第28話

「なっかみーは〜、なーにかっな〜♪」


 2人に白い目で見られてるとも知らずに、宝箱を開けると白金貨や金貨が沢山入っていた。 その上には2本の短剣が置いてある。


「ひと目でわかる凄い武器だな」


「短剣ってなると持つのはエレノアだな」


「··········よろしいのですか?」


「俺達には刀があるし、今持ってるのも最初に買ったやつずっと使ってるだろ? この際だから変えちゃえよ!」


「·····有難く使わせてもらいます」


「良し、次のエリアに行きますか!!」




 ◆ ◆ ◆




 次のエリアに行くと、遺跡エリアとは打って変わって大森林エリアに出た。


 その時、アルスは今まで感じたことの無い魔素の変化を捉えていた。


「このエリアは軽くスルーしようかと思ってたけど、気になることがあるから行ってみてもいいか?」


「いつもの魔素の変化と言うやつか? エレノアの索敵能力とは違う物だからな、さっきの遺跡といいアルスは俺達には分からない部分に敏感なのだろう」


「私も特に何も感じませんが·····アルスが気になるのなら行ってみましょう」


 魔素に導かれるように森を進むと、魔物同士争っていた。




 あ、あれは! 狐じゃないか!!??

 でもまだ子供だな・・・襲っているのは、ペガサスだ!! 希少種同士の戦いだけど圧倒的に狐が不利だな。


「小さい方を助ける、2人は周囲の警戒を頼んだ!」


 刀を抜いて一瞬でペガサスへ距離を詰める、いきなりの乱入者に反応が遅れた隙をついて翼を切った。 狐とペガサスの間に入る。


「助けに入ってよかったのか分からないが、もう大丈夫だからな!」


 狐に話しかけてから再度ペガサスに目を向けると、翼は再生していた。


「引いてはくれないか·····出来ればお前も殺したくはなかったけど、来るならしょうがないよな」


«天魔一刀流・天樂»


 居合の奥義、瞬間移動のようにペガサスの前から後ろへ。ペガサスの首を一刀両断。

首から下を切り落としたことで、ペガサスは再生することは無かった。


やっぱり首を落とせば再生しなかったか! 予想が当たって良かったわ。それより治療しないと・・・



「おい、大丈夫!? 今ポーションかけるからあと少し頑張れ!!」


 狐の子供は瀕死の状態でいつ死んでもおかしくない状況だった。 すかさずマジックバッグから上級ポーションを取り出しかける。


「よし、もう大丈夫だぞ」


「周囲に魔物はいないぞ、そいつは持ちそうなのか?」


「··········分からない、こいつの気持ち次第だな。無事に回復するのを祈るしかない」


「ですが同じ魔物ですよね? なぜ助けたのですか? 私としてはペガサスの方が格は上に思えましたが·····」


 俺にもよく分からんが、この狐に集まる魔素が凄い清らかなんだよな〜。 うーん上手く言葉にできない・・・・


『人族よ、我の子を助けてくれたこと感謝する』


「「「ッ!?」」」


 周囲の警戒をしたはずなのに、いきなり3人の頭の中に声が聞こえた。 ただ、状況から察するに母親だろうと思い振り向いた。


 狐の母親は体長5mはあり強い個体だと分かるが、神々しいオーラを纏っていて警戒は必要ないと理解出来る。 そしてやはり尾は9本あった。


「·····このエリアに来た時から感じていた、清らかな魔素は貴方からでしたか。私の名前はアルスと申します、こちらが龍人族のダイアス、こちらがハイエルフのエレノアです」


 アルスは膝を付いて土下座迄とはいかなくとも、軽く腰を曲げて頭を下げた。 そうするべきだと本能で理解していた、魔物とは全く違うオーラを発している。


 2人はアルスが自分たちの素性を明かしたことに驚きつつも、目の前にいる妖狐が只者ではないと理解し膝を付いた。




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※ペガサスの倒し方については、某呪いをテーマにした作品ですね、アニメ勢は深掘り禁止です

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