第33話
今回の件が落ち着くまでの数日間はコロシアムダンジョンとデスタウンダンジョンに潜っていたアルス達。
ミステリーダンジョンは心に余裕を持って攻略したい気持ちと、何かに八つ当たりしたい気持ちがアルスにとって、2つのダンジョンはピッタリだった。
「ダンジョンに同情したのは初めてです」
「それは俺もだエレノア、ここ数日の暴れっぷりは思わず魔物達に合掌した」
「ん、来たな··········クマラ、結界張っておくな」
『うん、ありがとー!』
ディアロンテが来たのでクマラの周りに«魔障壁»を展開し、クマラが不快にならないようにする。
「ただいま帰りました、契約通りラジェスマールンド伯爵家の妻子の寿命を30年ずつ取りました。妻が3人、子供が7人もいたのでたっぷり吸い取れましたぞ!」
すっかりアルスの下僕の様になってしまったディアロンテは、嬉しそうに報告をする。
「当主のザハトークはだいぶ混乱していましたな、もちろん痕跡は残してませんのでご安心を」
あいつ発狂してるんだろうな・・・お前がやろうとした事をそのまま返したんだ、存分に後悔して苦しみやがれ!
「ご苦労だったなディアロンテ··········これお金渡しておくから、いいお店でも行って食べてみたら? 人間に擬態できるんだろ?」
「おぉ、有難いです! 人間界の食事は至高と魔界では有名ですからな」
「また何かあったら呼ぶよ」
金貨が沢山入った袋を大事そうに抱きしめながら去っていった。
◆ ◆ ◆
「ゼロ、そっちの状況はどうなってる?」
<こっちは毎日の様に刺客が来るが難なく処理してるぞ。ボスが送ってきたゴーレム凄いな、みんな一瞬で殺されていく。更に発見も早いから本人達は平和そのものだ>
良かった・・・・兄弟達には刺客が向けられるかもしれないって状況も精神的に良くないからな、出来れば何も知らずに平和に過ごして欲しいもんだ。
事の発端はアルス自身であるため、家族には余計な心労をかけたくなかったアルスは、暗殺ギルド+ジョンバッハ+ゴーレムという何重にも対策をしていた。
「引き続き頼む、父さん達はどんな報復を考えているか知ってる?」
<初めは鬼人族のジョンバッハさん?と色々と話してたらしいが、バージェス辺境伯に静観を言い渡されたらしい。あえて何も報復せずに王様に手紙で愚痴を言うんだと、手紙には関わった家全て書くって言ってたな>
こ、怖すぎぃぃぃぃぃ!!
まあこの件は表に出ることは無いから、王様も直接制裁は出来ないけども・・・関わった家は今後あらゆる場面で不利になるんだろうな〜。
「ま、バージェス辺境伯様がそう言ってるなら俺からは何も無いかな。ただ何かあれば容赦なく報復するけどね、それじゃあまた何かあれば連絡頼む」
「とりあえず事は済んだようだな」
「ダイアス··········エレノアとクマラも俺の事情に付き合ってもらって悪いな」
パーティのリーダーはアルスであるため、私情に巻き込んだ事を謝った。
「何も問題は無い、というより俺は一応アルスの従者だからな」
「それを言うなら私は奴隷ですから、今の今まで奴隷であることを忘れてましたが·····」
『僕は全然大丈夫だよ! ダイアスとエレノアに鍛えてもらってたからね!』
クマラは固有属性〝雷魔法〟を持っている、雷を体に纏うことでアルスより高速で動くことに成功した。 雷を纏うのは自傷行為であるのだが、優れた回復能力と再生能力がそれを可能にした。
「みんなありがとな··········よし、ミステリーダンジョン再攻略しますか!!」
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