第十一話 龍の子たちと前女王陛下と前王妃(その2)
私達は祈織の部屋に着いた。この部屋はあの時のままだ。私がそんな事思っていると祈織も同じ事を思っていたのが祈織は言葉を紡いた
「この部屋あんまり変わんないね。まぁ3年ぐらいだもんね。」
「そうだね。祈織にとっては幼少期からだもんね。そして…」
「ここで莉愛と志龍を産んだからね。王室専属のお手伝いさんがいるから」
「王室に仕える侍女だね」
「そうね。わたし、その言い方好きじゃないからお手伝いさんって呼んでるけどね」
「祈織様はお優しいもんね〜」
「もうっ…/////」
私は冗談で祈織をからかったら祈織はぷくーっと頬を膨らませた。いや可愛すぎますって…と思ってたら私と祈織の足元から元気な声が2つ聞こえた
「みて!しりゅう!おおきいおへやだよ!!おおきいべっどもある!!すごいね✨️✨」
「うん!しゅごい!!」
「でしょでしょ♪ここはね、祈織ママのお部屋なんだよ♡ほら、このピンク色のクマさんのぬいぐるみ可愛いよね♪ここの部屋にはクマさん以外にもいっぱいぬいぐるみあるから莉愛と志龍が好きなぬいぐるみ2人にあげるね♡祈織ママが2人にプレゼントだよ〜♪♪」
なんと祈織が娘2人に幼少期から集めていたぬいぐるみをプレゼントすると。見渡すと確かにぬいぐるみだらけだ。その中でも常にベッドに鎮座してるピンク色のクマのぬいぐるみが一際目立っていた。相当お気に入りなんだろうなと…私は何故かそのピンク色のクマのぬいぐるみに見覚えがあるのをふと感じた。それを確かめるように祈織にとある事を聞いた
「ねえ、祈織。そのピンク色のクマのぬいぐるみってもしかして…」
「そのもしかしてだよ♡」
「あ〜!やっぱり!!それって私が祈織にプレゼントしたやつよね!!」
「せいか〜い♪♪」ニコッ
ですよね〜そりゃ見覚えあるわ。確か9歳ぐらいの時に私だと思って大切にしてねってプレゼントしたやつだもんね。それにしても綺麗に大切にしてもらってたんだなって。それを分かっただけでも嬉しいな♪
「そのクマちゃん、りゅうママがいのりママにプレゼントしたんだね♪♪」ニコニコ
「うん♪そうだよ♡」ニコッ
「そうなんだね♪よかったねりゅうママ♪♪」
莉愛は私達の会話を聞いてたのか笑顔で良かったねって伝えてきた。ほんと出来た愛娘だなと。そんな事思っていたら扉が開いた。そこに居たのはコール様とグラス様だった。そういや2人に会いに来たんだっけ。私は家族水入らずにしようと扉へと向かったがとある人物が私に声を掛けて引き止めた…そのとある人物というのが
「龍耶、貴女もここに居てもいいの?貴女の事だから家族水入らずで要らぬ気遣いしたと思うけど。貴女も家族の一員なのだから」
コール様だ。流石前女王陛下様なだけある。コール様は祈織の伴侶である私も家族の一員だと仰った。そういう所聖霊魔族なんだなと自分の母親である姫神愛龍が頭に浮かんだ。愛龍母さんも私の伴侶である祈織を家族の一員だと言ってくれたっけ。聖霊魔族は種族問わず皆家族という種族である。1人が悲しんでれば一緒に悲しむし1人が嬉しい気持ちでいれば同じ気持ちになるそんな種族であるのだ。感受性が豊かなんですよね
「ありがとうございます。コール様。それではお言葉に甘えて私も御一緒させて頂き光栄に存じ上げます。」
私は片膝を付き、深々と頭を下げ敬意を称えた。それを見たコール様は指で頬をかきながら苦笑いを浮かべた。そんな姿を見てた祈織は私にこう言葉を紡いだ…。
「堅すぎだよりゅう。コールお母様が苦笑いしちゃってるじゃない。なんでこう真面目なのよ」
「えっ?だってコール様と言え、前女王陛下だし……」
「まぁそうなんだけど…ほら、龍耶は祈織の奥さんな訳だしさっきも言ったけど貴女も私達グレイス家共に家族なのだから堅っ苦しいのは無しにしましょ?って」
コール様…貴女がそれを言いますか。いやはアレは仮の姿(男性の姿)だけどさ。今度はグラス様がコール様に鋭いツッコミを入れた。
「超堅物ゴリラ(祈織命名)のコール様がそれを言うのはどうかと……」
「それは仮の姿の私であって私ではないわぁ〜〜〜〜」
「コールおばあさまってゴリラさんなの??」
莉愛は超堅物ゴリラという言葉に反応したのかとコール様に問いかけた。純真無垢な心で悪気もなく…これが小さい子故の現実なのである。すみませんコール様。ドンマイです。
祈織はそんな莉愛を諭す様に優しくこう答えた。まぁ…超堅物ゴリラと命名した張本人なんだけどね
「莉愛、コールおばあちゃんはゴリラさんじゃなく凄く優しいおばあちゃんよ。誰よりもママ達を思って考えてくれてる凄く優しいママのお母さんで莉愛達自慢のおばあちゃんよ♪」ニコッ
「そっか!コールおばあさま!!」
「ん?莉愛??」
「コールおばあさまだいすき♡♡えへへ♪」
「ぐはぁぁぁ…!!!莉愛ぁぁぁ!!!コールおばあちゃんも大好きよ〜♡ぎゅ〜〜っ♡♡」
「ははは♪コールおばあさまくすぐったいよぉ〜〜♪♪」
コール様…ちょろいですよ。流石聖霊魔族ですね。うちの愛龍母さんも孫達には激甘だからやはり聖霊魔族なんですね。知ってたけど。この後、グラス様は志龍を何処かへ連れて行って数十分後に戻ってきたのだが…志龍の手には両手いっぱいのお菓子等があった。コール様も十分甘いけどグラス様もめちゃくちゃ甘かったという。祈織は呆れつつも楽しそうに笑っていた。それは幸せそうに。私はそんな祈織や莉愛、志龍を見ながらほんの些細な幸せも噛み締めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます