが私と叶多を引き離そうとするからですよ」


「引き離そうって・・・いや〜困ったな・・・」

「私もこのまま手ぶらであの世には帰れませんし・・・」

「手ぶらで帰って、もし私のしでかしたことが閻魔様にでもバレたら

絶対地獄行きですよ、だからおとなしく私とあの世に帰ってもらえません?」


「帰りません!!」

「私だって困るし・・・って言うか誰になんて言われたって絶対帰りません

からね・・・あの世になんか・・・ずえ〜ったい!!」


「え〜ん、叶多〜助けてよ〜、瑠奈今とってもピンチだよ」


とぅ〜び〜こんて乳。


※ブチャラティ女子とは・・・

顔の汗の味で嘘をついているかどうかを判断できる女子のこと。

嘘をついている人の顔を舐めれば、「これは嘘をついている味だぜ」

ってバレちゃうんだそうだ。

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