4 憤怒

「――…あァ~、もぅ~~~‼」


全身の血液が沸騰する様な感覚と、荒波の様な激しい感情が脳内を埋め尽くす…。


〔”怒り”〕


人間が最も生み出し易い、真っ黒で真っ赤な禍々しい感情。

それに支配された〈アタイ〉は身も心も穢され、今はその感情の思うがままに「怒り」を巻き散らしていた。


「~~~‼ 腹立ってきた腹立ってきた腹立ってきたァ~‼ もう嫌ッ! 全部嫌ッ‼」


血管は熱を増し、強過ぎるイライラが頭を痛くする。

でもこれだけイライラしてるのに「なんでこうなったのか?」が全然思い出せない…。

きっと嫌な事があって、それで「怒り」が限界まで達したんだろうけど……あァ、だめ…。全然思い出せない。


〔”思い、出せない……!”〕


「~~! ダメだダメだダメだアアアアアッ‼」


分からない分からない分からないッ!

なんでイラついてるのか、どうしてここまで腹が立つのか。全然見当も付かないし、付かないからこそ更なるイライラが…――「怒り」が生まれてくる…!

――そして。


「もう本当にふざけ…――イタッ⁉」


「怒り」に支配されたが故に、アタシの右手が壁にぶつかった。

鋭い痛み…。同時に激しい感情が心の底から脳へと伝わってきて、


「…ッ…うぅ…‼ なんでこうなるのよォォォ‼」


アタシはアタシが制御出来ない程にまで怒り狂っていたのだった――…。

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