第46話
「アルス久しぶりだな!すごい技を身につけたと聞いたぞ? 後で見せてみろ! ジョンバッハ殿、後で軽く体を動かそう!!」
来てそうそうアルスの技を見せてくれと頼み、ジョンバッハとの模擬戦が決定した。 マルスは苦笑いが漏れる。
「私への挨拶は無しですかバージェス様、年々扱いが雑になってきてます·····」
「まあそう言うな、私達の仲では無いか!!」
ガッハッハッ!と笑うバージェスを相変わらず豪胆な人だなとアルスはある意味感心していた。
「ほぅ、王宮から呼ばれたのか·····今アルスが王宮に行けばどうなるかくらい分かるだろうに、相変わらず配慮が足りない王家だな」
執務室にマルスとバージェス、アルスの3人で王宮からの手紙について話している。
バージェスは王家の気持ちは理解するものの、下の者がどういう気持ちでこの手紙を受け取るのか分かっていないと不満をこぼす。
「私は構いませんけどね。王様とだけ会うことになるのか、それとも貴族達とも会うことになるのか分かりませんが」
「王家は内々に済ませたいと思っておるが、上級貴族達がそうはさせんだろうな。 アルスに敵意を持ってる者もいるとは思うが、逆に誼を通じたいと思っている家も多いだろう」
え〜、それってウチの娘をぜひ嫁に! とか言われるパターンじゃん・・・めんどくせーーー
「王家の頼みを無下にするのは流石にまずい、万が一の事があってもアルスなら大丈夫だろう」
辺境暮しとはいえ中央貴族がどういう人達か分かっているマルスは、不安な気持ちはあるものの送り出すことに決めた。
「まあいざとなったら〝彼ら〟に頼みますよ」
「ん?··········あぁ、あの者達か。アルスはボスでもあるんだったな、忘れてたわい」
アルスが暗殺ギルドのボスになったことはバージェスも知っていた。
「問題は同行者を誰にするかだな·····」
「それでしたらもう決めております、ダイアスとエレノア、クマラと行きます。 私にとって大切な仲間ですから」
バージェスの言葉を遮る形でハッキリ気持ちを伝えるアルス。 地位が釣り合わない相手に無礼であるが、バージェスはこういった人物を好む傾向にある。
「··········よし、分かった。アルスがそう言うなら儂は文句は言わん、マルスもそれで良いな?」
「はい、アルスは並のことでどうこうなる程ヤワじゃありませんから」
◆ ◆ ◆
成人祝いが終わった後、バージェスとジョンバッハの模擬戦を観戦したり、バージェスに技の披露をしてから数日後、王都に向けて出発した。
成人祝いはかるーい感じで終わると思っていたアルスだが、セントリア領はお祭り騒ぎでアルスだけでなくダイアス達やバージェスまで驚いていた。
<ボス、もしかして王都に向かっているのか?>
「お、久しぶりだなゼロ。王家に呼び出されてな、今向かってるところだよ」
アルスの暗殺ギルドは今や、王都の裏の顔と言っても過言ではないほど大きくなり、セントリア領はもちろん各地に根を生やしていた。
<中央貴族達がザワついてるぞ、あのアルスが王都に帰ってくるって。ボスと仲良くしたい連中もいるが、中にはきな臭い動きを見せている所もある、気をつけろよ>
「·····はぁ、やっぱりか。悪いがそっちでも目を光らせといてくれ」
「やはり何事も無く帰るのは難しそうだな」
「ダイアス、そんな嬉しそうな顔して言うんじゃねえよ! 少しは俺の苦労を察してくれよ〜」
「アルスなら何が起きても大丈夫だと思いますよ? いざとなったら私達も暴れますから」
『え、戦うの? 僕頑張るよ!!』
頼もしくはあるが、これ以上厄介になりたくないアルスからすれば、ダイアス達の態度に呆れる思いがあった。
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