第26話
※ちょっぴり性描写あります。
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「へー、やっぱりアルス君も貴族だったんだ!」
「まあ男爵家の三男坊なんで権力なんて無いに等しいですけどね」
驚くことに、マリエルさんは元侯爵家令嬢だった。 錬金術にしか興味がなく、貴族に必要な勉強をすっぽかしてたら追放された。
それで魔道具作るなら冒険者が沢山集まる街でしょ! ってなってここに住み着いたとか。
「でもそろそろ引っ越そうかと思ってるんだよね〜、この街は魔道具店いっぱいあるけど良い関係を築けてるのあの店だけだし」
「それなら俺の故郷に来てくださいよ! マリエルさんの力を遺憾無く発揮できる場所ですよ!!」
実際マリエルの魔道具はどれも1級品。
戦闘に役立つ道具だけでなく日常生活の質を向上させる道具が沢山置いてある。
元日本人のアルスにとってマリエルは是非とも欲しい人材であった。
「アルス君、それって私の事口説いてる?」
「うっ、··········あ、ある意味口説いてますね」
マリエルの見た目はアルスのどストライクに入っていた。上品な顔立ちながら優しい声で包容力もあって、だらしない生活をしているとは思えない引き締まった体をしている。
「え、じゃあ結婚してくれるの!?」
「え!? ·····俺は冒険者ですから今のところ結婚とかは··········」
くっそーマジでタイプすぎる!
はぁ、前世から女運無かったけどまだ継続中なのかよ・・・こんな素敵な女性なかなか現れないぞ、でも気持ちを伝えるくらいはしたいな。
「正直マジでタイプですね、冒険者をしてなければ真剣に結婚を考えるくらいには、ただ俺は冒険者になって世界中を旅するのが夢です。まだまだ道半ばですからね··········」
「··········あはは、まさか13歳に口説かれるとは思ってなかったな〜。··········ていうか自分で断っておいてそんな残念そうな顔しないでよ、私だって今アルス君に結構惹かれてるんだからね?」
マリエルさんが魔性の女過ぎる!!
あーくそ、もう無理だ。
気づけばアルスはマリエルの唇を奪っていた。 マリエルも驚きはするが、拒絶することなくアルスを受け入れた。
◆ ◆ ◆
「あーもう! アルス君すごく良かった〜、本当に13歳なの? 虜にするつもりが逆に虜にされちゃったよ〜〜!」
「そういう事をさらっと言うマリエルさんは、俺からしたら魔性の女ですけど?」
数回戦を終えた頃にはすっかり日も落ちていた。 夕食を一緒に食べながら色んな話をした、マリエルさんのこれまでの事やアルスの学園でのやらかし。 マリエルさんは腹を抱えながら大爆笑していた。
こういう着飾らないマリエルさんを見て、やっぱり好きなタイプだな〜と考えてしまったアルス。
「··········う〜ん、アルス君っていつまでこの街にいる?」
「とりあえずは〝ミステリーダンジョン〟に入ったら一段落するけど、1つの街に長く滞在するつもりは無いからな〜。この街の次はフリッツェント連邦国に入ろうと思ってる」
「ペスタリカ帝国には行くの? 学園で揉めたんでしょ?」
ん〜、それについては大丈夫なんじゃないかな? ある程度の刺客は対応出来るし・・・
「ん〜そしたらさ、一度故郷に戻るタイミングでこの街にも寄って欲しいな、それまでに私も答え出しておくよ」
「分かった、そうするよ。 じゃあ俺はもう行くよ」
「待って··········もう遅いし泊まってかない?」
「ッ!?···············はぁ〜、それは流石に出来ないな。仲間達を待たせてるし戻らないと」
袖を掴み上目遣いで誘われたが断ると、ぷくーっと頬をふくらませて不貞腐れてしまったマリエル。
「じゃあ街を出る時にもう1回きて、もし来なかったら怒るからね!」
「分かった、約束するよ」
何とか誘惑を断ち切り、宿に戻った。
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