10 強欲=救恤

『――…馬鹿だわ、ウチは。正真正銘の、大馬鹿者だわ……!』

「……」


〔”ま~たやってるわ。やれやれ、本当に子供みたいね”〕


私の視線の先で一人悶え、ポカポカと自分の頭を叩いてる一人の女性。

彼女は私の友達で、遊びに誘おうと来てみればこの有り様…。


〔”まあ可愛らしくて、見てて面白いけど”〕


でも…――ま~だ引き摺ってるのかしら? あの子がこの子の元から離れた事を。


「はぁ…。あんだけ”残り”が居るんだから、一人ぐらい離れても別にいいじゃない」


まあ聞いた話じゃ、あの子は特にお気に入りだったみたいだし、この子的には特に大ダメージだったんでしょうね。私には理解出来ないけど。


「……」


〔”この子もこの子だけど、あの子もあの子よね。この子に助けてもらったのに、恩を仇で返すんだから”〕


……理解出来ないわね。

貧困地から助けられ、この子の「家族」として迎えられたのに、離れるなんて…――最低な女ね。アイツは。


「……ちょっと~! いつまでもウジウジしてないで、いい加減元に戻りなさい!」


〔”強欲が故に、失くした瞬間は地獄の時間。だからこそ、今度は私達がこの子の地獄を和らげてあげなくちゃね”〕

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