第47話
«浮遊»で空を飛びあっという間に王都についた。 実はアルスが王都に向かうと知って、道中にある貴族家が歓待していた事など知る由もない。
「相変わらず綺麗な街だな」
「俺はすっかりシー・アラックの方が気に入っているけどな」
「私もです」
王都に入ってすぐ文句を垂れるアルス達に怪訝な目線を向ける通行人たち。 流石にまずいと思ったアルス達はそそくさと高級宿に入った。
「作戦会議とは言わないけど、どう対応するかは決めておかないとな·····ゼロの報告では裏の人間を使ってる所もいるらしいし」
「王都に入ったら早速視線を感じましたからね」
「ここってアルスの生まれた国だよな?どれだけ住みにくい国だよ」
『·····僕も鬱陶しいって思っちゃった』
「ははは、皆辛口だな〜··········まあぶっちゃけ愛国心は薄れる一方ではあるけど」
度重なるトラブルにアルスもうんざりしている所はあった。
「まあ殺すのはまずいんじゃないか? 逆に刺客を全員生かして返した方が、相手に恐怖を植え付けられるだろう」
「私は問答無用でもよろしいかと、甘い処置をしたら馬鹿共はつけ上がります」
珍しくエレノアの過激な発言に驚きつつも、対応を思案するアルス。
「ダイアスの案で行こう、余りにもしつこく刺客を送ってくる家があったら、軽くお礼をするくらいなら父さんも許してくれるだろ」
◆ ◆ ◆
「アルス・セントリアです、王家から呼ばれて来ました」
「しょ、少々お待ちください」
というやり取りをしてから20分。
「いつまで待たせるのだ? つくづく人間社会というのは面倒だな」
「ダイアス、ここではさすがに押えてください」
「いや、エレノアもそう言いながら怒気が漏れてるから、国のトップは忙しいと思うしこれに関しては仕方ないさ」
やっと王宮に入り案内人の後を続いて歩く、流石は王宮だけあって客室に行くだけでもだいぶ歩く。
その間すれ違う使用人や文官、王宮を〝たまたま〟訪れていた貴族達に様々な視線を向けられる。 純粋な興味や好奇心、エレノアに向ける下衆いな気持ち、アルスに対する恨みや怒り。 そんな視線を浴びながらやっと客間に通される。
「··········ふぅ、まるでさらし者だったな」
「悪いがアルス、俺は二度とここに来たくない」
「同じく」
『僕もかな』
みんなにすまんと謝りつつしよう人に出された紅茶を飲む、流石に王宮が出す紅茶は美味い。 一時の幸せをかみ締めてると、扉が開いた。
「お待たせして申し訳ない、宰相のモンアスタと申します。別室にて〝陛下達〟がお待ちですのでご案内致します」
やっぱ会うのは王様だけじゃなかったか、俺は別に構わないけどどうなっても知らんぞ。
バージェスに大抵の事は俺がケツ拭いてやるから心配すんな!と言われて来ていたアルスは、敵意を向けてくる者がいれば容赦するつもりはなかった。
宰相に続いて部屋に入ると、私室とは到底思えない広さだった。
「よく来てくれたアルス・セントリアよ、ここは重鎮会議を行う部屋だ。 そちらに座ってくれ」
縦に長いテーブルの1番手前側に座る、国王は向かい合う形で1番奥に座っていた。
それにしても人多くね? 15人くらいはいるよな・・・バリバリ敵意向けてくる人もいるし、はぁ〜〜〜。
「「「ッ!?」」」
自分に敵意を向けていた人に〝だけ〟軽い殺気を放ったアルス。
「陛下、失礼ながら申し上げます。 王家から頂いた手紙とは違う趣旨の場と考えてよろしいでしょうか」
「··········初めは私と宰相だけで会おうと思っていたが、そうもいかなかったのだ、許せ」
王様が口を挟む前に先制攻撃をした。
敵意を向けてた人の中でも王様の後ろに立っている鎧を着た男、恐らく近衛騎士団長は殺気を隠しもせずに出していた。
さてさて、もうこれは荒れるな。
俺は好き勝手やって後は県知事に丸投げしちゃおうっと!
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