第27話
「ミステリーダンジョンの依頼無かったな」
「そこまで珍しい魔物も出ないって聞いてるし、楽しい戦闘は出来そうにないな」
「··········相変わらずダイアスは戦うのが好きだな〜、俺は未知の魔物や遺跡での新発見、未開拓の地の探索とかの方がワクワクするぜ? もっと言うとな?·····」
そう言ってアルスは周りに人がいないことを確認して、小声で話を続ける。
「この世界には別の大陸があると思ってる、見たことの無い種族がいるかもしれない。 そいつらはこことは文化も違って、戦闘スタイルすらも違うかもしれないだろ?」
俺は日本に似た国があると思ってるんだよな〜、刀が存在するなら米や醤油もあるはずだ。
「·····うむ、なるほどな! アルスが言うワクワクが少しわかったかもしれん!!」
「えぇ、私もです。 未開拓の地や新しい種族は想像しただけで沸き立つものがあります」
「分かってくれて何よりだ! 一緒に冒険するなら、色んな感情を共有したいからな。何も強い魔物と戦うことだけが冒険じゃないってことだ!··········そしてそんな欲求を満たしてくれそうなのが、このダンジョンって訳だ」
丁度ミステリーダンジョンの入口に来ていた。
「最初は遺跡エリアか、隠し部屋とか見つけたいな!」
ギルドの情報では遺跡エリアの探索は終わっていると聞いているが、アルスは探索していない場所があると信じて疑わなかった。
遺跡エリアは魔物こそ出ないものの、罠がそこら中に設置されている。 それを掻い潜りながら隅から隅まで探索を続けた。
「·····ん? ちょっと待ってくれ」
魔素の流れが不自然なところを見つけたアルスは、その場所を凝視する。
魔素が反応している所を押すと、壁がスライド式で上へと開き下へ続く階段が出てきた。
「これは開拓済みなのか? こんな情報聞いてないけど·····」
期待を膨らませながら階段を降りると、大きな部屋に続いていた。
奥には煌びやかな宝箱が閉じた状態である。 しかし宝箱を守るように左右には石造りの巨大な銅像が2体、槍を片手に立っていた。
「あー、2人とも··········言われなくても流石に分かるか」
転生者のアルスからしたらお約束な展開が待ってると確信して、2人に注意を促そうとしたが、宝箱に近づけばどうなるかは予想出来ていた2人。
慎重に宝箱に近づくと・・・・
やはり動き出した2体の銅像、槍を両手に持ち振り回してきた。
「こいつら巨体のくせに、俊敏過ぎないか?」
「あぁ、これは魔物、ではないな··········この遺跡のギミックと言ったところか」
「これは未開拓の部屋で確定ですね、情報では戦闘は無いと聞いてましたから」
2体の銅像はかなりの強度で«魔弾»や«魔槍»を簡単に弾かれる。
「一体は俺がやる、2人はもう一体を頼む!」
「「了解だ(です)」」
«グラビティ»70%解除 + «魔鎧»
デカすぎて顔殴れねえじゃん! ぶっつけ本番だけどやってみるか・・・
〝ガムとゴム〟
指から伸ばした«魔糸»を性質変化させ壁にくっつける、伸縮する性能を活かし壁へと着地。 その瞬間に足の裏だけ〝ガム〟へと性質変化させることで、壁や天井を駆け回れる様にした。
足がつく瞬間には性質変化ON、足が離れる瞬間には性質変化OFF。 かなりの操作性が無いと出来ない離れ業をアルスは見事に実現していた。
いや〜これ楽しすぎ! 擬似スパイダーマンだなこりゃ、槍を躱すのも楽になった所で・・・
床だけでなく壁や天井まで自由に動ける様になり、一気に距離を詰めたアルス。銅像の顔面を本気でぶん殴った。何トンあるのか分からない銅像は流石に吹っ飛ばされることは無いが、後ろへと倒れた。
「今考えた応用技でトドメだ!!」
«超巨大魔槍・螺旋十文字»
十文字型に形成した巨大な槍を回転させた。
貫通力が飛躍的に上がった攻撃は、銅像の1番硬かった胸部を貫いた。
「お、そっちも終わったか?」
「さっきの技はなんですか? かなり硬かったはずですが、こんなに大きな穴をあけて」
「あー、さっきのは«魔槍»の応用技だな。咄嗟に思いついてやってみた!」
「アルスに敵う奴なんて··········いや、バージェスさんがいたな」
そうなんだよな〜、父さんには勝てると思うけど、バージェス辺境伯様には勝てるイメージが全く無い・・・さっきの技も拳で粉砕されそう。
「俺とダイアスとエレノア、父さんと母さんの5人だったら勝てそうだけどな」
「その、バージェスさん?という方はそれほど強いのですか?」
「そっか、エレノアは会ったことないもんな··········うん、ちょっとあの人は次元が違うくらい強いよ」
アルスの強さを日頃から見ているエレノアからしたら、信じられない話だった。
「それより宝箱開けようぜ!」
3人はお待ちかねの宝箱を開けた。
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