11 嫉妬=忍耐

アハハ、と小さくも奇妙な笑い声を上げてる一人の女性。

……私の大事な、友達を遠目に見て、思わず溜め息が零れる。


「……まったく。今日もおかしくなってる…」


いつも以上に狂ってる…。これじゃ正気を取り戻すのに相当な時間が掛かりそうね。


「ちょっと?」


声を掛けても反応が変わらない。

……これは予想以上の最悪な状態…。多分私がなにをしても状態は好転しないだろうし、むしろ下手に触って悪化しそうだわ。


「……どうせ、また我慢し続けて限界に達したんでしょうね。本当にしょうがない子なんだから」


この子は普通の人よりも我慢強い性格をしている。

プラスな事でもマイナスな事でも。どんな事でも強固な性格で「我慢」をし、繊細な心を封じ込める。

だからこそ「我慢」が限界に達し、そのまま突破してしまうと…――こういう風に酷く豹変し、まるで人格が変わったかの様におかしくなってしまう。


〔”これは我慢による反動なんだ”〕


「……ほーらっ、あんまり変な笑い声を上げないの! こんな所を知らない人に見られたら、一番悲しむのはアンタなんだから」


反動が治まり、元の我慢強いこの子に戻れば当分はおかしくならない。

――だからそれまでは。


〔”元に戻るまでは、私がしっかりとケアしないとね”〕

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