第23話
実に1週間ぶりの地上に出た。
とは言っても良質な野営グッズを持つアルス達は、汚れたり臭ったりは全くしていない。 ダンジョン内でも割と快適に過ごせていた。
「あれだな、ダンジョン内でも風呂に入りたいから、明日は魔道具店に行こう」
「·····あれより更に快適にするつもりか? もはや高級宿より快適になりつつあるぞ」
「俺はこういう事には一切妥協しない。エレノアも早く慣れてくれよな!」
快活に歩き出すアルス。
元日本人としてはまあ普通の感覚ではあるが、この世界では異質であり、ダイアスやエレノアが引くのも無理は無い。
「〝コロシアムダンジョン〟を攻略しました、素材の買取お願いします」
「「「「ッ!!!???」」」」
ギルドの買取用カウンターで爆弾を投下したアルス、攻略される事は時々あるが、冒険者になって数日の新人が攻略するのは異例である。
「ほ、本当に攻略されたのですか?··········失礼ですが、最終ボスをお聞きしても?」
「ん? あー、デュラハンとリッチだったな」
「「「「「ッ!!!???」」」」」
「おい、それってエクストラステージじゃねーか!?」
「確かエクストラステージを最後に攻略したのって100年以上前だよな!?」
「あいつらどんだけ強いんだ!!」
え?あれってなんか特別な感じだったの? 普通などっちかしか現れない的な?? まあ各個撃破って感じだし、攻略したかって言われると微妙だな・・・
「··········どうやら間違いない様ですね、疑ってしまい申し訳ありませんでした。 それでは解体場で素材を受け取ります」
ダンジョンの魔物は一定の時間が過ぎると、塵になって消えてしまう為、解体する暇がない。 全て持って帰って解体をお願いする形になる。
「こちら、買取金額です」
「どうもです」
金貨がずっしり入った袋を3つ受け取り、ダイアスとエレノアに渡す。 パーティのルールとして金品は全て均等に分割すると決めていた。
「よっしゃ、今日はパーッとやろう! 食いまくるぞ!!」
街一番のレストランに行き、店に嬉しい悲鳴を起こしたアルス達は宿で爆睡した。
◆ ◆ ◆
「よし、魔道具店行くか!···············てか今更だけど休日扱いだし、2人とも俺についてこなくてもいいぞ? なんなら自由に行動してもらって構わないし」
「それなら俺は昨日の感覚を忘れない為に素振りをするとしよう」
「·····別に構わないがしっかり休めよ? エレノアはどうする?」
「···············私はアルスと一緒に行きます、魔道具店に興味もありますし」
ダイアスと別れた俺達は、魔道具店を目指し宿を出た。
最高の品揃えの店にスムーズに入れたアルス達。
コロシアムダンジョンを攻略したアルス、この情報は既に広まっていたため店側からしたら上客であった。
「野営の時に湯船に浸かりたいのですが、そういった魔道具はありますか?」
「それでしたら、··········こちらになります。組み立ては自動で行われスイッチを押すと温水が出てきます、魔石を定期的に補充すれば問題ありません」
こ、こりゃすげー。魔石に困ることなんて二度とないし、まさに欲しかったやつだ・・・・ていうかこの店のクオリティ全体的に高いんだよな〜。
「·····よし、いっその事全部買い換えるか! ··········これと、あれと、それと、あっちの商品も下さい!」
「か、かしこまりました!!」
「アルス、流石に··········いいえ、妥協しないのでしたね」
アルスの爆買いに待ったをかけようとするエレノアだが、さっきの言葉を思い出した。
「分かってくれて何よりだ。あ、因みにこのマジックバッグより良い奴置いてたりしますか?」
そう言って腰に着けてたマジックバッグを店員に見せる。
「容量はそちらと変わりませんが、小型に改良して時間遅延の効果も上がった物ならありますが·····」
「それを3つください!!」
「「「「···············」」」」
これには流石のエレノアや店員達も目を見開き口を大きく開けていた。
「いや〜いい買い物したな! エレノアはなにか欲しいもんなかったのか?」
「·····えぇ、特にこれといったものはありませんでした」
「そうか、遠慮は要らないからな? エレノアに渡した金はその時点でエレノアのものだ!」
コロシアムダンジョンの素材買取で、かなりのお金を受け取っているエレノアは買おうと思えば数点は買えた。
そのまま2人で宿に戻っている途中、急にエレノアが真剣な面持ちでアルスを見つめた。
「··········あの、あ、アルス。 私が夜の相手をしてはいけないのですか?」
「ッ!!」
エレノアにいきなりぶっ飛んだ話をされ驚いてしまうアルス、しかしすぐにエレノアと同じく真剣な顔になった。仲間とは言ってもエレノアはアルスの奴隷。
アルスが遊女屋に行っているのはエレノアも分かっていた。
「··········ぶっちゃけるとエレノアは超魅力的な女性だと思う。ただエレノアは仲間として接し接して欲しい、だから俺はエレノアに手を出すつもりは無い」
「ッ!··········良かったです、私に女性としての魅力が全く無いのかと」
「いやいや、エレノアに魅力なかったらこの世のほとんどの女性に魅力が無い様なもんだろ」
ふふふっと嬉しそうに微笑むエレノアを見て、一瞬なんだ?って考えるが、今自分が言った言葉を思い出し恥ずかしくなったアルスであった。
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