第3話

 仙人になる為に瞑想を続け、サリーに読み書きをスパルタで叩き込まれていると2年が経っていた。


 5歳になったアルスは父親のマルスと教会に向かっている。 異世界あるあるの【ギフト】を授かるらしいけど、神様に力を与えられないって言われた自分に授けてくれるのか?と疑問に思っていた。


「父上、ギフトってみんな貰えるの?」


「そうだな、みんな授かるものだ」


「··········俺は魔力無かったし、ギフトも無しだったりして」


「その代わりお前には凄い力があるじゃないか、アリシアも知らない魔法なんだろ? 自信を持て!」


 励まされながら教会に入り、祈りを捧げる。




 俺が授かったギフトは【ゴーレムマスター】という、昔に1人だけ授かったことのあるギフトだった。


 基本的にギフトは人に話してはいけない、ただ父さんには帰りの馬車の中で伝えた。


「ッ!!··········ふぅーー、全く凄いギフトを授かったな。 一応聞くが、アルスはその力を何に使うつもりだ?」


 マルスはいつになく真剣な表情で聞いてきたが、アルスは間を空けずに答えた。


「第一に家族を守るために使います。その次は領地の発展に役立てば良いかと、ジーク兄上の力になりたいですから」


「ぷ、あっはっは! ジークといいアルスといい、俺の息子達は優秀過ぎて困るな。 この際聞いておくが、アルスは冒険者になりたいのか? 」


「 ··········気づいてたの?」


「俺とアリシアの冒険譚を聞く時の顔を見てたらなんとなくな! ただし、王都の学園には行ってもらうぞ?」


「うっ! 学園、ですか··········」


 元々行きたくないとは思ってるけど、父さんが中央貴族達に嫌われてるせいで余計に行きたくねぇ・・・


「この世の終わりみたいな顔をするな、全く···············12歳からの3年間だけでいい、高等部には進まなくて良しとする。これならどうだ?」


「分かりました! 頑張ります!!」


 俺の調子の良い返事に父さんは苦笑いを浮かべた。




 ◆ ◆ ◆




 ギフトを授かってから3年後、8歳になったアルスは沢山ゴーレムを製作をした。死の森は凶悪な魔物が多いが、それはイコール素材の宝庫でもある。


 自信作は獣型のゴーレムで、馬より断然早く、狩りに役立っている。リューゼント辺境伯にも大量に送り、感謝の手紙が届いている。




 父親から許可が出た死の森での狩りも順調だ。 どうやら俺が開発した«魔弾»や«魔槍»は、普通の魔法より威力があるらしい。近接戦闘の肝である«魔鎧»も更に強化した。

 強化した方法は某漫画で基本能力として使われる〝念〟を連想させ、攻防率を変化させたりして«魔鎧»を強化した。



 今は魔素を性質変化させる修行に取り組んでいる。何故なら〝ガムとゴム〟を使いこなしたい!


「絶対あのキャラのファン多いだろうな〜、能力の汎用性は超高いし是非とも習得したい」


 そんなことを呟きながら性質変化の修行をしていると、俺の部屋の扉がノックされた。




「アルス坊っちゃま大変です! リューゼント辺境伯家当主のバージェス様が急遽来訪されました、ご準備をお願いします」


「え? ほんとに??」


 おいおいおい、急にも程があるだろ!辺境伯って侯爵と同じ地位なんだよな!? 町長の息子が県知事に会うようなもんだぞ·····




 屋敷中は大混乱、ドタバタと歓迎の準備を済ませ屋敷の前で待っていると、大きい筋肉質の男が馬車から降りてきた。


「マルス、すまんな! 急に来てしまった」


「分かっているなら事前に知らせて下さいよ·····」


 父さんの砕けた口調に心臓が止まりかけるが、2人は元々交流があるのを思い出し、なんとか平常心を保つ。


「うむ、お主がジークか。 知識欲が凄まじいと聞いておる、次期当主でもあるからこれからも励め」


 県知事に兄さんを褒められ何故か俺が嬉しくなり、呑気に鼻を伸ばしていると、続いて県知事から出た言葉に俺は仰天する。


「それからお主がアルスか、ゴーレムは大変助かっている。なんせ数百年ぶりのギフトだからな! そこでだ、家の三女のマーリンと婚姻を結ばんか?」


「·············································はい?」

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