まもりとお泊まり!ボクモンであそぼう!② #クソゲーにしか見えない

ボクと赤ちゃんとモンスター、縮めてボクモン。

このゲームの世界にはたくさんのボクモンが存在する。彼らを仲間にして冒険し、8つ有る研究室ジムから推薦状バッジを獲得。最強の存在「名誉教授チャンピオン」 を倒して殿堂入りすることを目指す。これがボクモンのストーリーラインだ。

…………中々おかしいストーリーだが、ツッコんではいけないゾ。



「とりあえず最初のボクモン決めようね」

「あたし、この如何にも男を知ってそうなボクモンにしようかな」

「シボリトルね、いいんじゃないかしら」

「あっ!いきなりライバルと戦闘だってよ」

「愛璃ちゃんは初代経験者だし、あれと同じ流れで戦っていいわよ」

「シボリトル!すいとるだ!

 ……あれ?相手のボクモンが勝手に倒れたけど」

「賢者タイムよ」

「そんな状態異常知らんわ」

「メスのシボリトルがオスのボクモンに対して吸い取る系の技を使うと、時々こうなります」

「あたしの知ってるボクモンは死んだのか」



コメント

・シボリトルにする以外の選択しないやろエロ川くん

・エロザル、オボッチャマとの3択じゃあねぇ……

・いきなり正解を叩き出していくスタイル

・シボリトルはエロ川だった……?

・すっごいシンクロ率





…………


「最初の研究室だよ!!でも鍵かかってる……」

「研究室の管理者である助教ジムリーダーは炭鉱の奥深くで不倫相手の大学院生ジムトレーナーと密会してるから、そこに行くと研究室を開けてもらえるわ」

「大丈夫?強請ゆすってない?」


…………


「まもり!『吐きたいの森』に入ったら女の人に話しかけられたよ」

「ハニートラップだから注意してね」

「森なのに……?」

「『吐きたい』って、好きだった女が突然居なくなって吐きたい、って意味だから」

「すっごく気持ちわかるからこの女についてくわ」


…………


「わっ!敵組織が出てきた!!」

「ボスがスポーツ選手で、この世全てのリハビリテーションを我が物としようとしてるのよ」

「はぁ」

「だからボクモンを使って理学療法士を拉致しているのだけど、主人公……すなわちうわきクズがそれを止めようとしてるの」

「ちなみに、うわきクズの職業って?」

「整形外科医」

「あそこ陽キャだらけだもんなぁ……」

「…………あくまで個人の感想よね?」


…………



コメント

・巷ではIAPより狂っていると言われるゲームですから

・対戦はガチで面白いのよ、対戦は……

・ストーリーは読み飛ばし推奨されてるし

・小学生にやらせてはいけない

・だからボクモン実況者はやべーやつが多いのか

・まもり然り、毎回スナイプしてくるあの娘然り……

・そのドラゴン娘は今日もランクマで対戦相手を煽ってる模様

・地雷だらけなのにエロ川が頑張ってて偉い

・この世の全て(の理学療法士)を手に入れた男、リハビリ王ゴールド・ロ◯ャー

・前から思ってるんですけど何で江戸川は医療関係の知識備えてるんですかね

・多分医者とヤったからだよ!それも地雷なんだよ!!





…………





「ついに辿り着いた!!トーキョー大学!!」

「長かったわね〜」



冒険を始めて5時間ほど。

ついにあたし達は、名誉教授の待つ最終地点……トーキョー大学に乗り込もうとしていた。



「みんな、ここまでありがとね……」



そう言って、あたしはパーティメンバーを眺める。



【うわきクズのてもちボクモン】

シボリトル♀[Lv62] すいとる ギガドレイン じだんだ のろい

レンカノー♀[Lv57] かみつく みちづれ すてみタックル のろい

コダクサン♀[Lv55] しおみず はきだす はたく のろい

ヨルノヒメ♀[Lv55] そらをとぶ さいみんじゅつ あくむ のろい

バブリアス♀[Lv60] さわぐ げきりん あなをほる のろい

ダクケイル♀[Lv55] しびれごな ねむりごな

どくどく のろい



コメント

・なんでこのメンバーで勝てんねん

・解釈一致技しか覚えさせてない

・『うわきクズに捕まった女はこういう技ばっか使う』By愛璃

・レンカノーがオタクンをすてみタックルでぶっ倒した時マジで声出た

・いや、リアルでやっちゃ駄目なんですよ

・そもそも水タイプのオタクンなら電気技使えよ

・全員のろい覚えさせてんの草

・そして全員が急所も追加効果も引きまくるという

・プレイヤーとシンクロしてるからね、仕方ないね



「いざチャンピオン…………もとい名誉教授戦だ!」

「あー、あのね愛璃ちゃん」

「さぁ行こうッ!!」



そう言ってあたしは、トーキョー大学最深部の名誉教授室へ乗り込んだ!!






「…………誰もいない?」




「名誉教授ってあんまり大学いないからさ。今日は会えないよ。水曜日にならないと駄目」

「…………ってことは?」

「今日はここまでです」





「クソがぁぁぁぁぁ!!!!!!」





コメント

・はい、どんまい

・もう一回遊べるドン!!

・巧妙な2回目への伏線

・策士まもり、2回目のお泊りコラボを狙っている

・やっぱり頭いいなコイツ

・なら早く健康診断行けよ……











配信終了後。

まもりのベッドに倒れ込んだあたしは、もう完全にスイッチが切れていた。



「まもり〜もう寝ようよ〜」

「私のベッドでいいの?」

「一緒のベッドでねる!!」

「もう……仕方ないわね……」



そう言いつつ、慣れた手つきで3錠くらい薬を飲んだまもりは、あたしに歩み寄る。



「でも、もう少し寝れるまで時間かかるから、愛璃ちゃんは先に寝な」

「えー!折角の機会なのにもったいないよぉ」

「昔からこうだからしょうがないの。もう慣れたから。ほら、おやすみ」

「はーい……おやしゅみぃ……」



電気が消され、あたしは夢へと吸い込まれていく。






翌朝、ベッドで起きたあたしは、隣で同衾しているまもりを起こす。



「ほら、遊びに行くよ〜」



叩いても起きない彼女に呆れていると、彼女の手元にあったデバイスを見つけた。



「なんだろこれ……睡眠時間とか書いてあるな。計測デバイス的なやつ?」



そして、画面を見やると……




【今回の睡眠時間:2時間49分

 今月の平均睡眠:2時間35分】




「いや、寝なさすぎでしょ!!!!」



興味を超えてもはや普通に心配になってきた、あたしなのであった。

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