第17話

 ジークが王都に向かってから数日後、俺とダイアスもいよいよ冒険者になる為に出立した。


「行き先は決めてるのか?」


「俺達は中途半端な所に行っても意味ないしつまらない、だからラビンリスに行く」


 バーバント王国の南にあるラビンリス、名前の通りダンジョンによって栄えた街で、大型ダンジョンを3つも有する大都市だ。



 道中たくさん盗賊に出くわし、その度にアジトを潰して懐を温めた。

 因みにこの世界の通貨は、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒曜金貨となっている。


「ほんと盗賊って減らないのな」


「まあそうだな··········お金をくれるのは有難いが、俺やアルスを見て諦めて欲しいものだ」


「いや、人を見極められる実力持ってたら盗賊やってないって」


「間違いないな」




 ◆ ◆ ◆




「この街で冒険者登録するつもりです! 通行料はいくらですか?」


「おう、銅貨3枚だ! この街にはダンジョン以外にも欲にまみれた街だ、気をつけろよー!」



 門の兵士に通行料を渡して街に入る。


「門兵とあんなに話す必要あったか?」


「俺には門兵だからとか関係ない。あの人はこの街の良い宿屋とか飯屋を教えてくれたからな、善意には善意で応えたい。逆に悪意には悪意で返すさ」


 街に入ると、人口の半分以上が冒険者なのか? ってくらい武器防具を身につけてる人でいっぱいだった。



「流石は大型ダンジョン3つある街だな、冒険者ギルドが立派すぎる! てかもはや屋敷だな」


「確かに圧巻だな、冒険者ギルドとは思えないほど綺麗な建物だ」


 2人で中に入ると内装も清潔に保たれていた。

 カウンターは冒険者登録、依頼受付、素材買取などに分かれていて便利な仕組みになっていた。


 いや〜この世界で分業制を導入してるとこ初めて見たかも、そりゃこんなに冒険者が居て普通にやってたら大変か。 やっぱりここで冒険者登録する人居ないんだろうな、カウンターに誰もいないし。


「すみません、冒険者登録したいんですけどー!」


 アルスが大きな声を出すと、周りからの視線を集めた。 普通は小さな街や村で地道に依頼をこなし、強くなってからダンジョンに挑む。


 ラビンリスはダンジョンに挑む冒険者しかおらず、この街で冒険者登録をする人は皆無。 その状況でのアルスの大声は注目を集めるのに充分だった。



「·····すみません、お待たせしました! 冒険者登録ですね、こちらの用紙に記入をお願いします」


 なになに、名前と年齢に戦闘スタイルか・・・ダイアスはゴリゴリ近接タイプだから俺は魔法使いにしとくか。


「はい、これで登録完了です。こちらがギルドカードになります! ランクはF〜Sまでありますが、Sランク冒険者は大陸に5人程しかいません。それから」


 よく聞くマナーやルールを聞いたあと、俺達は衝撃の事実を知る。



「え、ダンジョンって3人からしか入れないんですか!?··········まじかよ〜」


 アルスとダイアスのうなだれた様子に受付嬢は苦笑いを浮かべる。周りで見てた冒険者たちからも小馬鹿にされた笑いが漏れていた。


 すると5人組の男たちがアルス達に声をかけた。


「おうお前ら〜ダンジョン入りてえのか? 俺達が先輩として一緒に入ってリードしてやるよ!」


「あ、大丈夫ですお断りします」


 アルスのあまりの即答に周りで笑っていた冒険者達が静まり返った。





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