第6話
「まじかよ、ヴァンパイアか?」
会話をするつもりが無いらしく、いきなり襲いかかってきたヴァンパイア。
「ッ! ヴァンパイアが身体能力が高いってホントだったんだな」
「下等生物にしてはなかなかやるな、少しは楽しめそうだ」
微妙に噛み合ってない会話をしながら接近戦を続ける俺とヴァンパイア。
互角に思えた接近戦だが、ヴァンパイアの回し蹴りが俺の腹に入り吹っ飛ばされる。
「ぐはっ!··········ちっ、もっと体鍛えとくんだったな」
«血刀»
ヴァンパイアが呟くと、血によって形成された刃が複数飛んできた。
「ありがとなヴァンパイア、パクらせてもらうぜ」
«魔刀»
魔素で形成した刃で«血刀»を相殺する。
「私の技を下賎な生物に真似されるとは何たる屈辱!」
「人間の中に愚かな部類がいるのは認めるけど、全員ではないぞ?」
遠距離攻撃は相殺したが、そうなると結局はまた接近戦になる。
若干だがアルスが不利な状況なため、徐々にダメージが蓄積していく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ···············ガチで強すぎんだろヴァンパイア!勝てるビジョンが浮かばねぇ」
ヴァンパイアの弱点は多分人間と同じで、頭か心臓を潰せば倒せるだろう。 ただそこまでの活路が見い出せない! くそ、完全に詰みじゃねーかよ・・・・
その瞬間、魔素を視認出来るアルスだけが気づけたある事。 ヴァンパイアの胸元に魔素が微妙に集まっていた。
あ・・・・・倒す方法思いついたけど、上手くいくか? まあ賭けるしかない状況なんだけどよ。 やるしかないか、H○NTER × H○NTERさんまじ頼むぜ!!
「っ!? がはっ!!···············貴様、私の核を引き抜いたなっ」
「あぁ、上手くいってよかったよ。 新技の名前は«魔糸»と言ったところか」
魔素を薄く薄く伸ばしながら圧縮して糸を形成、それと同時に魔素を視認出来ないようにした。
つまり、〝隠〟で糸を透明にしヴァンパイアの魔核を引っこ抜いた。
※ただの魔素は視認不可だが、圧縮すると見える
「人間ごときにこの私が」
「終始お前は悪役極まれし!ってセリフ吐いてるけど、敗因は人を見下したことだろ」
ヴァンパイアは塵となって消えた。
「ふぅーー、死ぬかと思った··········この世界に来て初めて死をイメージしたな。 てかこの魔核は消えないのは何故だ? いや、答えはあの棺桶にあるだろ」
石造りの部屋の最奥にある棺桶に近づくと人?が横になって目を閉じていた。
ん? 魔素の流れがこの人と魔核を繋げようとしている??
そっと胸元に魔核を置くと、どんどん魔核が吸収された。 それと同時に横たわっていた人の存在感が増していき、強いプレッシャーを感じた。
「ッ!··········咄嗟に距離取ったけど、俺この人に殺されたりしないよな?」
ヴァンパイアとの戦闘で疲労がかなり溜まっている今、この存在ともう一戦する余裕はアルスにはなかった。
「ッ!! あのヴァンパイアは!?··········お前が助けてくれたのか? 」
「あ、あぁ。 ヴァンパイアなら俺が倒したけど·····」
「そうか。 この魔核は俺の生命力を凝縮したものだ、あいつはそれを体内に取り込み、強力な存在になろうとしたのだろう」
そういう事だったのか・・・どうりで強かったわけだ。 てか今更だけど俺よく死ななかったな。
「俺は龍人族のダイアスと言う、助けてくれたことを感謝する。良ければ名前を教えてくれるか?」
「りゅ、龍人族!? 実在したのか。 姿は人間そのものだったから分からなかった···············あ、俺の名前はアルスだ。父親がこの近くの領地を治めている」
「ふむ、助けてもらいながら悪いが、しばらく世話になっても良いだろうか。俺もアルスの為に力を使うと誓おう」
ま、まじ? 俺的には嬉しいけど・・・龍人族をどうやって迎えればいいんだ? 客人でいいのか??
「··········多分、大丈夫だと思う」
「そうか、領地を治めていると言うことは貴族か。··········それなら俺がアルスの従者としてならどうだ?」
「それだと俺の下につく事になるぞ?·····その、大丈夫なのか?」
龍又はドラゴンは生き物の頂点に君臨する生き物、それが自分の従者になると言われれば躊躇するもの。
「なんの心配をしている、アルスは俺の恩人だ。 そもそも俺並に強いではないか」
なんか龍人族に実力を褒められると照れるな、今まで努力してきたことが報われた瞬間だな。
「そうか。 従者としてなら大丈夫だと思う、それじゃあ帰るか」
こうして、亜人として最強の種族を従者にした。
帰ってから勝手に調査して勝手にヴァンパイアと戦った事を怒られたのは言うまでもない。
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