第12話

 前世とあまり変わらない形で入学式は進んでく、眠気と戦いながら学園長の言葉を右から左へ流す。


「───この学園には国中から沢山の才を持つ者が集まる、身分関係なく切磋琢磨することを願っておる」


 パチパチパチパチ

 10分近くによる学長の挨拶を終えると、新入生代表挨拶に移る。



「新入生代表、アンフォード・バリス・バーバント」


「はい」


 少し癖毛の金髪の爽やかイケメンが壇上に上がり挨拶をしている。


 え、名前にバーバントが付いてるってことはそういう事? まじかよ王子が同じ学年かよ・・・どうせクラスも一緒なんだろうな〜


 テンションが急降下しながらも入学式は何事もなく終えた。 その後は各クラスにて待機になる。




 俺が教室にはいると既に半数近くの生徒が席に着いていた。


 え、めっちゃ視線向けてくるやん・・・見ない顔だから逆に気になる的な? 俺なんもやらかしてないよな?


 後ろの端っこにちょこんと座り、いかにもモブですよ〜とアピールするアルス。 少しすると、爽やかイケメン(第二王子)が従者と思わしき人達を連れて入ってきた。


 The.王子様!華があるね〜、てか皆一斉に話しかけに行ってるし。 従者も同じSクラスなんだろうか?



「おーい、お前ら席につけ〜」


 あの人がSクラスの担任か・・・結構強いな! 誰もいない時に模擬戦頼んでみようかな?


「ここSクラスを担当するグアルシスだ。お前らは好成績を出してここにいる訳だが、Aクラスに落ちる可能性も十分にある訳だから気抜くなよ? それじゃアンフォードから自己紹介始めてくれ」



 この最初の自己紹介、前世で苦手だったな〜とか思いつつ俺の番。


「アルス・セントリアです。 末端貴族の次男坊なんでお見知り置きを、ここを出たら冒険者になるつもりです。よろしくお願いします」


 アルスが自己紹介を終えると、あちこちから失笑が漏れる。訳が分からず?を浮かべていると、グアルシス先生が質問してきた。


「冒険者になるのか、珍しいな。いや末端貴族の次男以降は割とそういう道もありか。 ところで騎士になる気は無いのか?」


 あーそういう事ね、冒険者になるって言ったから馬鹿にされたのか。 権力に固執した人多すぎでしょ、嫌だ嫌だ。


「1ミリも考えていませんね」


「即答かよ。 まあこのクラスで男爵家はお前だけだ、あんま固くなるなよ?」


 グアルシスに騎士にならないか?と誘われた事と、アルスが男爵家である事に衝撃を受ける皆。 実は男爵家がSクラス入りするのは非常に珍しい。



 初日は学園内での規則等の説明を受け解散。

 さっさと教室を出ようとすると1人の生徒が話しかけてきた。


「君、確かアルスだっけ? 男爵家でSクラス入るなんて凄いな! 僕はルーファス・カリュード、一応侯爵家だよ」


「まあめちゃくちゃ勉強頑張ったからな。 それで俺に何の用だ?」


「この後時間あるかな、奢るからランチタイム一緒にどうかな?」




 ◆ ◆ ◆




 俺とダイアス、ルーファスと従者と一緒にレストランに向かっている。


 いや〜それにしても流石は侯爵家、従者が3人も付いてるよ。 三男にもこんなに付けるのか・・・


「·····そ、それにしてもアルスの従者はオーラが凄いね。ダイアスだっけ?」


「あぁ、まあ色々あって俺の従者をしてる」


「うん、説明する気ないよね? まあ仲良くなれたら聞けるか〜」


 上位貴族ってもっと偉そうなの想像してたけど、ルーファスは例外だな。 良い人に声をかけてもらったもんだな!



 個室の高級レストランにやってきた。

 アルスとダイアスは早くも料理を頼みまくる。


「アルスは男爵家って言ってたけど、領地はどこにあるの?」


「リューゼント辺境伯のとこだ」


 リューゼントの名を出すと、ルーファスの従者達が僅かに反応する。


「へ〜そうなんだ! 確かあそこら辺はここ数年で凄い発展してるよね? アルスも貢献してたりするの?」


 こいつ、めっちゃ家の事情聞いてくるやん・・・面倒くさ。


「大体は長男のジーク兄さんだな。俺は提案するだけで、遂行しちゃうんだぜ? 正に天才だよな〜·····あ、来年からこの学園の高等部に入ってくる。 まず間違いなく筆記は満点だろうな!」


「ふぅ〜ん、ジークさんってやっぱり頭いいのか·····」


 なんでジーク兄さんのことまで知ってる?って思いながらも、ダイアスと黙々と食べ続ける。 2人の食べる量にルーファスと従者達は若干引いているが、2人は全く気にせず食べる。


「ところでさ、死の森の狩りでゴーレムが大活躍してるって小耳に挟んだけど、これもアルスは関係してるの?」


「ッ!··········なるほどそういう事か。商業の家って聞いたけど、裏では諜報機関を持ってる訳だ。 俺はお前と仲良くしたいと思ってる、だからこれ以上の深入りは止めとけ?」


 殺気までとは行かないが、闘気+少しだけだが«グラビティ»をルーファスと従者達に当てる。 思わぬ圧に従者達が剣を抜こうとする。


「おい、お前ら剣を抜くのか? 戦争でもします? 俺は1人で十分だからカリュード家全員で来いよ」


 今度はマジの殺気を4人に当てる。

 周りの人に迷惑がかからないように殺気をコントールした。


「ッ!!··········参った。だから、その殺気を出さないでくれっ!」




「はぁ、はぁ、はぁ···············ふぅーー、まさかアルスがこれ程とはね。ウチの仕事もバレちゃったし」


「諜報機関を持つ奴に目を付けられたなら、『こいつに手を出したらやばい』って思わせるのが俺流だ。 下手に手を出したらダメな存在がいるって事を覚えとけ、それとちゃんと報告しておけよ? 俺みたいに強いやつが領地にはまだいるし、バージェス辺境伯は俺より強い」


 良い感じに腹が膨れた俺とダイアスは、ルーファス達を置いて店を出た。




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学園編が終わるまでは毎日投稿頑張ります!

つまりすぐ終わるってことです・・・


続けてもう一話投稿します!

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