14 暴食=節制

『――…実際塩を振って焼いたら美味しそうよね…』

「……へっ…?」


なんか今、仲良い友達の口から怖い言葉が聞こえたような気がしたけど…? 気のせい、かしら…。


「うわっ、あれだけあった食料がすっからかん…」


平気で二十人前ぐらいの食料を軽く平らげるなんて……一体この子の小さな身体の何所に吸収されたのよ。


「本当に同じ人間なのか、毎回疑問に思うわよね…――ん?」


ふと友達の口元に目をやると、そこには透明な液体が口の中から溢れていた。


「……あれだけ食べて、まだ食べ足りないって言うの…?」


〔”やっぱり人外じゃないかしら。この子は”〕


でもきっと、我慢したが故の反動なんでしょうね。何だかんだ言って、一ヶ月ぐらいは普通の性格をしていたんだから。


〔”元々大食いの人間が”〕


――…ひと月に一日だけ設けた「暴食の日」…。

その日だけは、好きな物を好きなだけ…――”大量”に食べてよく、偶々私が訪れた日がその日。

そして全部食べ終わると、


『……ぐぅ~…Zzz』


あの様に眠りに就く。

……改めて見ても、本当に不健康な一日を送ってるわよね。

――でも。


「あれで病気に罹らないんだから、ほんと不公平よねぇ」


〔”その内丸々っとした雌牛になればいいのに…”〕

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