12 憤怒=慈悲

「――…腹立ってきた腹立ってきた腹立ってきたァ~‼ もう嫌ッ! 全部嫌ッ‼」

「……」


今日も……私のお友達が、一人で暴れてる…。


「……今日はいつにも増して激しい気がするけど…」


〔”なにが、あったのかな…?”〕


分からない…。

なんであんなに激しく、大きく怒っているのか?

一体なにが原因で怒っているのかが、私には分からない…。

――そんな時。


「……ん?」


私は、ある物に目が向いた。

それは友達の足元に落ちていた、二つのプラスチック容器…。中には崩れたケーキが入っている。


「……」


〔”もしかして、アレを落としたのが怒ってる原因…?”〕


「……はぁ…」


凄く心配したのに、原因がアレじゃ流石の私でも溜め息が出ちゃうよぉ…。

まさかケーキを落としたぐらいで、こんなに怒るなんて…――。


「…ん? あれ…?」


注意深く。落ちたケーキの容器を見てみると…――それぞれの容器に、私とあの子の名前が書かれていた。


「! ……そういう事ね…」


落ちたケーキと、暴れ狂う友達。

この二つを再度見て、私は理解した。


〔”きっとあの子は怒ってるんじゃない。悲しんでるんだ”〕


一応怒ってもいるんだろうけど、でもそれは「自分」に対して。

そこへ「悲しみ」と「罪悪感」が混ざった事でおかしくなって、我を忘れちゃってるんだと思う。

……ううん。きっとそうだ。


「……私の分を用意して、私と一緒に食べようとしたんだよね…。多分」


優しい。

優しい優しい、私の友達。


〔”なら直ぐに落ち着かせないとね。ケーキのお礼として”〕

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