第4話 生徒会長


「??一花??どうしたの?顔赤いよ?」




「へ?」


隣の席には、鞄を机の傍のフックに掛けている美零がいた。


私は、頬に手を当てる。うん、確かに熱い。


けど、これは____なんだろう_____




「…あぁ、さっきダッシュして教室まで来たからじゃない?」


そうだ、美零と凛月を二人にするためにダッシュしてきたからだ。


「あー、そっか〜。それか・・・そうだよ、一花。私のこと置いてったよね。」


あ、やばい。言わなければよかった。


「ん〜、何が?」


渚はこっちを面白そうに見ている。


見ているなら、ちょっとは助けろ…お前が主犯だろ…



「どういうつもりかなぁ〜?まさか、私とりっちゃんを二人にしてドキドキ大作戦とか。まさか、小学生じみたことしようとか思ったんじゃないよねぇ?」



「そそそそs、そんな滅相もございません!」



ひぇぇえ…顔近い近い…


だから言ったんだよ…渚の奴め…


「ぷはははっ…ウケるぅ。一花、怒られてやんのっ」


当の本人は私を見るなりなんだか腹を抱えて笑い出した。


最低だよ、お前。



すると、笑っている渚の前になんか、怒ってる雰囲気を醸し出してる凛月が現れた。


「ん?」


「??」


「あ、りっちゃん。」


その凛月は、何も言わず、無言で渚の首後ろの襟をガシッと掴み



「え?!ちょと、凛月?!どこ行くき!??」


「・・・」


無言のまま、渚を引きずっていった。


「ぷっはははは…渚、お疲れ〜。」


今度は、私も堪えきれなくて吹き出してしまう。


「…あんたら、二人揃ってバカだね…」


美零から言われた辛辣な言葉は聞かなかったことにしよう。




______________




「なぁ、今週の日曜…明後日さ遊びに行かね?」


始業式を行うために、4人で体育館に向かっている時、渚が急に言い出した。


テストが近いという話をしたり、美零はアニメが大好きだから最近ハマっている


アニメの話を聞かされていたりしていた時だった。


急だなぁと思ったけれど、私たちの間ではこういうのはザラにある。


ましてや急に『今から、1時間後〇〇に集合で!』なんてこともしばしば。



私は、スマホの予定表でその日に予定がないことを確認する。


「私は行けるよ。」


「俺も、行ける。」


美零と凛月も行けるらしい。


「一花は、行ける?」


「うん、大丈夫。」


そう言って、指で丸を作って見せる。


すると渚はみんなで遊べるのがそれほど嬉しいのかニ満面の笑みを浮かべる。


「遊ぶって言ったって、どこに行くの?」


「どこでもいいんじゃね?」


んー、それが1番困っちゃう。


でも、私と美零が大体いっつも決められなくて渚と凛月に決めてもらってるから


人のこと言えないんですけどね…


「東京とか?」


「でも、日曜だから混んでるよ…」


「ワンダーランドでもよくね?」


「あ〜、いいね。最近行ってない。」


候補に上がったのは、東京のどこか。


ワンダーランドという遊園地。


映画を見に行く。 などなど…


高校生になってから行動できる範囲が増えたから、色んなところに行ける。


大きくなるのも悪くない。


「一花は、どこに行きたい?」


「え、私。んー、久しぶりにワンダーランド行きたいかも…」


「おお!さすが、親友。思ってることもおなじだね〜。」


どうやら、美零もワンダーランドに行きたかったらしい。


「んじゃ、ワンダーランドで決定〜。」


まだ、5分も経ってないうちに決まったようだ。


あとで、お父さんに言っておかなきゃ。



そのあとは、渡り廊下をみんなで歩いて体育館へ向かった。


渡り廊下でちらっと見えた桜の木が綺麗なのは4年前からずっと変わっていない。



椅子に座り、少し経ったころ。周りがシンと静まり返る。


教頭先生が壇上に上がり、初めの挨拶をする。


その次に校長先生が、教頭先生の次に壇上へ上がり式辞が始まる。


長いんだよなぁ〜。失礼だけど…もうちょっと、、一言にまとめてくれ。


この時間帯は、寒いし眠い。



左の方でコクコクと眠りそうになっている人がいる。チラッと見ると_



まさかの美零だった…そういえば、美零。暇さえあれば寝る人だったな。


『それでは、次に生徒会長のお話。月木 琇(つきぎ しゅう)さん。お願いします。』


校長先生の話が終わり、次に生徒会長の話。


月木先輩は、女子の中でも人気がある。それは、校舎が別の中学校にまで噂が広がるほどだ。


生徒会長と聞くと、真面目な印象があるがそんなことはない。


友達と普通に遊ぶし、髪だって少し染めている。


なんでも、生徒が楽しく学校に通えるようにしたくて規則も緩めたから、男子か


らも女子からも、先生がたからも人気がある。


美零だって先ほどまで寝そうだったのに、起きて話を聞いている。


やっぱり、月木先輩はすごい。










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