第五話 龍の休息

私は今、正座をさせられてるところだ。なんで正座してるのかって?それは今から遡ること数時間前……

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〖数時間前〗


「こらガウ!調子に乗りすぎ」


「龍耶様がもっと魔力解放しろって言ったじゃないですか〜。ね、莉愛様〜??」


「うん!りゅうママがガウちゃんにもっとって言ってたよ〜」


この親(私)にしてこの子(莉愛)あり。我が娘ながら口が達者ね。私と祈織の子供だから当たり前なんだけどね


「くっ…確かに言ったけどもう少し制御出来ないの?ガウ」


「仕方ないですね…ちょっと待ってくださいね。…はぁぁぁぁぁ」


ガウは渋々とした顔で魔力をコントロールした…が私はその時1つやり忘れた事があった。この後あの事件が起きようとは……


「あの…龍耶様。1つ聞いてもよろしいでしょうか?」


「なによ」


「防壁魔法使いました?」


「あ…忘れてた」


「ごめんなさい…祈織様」


バキッ!ガシャン!!パリンッ!!


私は訓練の時は絶対に防壁魔法を使うのだが今回は使い忘れてしまい家のある一部をガウの魔力で破壊してしまったのだ。そして冒頭に戻る。

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「まったく…壊れた場所がそんなに使わない離れだから良かったけど本邸だったらどうなってた事か。龍耶聞いてる?ガウもよ」


「は、はい……」


「祈織様申し訳ないです……」


「飼い主も使い魔もやんちゃすぎるわ。でも龍耶にしては珍しいね。いつもだったらちゃんと防壁魔法使うのに…もしかして疲れてる?」


祈織は普段の私と違う事を見抜いていた。そうここ最近、書類作成だ何だと色々と忙しくてまともに休息出来ていないのだ。その合間に莉愛の魔力を向上させる訓練をしている。使い魔のガウでさえ見抜け無かったことをこの女性…私の嫁は見抜いていた。流石我が妻、祈織だ。


「龍耶、少しの間休暇取ったら?書類作成の事とかわたしが連絡しとくから。職場でも大変なんでしょ?まぁ職場では上の立場だから休息するのも難しいだろうけど無理したらそれこそダメだと思うし」


「え?あ、うん。私がいなくても大丈夫かな…と」


「それ龍耶のダメなところの1つ。1人で抱え込みすぎだよ。それ大丈夫だと思うよ?龍耶の部下達を信じてあげて。仮にも聖霊魔族の王であるし職場では上司でもあるんでしょ?」


「そうだね。職場の方の連絡は祈織に任せるよ。アイツら(聖霊魔族)の方は私が……」


その時祈織が私の唇に人差し指を置いて言葉を押し止めた。


「””両方””共わたしが連絡しとくから龍耶はゆっくり休んでてね♡」ニコッ


あーこれは…つべこべ言わずわたしに任せろって仕草だ。こうなったら私は祈織に従うしかない。それが私と祈織の暗黙のルールなのである。


「龍耶様龍耶様〜聖霊魔族の王妃は歴代怖いんですか?」


「シオン母さんも怒らせると怖かったもんね...普段はニコニコしてて怒らなさそうだし」


「うちのお姫様2人はどちらに似るんでしょうかね......」


「莉愛は確実に祈織似だから...私に似るのは志龍かな」


「ですよね〜。なんとなく想像つきましたよ」


私はガウと歴代聖霊魔族王妃の話と娘二人の話をした。その間、祈織が鬼の形相で職場に連絡をしていた。僕に頼りすぎてる部下達に喝を入れたのだろう...職場行ったら龍耶さんの奥さんは怒らせたら怖いって噂が流れてるよきっと…。すまないね皆。


「まったく...。どれだけ龍耶に頼りすぎてるのよもうっ」


「ま、まぁ私が心配で手伝ってあげたり引き受けてあげたりしてるから」


「甘やかすのは龍耶の良いところでもあるけど悪いところでもあるよ?育つものも育たなくなるし」


「それには私も同意です!祈織様!龍耶様は甘すぎます!!私みたいのがわんさかいるのは正直どうかと」


「ガウ...フォローになってないよ」


祈織にもガウにも甘すぎと言われた私は自分でもそうだよねって気持ちだった。


「それで祈織様。龍耶様をどうします?簀巻きにして寝室に投げときますか??たぶんこの方、無意識に作業しだしますよ?」


「ん〜そうね...どうしようかなぁ」


ガウ!?何言ってんの!?祈織は祈織で自分の唇に人差し指を起きながら考える仕草してるし...てか祈織さん、その仕草可愛すぎるんですけど??誘ってます???


「流石に簀巻きは可哀想だからわたしが見張ってようかな。龍耶に休息与えないとだし」


「祈織...」


「見張るのは大袈裟だけどそこまでしないと龍耶は無理するからね〜」


「そうですよね。それはごもっともな意見です。という事で龍耶様?」


「そういう訳だから龍耶?」


1人と1匹(今は人型だが)は私に詰め寄り......


「ちゃんとゆっくり休んでくださいね!龍耶様!!莉愛様と志龍様は任せてください!!」


「ね♪ほ〜ら、龍耶。寝室でゆっくり休もうね♡」


「お、おう...わかった」


私は言われるまま休息を取る為に寝室に向かった。嫁に強引に引っ張れながら...。この後ゆっくり休息できたのは言うまでもない。

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