第4話 メデューサ幼馴染
気だるい朝は欠伸が出ちまう。
ふぁーあ、なんてテンプレよろしくな欠伸をぶっかましていつもの通学路を歩いていると、「仁」なんて呼ばれた気がした。
振り返ろうとしたところで、トンっと背中を叩かれてしまう。
「おはよ。五守くんっ」
いつの間にか隣には、クラスメイトの
ショートヘアの学校のアイドル的存在で、誰にでも気さくに話しかけてくれる。
「おはよ。相戸」
「昨日の課題やった?」
「ああ。なんか良くわからなかったから適当にしたなぁ」
「あはは。だめだよ、適当じゃ。私の見せてあげよっか?」
「良いの?」
「もちろん。クラスメイトのよしみだし」
「あざーす」
そんな会話をしていると、後ろから競歩みたいなスピードでフードを被った美々が俺達を抜かして行った。
「あ、完城さん。おは──」
「行っちまった」
美々は物凄いスピードで、もう背中も見えなくなってしまった。
「せっかくクラスメイトと一緒したから、みんなで学校行きたかったのに」
「だな」
俺も美々と一緒に行きたかったが、競歩したかったのなら仕方ない。今のあいつの耳にはチーターになっていることだろうな。いや、チーターだったら走ってるか。
♢
授業の合間の休み時間。
「ねぇ仁」
隣の幼馴染が声をかけてくれる。
「んぁ?」
「今日さ……」
「五守くーん」
美々がなにかを言おうとしたところで、クラスメイトの
「今度の遠足のことでちょっと話があるんだけど、今、良いかな?」
「ああ。半位は俺と班、一緒だもんな」
美々の方に、ごめんと一言断りを入れて半位と次の遠足のことについて話をしに行った。
♢
完城美々はわかりやすい。
俺が半位との話を終えて席に着いて隣を見る。
「うぉ」
いや、今回ばかりはわかりにくいかもしれない。
「ど、どういう状況?」
美々の髪の毛がうじゃうじゃになっていた。
まるでメデューサみたいになってるんだけど、まじで、どういう状況だよ。
「えっと……。美々さん?」
「……こぉー……こぉー」
「圧倒的ラスボス感」
「……」
このまま見られたら石になりそうなほど睨まれてるんだけど。
てか、ふつーにこえーよ。
「み、美々? どったの?」
「……」
怒っているというのはわかる。でも、なんでそんなに怒っているのかはわからない。
よぉく見ると、美々の髪の毛が蛇っぽく見える。
蛇? いつも哺乳類なのに爬虫類? しかも耳じゃなくて本体?
いや、今はそんなことは良い。
「な、なぁ、美々?」
こちらが話しかけようとしたところで、美々はフードを被ってしまい、机に伏せってしまった。
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