第5話:姉ちゃんは人一倍霊感が強かった。

「うん・・・まあいいわ」

「幽霊でもなんでも瑠奈るながいてくれるってだけで俺は嬉しいから」

「でも、瑠奈の姿、俺以外には、たとえばクラスのみんなには見えないんだよな」


「うん見えないと思う」

「見えるのは私に愛情持ってる人か、霊感がめちゃ強い人、その他の人はたぶん

私が気合と根性で実体化しない限り見えないと思う」


「そうか・・・分かった」

「俺、今日は学校さぼってこのまま早退するから、とりあえず俺と一緒にマンションに帰ろう 」


「え?早退するの?」


「そうたい・・・なんちゃって・・・」


「つまんない・・・」


とんだアクシデントで亡くなった俺の彼女・・・それが幽霊になって帰ってきた。

俺に未練があって帰ってきたみたい。


俺のことを愛してなかったら未練なんてないわけだから帰って来ないだろ?

帰ってきたってことは、俺に冷めてないってことだもんな。

その気持ち、涙が出るくらい嬉しいし、可愛いじゃないか。


てなことで瑠奈は俺のマンションで、姉ちゃんて言う小姑の元で俺と一緒に

暮らすことになった。


と言うのも瑠奈がこのまま自分の家に、うかつに帰っちゃって両親が彼女を見て、ぶったまげてポックリ逝っちゃったらいけないからって言うんで、ひとまず俺の

マンションに俺と一緒に暮らすことになったわけ。

まあ、当然といえば当然かもしれない。

親に心配かけちゃいけないもんね。


で、姉ちゃんには瑠奈のことは見えないだろうから、しばらく彼女のことは

内緒にすることにした。


だから俺も言動に気をつけなくちゃ。

うかつに姉ちゃんの前で姉ちゃんには見えない瑠奈と話さないようにしないと、

こいつひとりでなにしゃべってんだってアホ扱いされたら、たまったもんじゃ

ないからな。


もしかしたらいずれバレるかもしてないけど、その時はその時。


って思ってたんだ。

でも会社から帰ってきた姉ちゃん、開口一番。


「あ〜ら瑠奈ちゃんいらっしゃい・・・あの世から帰ってきたんだ」

「お帰り〜♪」


「え?・・・うそ〜姉ちゃん、瑠奈が見えるのか?」


「ナニ言ってんのあんた、あたりまえでしょ、姉ちゃんを舐めんなよ」


「なんで?・・・なんで瑠奈に愛情持ってるわけでもない姉ちゃんになんで

瑠奈が見えるんだよ」


「あのな、私、人一倍霊感強いの・・・だからいろんな人の霊が見えちゃうんだよ」


「まじで?・・・ずっと一緒に暮らしてて、ち〜とも知らんかったわ」

「めちゃ気、使って損した・・・」


「お姉さんよろしくお願いします」


「こちらこそね、瑠奈ちゃん・・・幽霊でもなんでも瑠奈ちゃんさえいてくれて

それで、このショータレが元気取り戻してくれるならいいんじゃないの? 」


「ショータレた〜なんだよ」


「瑠奈がいないと生きていけない〜って嘆いてたのはどこのどいつだよ」

「あの状態ならいつかウツになって死んじゃってるよ」

「だからさ、瑠奈ちゃんよく帰ってきてくれたんだよ」


「まあな・・・それは俺も思うわ・・・」


さて恋人同士なんだから、一緒のベッドで寝るのが普通なんだけど、幽霊って

基本眠らないんだってよ・・・。

だから俺が眠ってる間も瑠奈は俺の背中にくっついて添い寝してるっつうわけ。

眠らないから、なにやらごそごそやってる。

瑠奈が動くたびに俺の背中に、おっぱいが当たるんだ。


って言うか、以前よりおっぱいデカくなってないか?

幽霊になると女はおっぱいがデカくなるとか・・・。


そして次の朝、まだ太陽も顔を出さないうちに俺は瑠奈に無理やり起こされた。


つづく。


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