第89話 二人の関係
家に帰ってから、食事やお風呂を終えたグランとアリシアはベットの上に座っていた。
アリシアはグランの胸に背中を預けており、グランはアリシアを後ろから抱きしめる形である。
抱きしめる強さがいつもより強かったが、アリシアは何も言わなかった。
家に帰って来たからのグランは何か考えているのか、口数が少ない。
今こうして抱きしめている間もグランは微かに震えていた。
グランがこうすることで不安が和らぐのなら、アリシアはいくらでも待つつもりであった。
アリシアがどれぐらい抱きしめられていたかは分からないが、ようやくグランが口を開き始める。
「アリシア」
「何ですか、グラン?」
「………………ヒュレンに帰って欲しい」
グランが言うと同時に抱きしめるのが強くなった。
アリシアはどうしてそんなことを言うのか察しがついていたが、グランの考えを聞くために問いかける。
「わたしのこと邪魔になってしまいましたか?」
「そんなことあるわけない!」
「じゃあ、どうしてですか?」
「……ドウコが次に襲って来た時に守れないかもしれない……」
グランの震えが一段と強くなった。
アリシアを守ると誓ったグランにとって、その言葉を吐くのは辛いことである。
「あいつは俺を狙ってくる。そのせいで、アリシアも狙うと言っていた」
弱いところを見せて、アリシアに嫌われるかもしれない。
それでも、グランにとってアリシアが傷つくよりはずっとましだった。
「ヒュレンなら、キースさんもフレイアさんもいるから安全だ、だから────」
「グランも一緒に帰ってくれるなら良いですよ?」
グランは言葉に詰まってしまう。
グランも狙われているな一緒に帰るのは、正しい判断であった。
あそこならば、冒険者たちはグランとアリシアの味方である。
易々とドウコも手は出せなくなる。
「グランは王都に残るのでしょ? あの聖女が言っていた王都が狙われるって話のために。グランは優しいですから放っておけないですよね」
図星を突かれ、グランは腕の力を緩め顔を背けた。
アリシアはグランの腕から抜け出して、彼の顔を胸に抱き寄せる。
「こんなに震えてしまって……。私がグランのことを弱音を吐いただけで嫌いになるわけないじゃないですか。グランはもっと私に弱いところを見せて、甘えて、お世話されてください」
「うん……」
「グラン……私も言わないといけないことがあります……」
「何?」
「今日、上級回復魔法が使えるようになってました……」
グランが息を飲んだ。
「おそらく聖女がいなくなったからですかね。それで奪われていた"聖女"のスキルが戻って来たのでしょう。良い思い出はありませんが、強力な力です」
グランの目を見て、アリシアは微笑む。
「私もグランを助けます。だから、一人で抱え込まなくて良いんですよ。それにオルレアもファルティナ様も何か考えてくれるはずです」
アリシアはグランの頭を優しくなでる。
「グラン……大好きですよ」
「俺も大好きだ。アリシア」
見つめ合った二人はキスをして舌を絡めていく。
一度では止まらずに何度もした。
呼吸も忘れて繰り返していく。
唾液が混ざり合い、すでにどちらのものか分からなかった。
顔を離したときに糸を引いた唾液がベットに落ちていく。
グランもアリシアも互いに熱っぽい目で見つめ合っていた。
オルレアの性教育以降、過ちを犯さないように二人は過度な接触はしていなかった。
互いに抱きしめ合ったり、軽めのキスぐらいである。
何とか自分たちで抑えられる行為に留めていた。
けれど今日はもう無理そうである。
グランはアリシアの胸に手を伸ばした。
アリシアを気持ちよくさせたい一心で優しく丁寧に扱う。
グランが触る度にアリシアはくすぐったいのか気持ちいのかは分からないが、声を我慢しながらも息がどんどん荒くなっていく。
グランもそんなアリシアの様子に下半身に血が集まってくるのを感じた。
「んんっ、はあ、はあ、グラン良い?」
グランがアリシアを離すと、彼女は少しだけ離れて着ていたネグリジュをたくし上げ脱ぎ始める。
そこから見えてくるのはアリシアの細身の身体に、長い手足。
腰のくびれからお尻のラインは美しい軌跡を描いている。
そして、形の良い大きな美乳が現れた。
「グラン……私の体はどうですか……?」
「すごく可愛くて綺麗だよ」
グランがそう言うと、アリシアはハニカミながら近づく。
「グランも脱いで……」
アリシアは一枚一枚服を脱がしていく。
全てを脱がし終えると、巨大になったものがそそり立っていた。
アリシアは気にせずグランの胸元に抱き着く。
「グラン、最後までしてください……」
上目づかいでお願いしてくるアリシアをグランが断ることなどできなかった。
それにグランも今更止まることはできない。
二人の夜はまだまだ終わらない……。
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次回から5章になり 王都動乱編です。
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