9 傲慢=謙譲

『――…寂しい、なぁ…』

「……」


寂しそうな表情で虚空を見詰めてる一人の女性。

彼女は私のたった一人の、大事な友人。

ブツブツと言ってるけど、多分また一人で自己卑下してるんでしょうね。

いつもはガツガツ物事を言ったり、皆んなを引っ張ってくれるリーダー気質な子なんだけど…――よくああやって落ち込んだり、卑下したりするのよね。


〔”難儀な性格な、可哀想な子”〕


でもあの子は、ちゃんと改心しようとしてる。

まあ直ぐに「ごめん」って言えないから”仲違い”が起きて、今まで幾度となく友達を失くしてきたんだけど…。


「だけど、全部が全部あの子が悪い訳じゃない」


あの子に近寄るのは、大体が理解も歩みもしないお馬鹿ばかり。

そんな人達は直ぐに離れてあの子の周りにはもう居ないけど、そうじゃない人達はちゃんと居る。


〔”私も、その一人”〕


そして待ち続けた事で気が付いた。あの子の”本当の姿”に。

「謙虚」…とまでは言えないけど、それでもしっかりとした礼儀を持ち、自分以外の人間を”上”に上げる心を持っている。

自分を前に出し、皆んなを引っ張ろうとしてるのは…――あくまでも「他人」を引き立てる為。言ってしまえば彼女流のプロデュースという事。

――だから、きっと。


〔”彼女の周りが上がれば、きっと彼女は後ろに下がると思う”〕


「そんな時が来たら、今度は私達があの子の代わりをしないとね。感謝とお礼を添えて」

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