第42話
シー・アラックに来て1ヶ月が経った。
ただアルスは今、ギルマスのドルトさんと王宮に来ていた。 大発見をしてしまった為に、書類による報告より直接向かった方がいいと判断された。 尚ダイアス達はシー・アラックに残っている。
「まあどちらにせよアルス達は王宮に呼ばれてたんだろ? なら丁度良いじゃねえか」
「·····まあそうですけど」
てかドルトさん王宮に行くのに全然緊張してなくね? もしかして身分による差別があまりないのか!?・・・はぁ、本当にいい国すぎるっての!!
謁見の場に入ると、3つの玉座に座る3人の統治者。左右には貴族ではなく文官達が並んでいた。
既に会っているムルーシアは公式の場とあって漂う雰囲気がまるで別人、1人は眼鏡をかけいかにも博識そうな男性、もう1人は老人ではあるが筋骨隆々といった印象を受ける。
「久しぶりだなアルスよ、あのタコは大変美味であった」
「ムルーシア様にお喜び頂けたようで何よりでございます」
やはり王宮になるとムルーシアさんでも話し方変わるんだな〜、しっかし女帝って感じでかっけー!!
「待て待て、2人だけで話を進めるな。私にも挨拶をさせい!」
「そうですぞ、独り占めは許しません!」
ちょっと予想外に3人が仲良く喋るので口を開けてポカーンとしてしまうアルス。 横に並ぶ文官達は額に手をやりながら首を左右に振っていた。
「私はマルレイド・フォーアンと申す、お主に会える時を心待ちにしておったぞ。 首都を救ってくれたこと、誠に感謝する」
「私はティガーラ・カールンソと申します。 私からも首都を救ってくれたこと、感謝申す」
「して、アルスよ。此度は緊急の報告があると聞いておる、ドルトが一緒と言うことはシー・アラックに関することか?」
「はい、実は·····海中を泳いで遊んでいましたら··········その、ダンジョンを発見しました」
「「「なに!?」」」
「「「「「「ッ!?」」」」」」
代表者達が声を揃えて驚き、左右に並ぶ文官達も声に出さずとも驚愕の顔をしていた。
◆ ◆ ◆
ダンジョンを発見してから1年半が経った。
いや〜まさかこんなに長居するとはね・・・全くの予想外だったわ〜。ダンジョンも超大型ダンジョンだったしさ!
代表者達から正式にダンジョンの調査を依頼された、報酬はダンジョンで出たアイテム等全て。 ただアルス達は攻略を最優先にした、何階層まであるのか知りたがっていたし、未知のダンジョンはゆっくり攻略したかった為だ。
「それがまさか150階層まであったとはね·····」
まさかの超大型ダンジョンに国は大喜び、シー・アラックに人が殺到するのは目に見えていたので、アルス達は街の拡大に協力した。
建築に使う大量の木材やブロックを魔素で運んだりと大活躍した。ダイアスは獣人族と模擬戦ばかりしていた、エレノアもエルフ達と打ち解けていた。クマラはシー・アラックのマスコット的なポジションになり、皆に可愛がられている。
ムルーシアにこの街の領主にならないか?と冗談で言われたりもした。
そんなある日、実家から手紙が届いた。
「なになに··········ふむ、なるほどね」
「なんて書いてあったのだ?」
「いや、俺もうすぐ15歳で成人するじゃん? お祝いするから1回帰ってこいってさ」
マルスから成人祝いをするから帰ってこいってだけ書かれていた、貴族が書く手紙とは思えないがセントリア家では普通である。
「前からアルスの故郷には行ってみたいと思っていました、楽しみです」
『僕も僕も! アルスの家族に会いたい!!』
「そんじゃ、帰りますか〜。その前にラビンリスに寄らないと」
「例のマリエルという錬金術師か? アルスにも春が来るといいな」
「ッ!··········俺はまだ冒険者を続けたいし、どうなるか分からないからな〜」
自分に微笑むダイアス達に恥ずかしくなりそっぽを向いたアルスであった。
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