6 暴食

「――……足りない…。全然足りない」


空腹。

時間が経てば経つ程お腹から大きな音が鳴り、強烈な苦しみと食欲が全身を突き動かそうとしてくる。


〔”今にも暴れ出してしまいそうな程にまで”〕


……食べ物…。

何でもいいから、食べ物が大量に欲しい。


「……でも、今此処に食べられる物なんて無い」


一つも、無い。

あれだけ残っていた大量の食料も完全に無くなり、その全てが〈オラ〉の胃袋へと保管された。だから此処には、もう食べられる物は一つも無い。

――それこそ。


〔”ちょっとだけ肉付きの良くなった、この身体だけ”〕


「……実際塩を振って焼いたら美味しそうよね…」


言ってる自分でも感じる、ゾッとした恐怖心。

それでもオラのお腹は鳴り続け、口の端からは溢れ出した涎が流れ落ちる。

……本当に、もう限界。お腹空いた。


〔”このままじゃ自分の身体どころか、そこら辺に落ちてる雑草とか石とかも食べてしまいそう”〕


あまり猶予は無い、深刻な状態…。


「あ~あ…。空から飴玉でも落ちてくればいいのに」


空からは飴玉。

地面からは甘いジュースが噴き出してほしい。

……あぁ、だめだ…。そんな事を考えてると更にお腹が空いてくる…。


「……」


〔”食事出来ないって、オラにしたら地獄でしかないわよね”〕

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