第2話巻き込まれ男
なんだぁ街中がザワついてる
皆なに見てんだろう?
なんだぁ男が女に追いかけられてるよ
痴漢か?引ったくりか?
「待てー!ショウター!」
いまショウタって聞こえたけど・・・
まさか、あのショウタじゃ無いよなぁ
おぉ近付いて来たよ
あぁ、あのショウタじゃん!
「あれ、ショウタ何してるんの」
「おぉリクトいいとこで会った。走れ」
「はぁ?何で」
「いいから走れ」
こいつ本当、ガキの頃から我儘だよなぁ
「なぁ、あの人お前の名前呼んでない?」
「そうだよ、俺を追いかけてんだよ」
こいつ犯罪でも犯したのか?
でも、あの女の人は見覚えあるよなぁ
「あれって彼女じゃないの?」
「そうだよマイナだよ
いいから、もっと速く走れよ」
なんで僕が走んなきゃなんないの?
「でも、あと三人も走って来てるよ」
「そうだよ、だからマズイんだよ
俺は今、人生最大のピンチなんだよ」
イヤイヤイヤ意味わからんです
人生最大のピンチってなに?
「リクト、右に曲がるぞ」
「えっ⁈何で?」
「捕まったら殺されるんだよ」
「あぁ、そうなんだ」
殺されるのかよ
いったい何やらかしたんだよ⁈
「ここ入るぞ」
「行き付けの店なの?」
「早く入れよ」
「うっうん」
いちいち命令しないで欲しいんですけど
「いらっしゃいませ~」
「ここ何屋だ?」
「さぁ、なんか年寄りが多いね」
「あら~貴方達、初めてのご来店ねぇ~」
「えぇ、初めてです」
何だぁこの店?
昼間っからお年寄りがカラオケしてるよ
「ここに座ってねぇ~
カラオケ喫茶は初めてなのを~」
何に、カラオケ喫茶って?
「えぇ、俺は初めてですけど
リクトは行った事ある?」
「いや、無い」
ある訳ないじゃん
「あらぁ~そうなの~
じゃぁシステムを説明するわねぇ~
料金は1000円で~
アルコールなら一杯
ソフトバンクなら二杯付いて~
カラオケは歌い放題よ~ん
ドリンクの追加は別料金ねぇ~」
「だってさ」
「へぇ、そうなんだ」
この年配の店員さんのエプロンの柄
熊?熊なの?熊かぁ?
あぁ真っ青なアイシャドーと
真っ赤な口紅って懐かしいなぁ
死んだ祖母ちゃんが
気合い入ってる時は
いつもこんなメイクしてたなぁ
「お飲み物はどうする~」
「あぁ、俺はビールください」
「僕はアイスコーヒーお願いします」
「は~い、了解で~す」
「なんか年寄りしか居ないよな」
「そうだね」
さっきから皆にジロジロ見られてる
なんでだろう?
「お待たせしました~
ビールとアイスコーヒーね~
このお菓子はセットで~す
ゆっくりしていってね~」
なんで店員さん
語尾を~って伸ばすんだろ?
そう言えば死んだ祖母ちゃんが
彼氏と電話してる時に語尾伸ばしてたなぁ
「おい兄ちゃん達」
はっ!ビックリした
隣りのお爺さん
急に話しかけてこないで下さいよ
「はい、何ですか?」
「ほら、デンモクだよ歌入れな」
「えっ?」
「歌うの?」
「何言ってんだよ
ここはカラオケを歌う所だぞ」
「はぁ」
「なるほど」
「しょうがねぇなぁ教えてやるか」
こんどは別のお爺さんがぁ
なんて親切なんだ
「いいかぁ兄ちゃん達
まず一曲歌うだろ
そんで歌い終わったら次の曲を入れんだよ
んで他の人が歌い終わったら拍手する
わかったかい?」
へぇーそんなルールなんだ
皆で拍手するなんて和やかだなぁ
「リクト歌えよ」
「えっ⁈あぁうん」
ここは礼儀として
なにか歌わないと悪いよな
「いやぁ本当に今日は参ったわぁ」
「何で追いかけられてたの?」
犯罪絡みじゃぁ無いよねぇ?
「それがさぁ夕べはハルヒとデートして
俺の部屋へ連れてったのよ」
「ハルヒ?」
誰だ?追いかけてた内の一人か?
「そしたらユアが俺のベットに居た訳さ
すっ裸で」
「すっ裸⁈」
それは少しいいかも
これで4人中の2人が判明したな
「そうなんだよユアの奴
俺を脅かそうとして、可愛いだろぉ」
「あああ、うん・・・」
可愛いかぁ?過激だろぉ
「その場は上手く誤魔化して
何とか収めかけたのに
酔っぱらったレイカが来ちまって
ショウタに会いたくてって
可愛い奴だろぉ
でも俺は顔を青くしたねマジで」
「はぁ、レイカ・・・」
これで3人の名前判明
あぁそうだった残りの1人は
マイナ嬢だったから4人の名前クリアだ
「ところがさ、
今度は女同士の喧嘩になったのよ
誰が俺の彼女かってさぁ」
「女の争いねぇ」
「まぁ俺は蚊帳の外で
高みの見物ってやつぅ」
「見物ねぇ」
こいつ何を見物してんだよ
「余裕ぶっこんで見てたら朝になってた
笑うだろ、ずっと喧嘩してんだぜ女達」
「凄い元気だねぇ」
余裕ぶっこんで見てないで止めろよ!
「ところがよぉ朝っぱらの8時に
マイナが来たんだよ
朝っぱらからだぞ
今日は休日だから掃除してあげよう
って思ったんだってさぁ
可愛い奴だよなぁ俺に尽くすなんて」
「まぁ、いい
もう修羅場決定じゃん!
「それで新たなバトル勃発して
矛先が急に俺に向いた訳よ
俺は脂汗ダラダラよぉ」
「それは焦るねぇ」
やっぱり修羅場じゃん!
「もう焦る焦る
4人でタッグ組んで攻めてくんだぜっ
ヤバいだろ、すっげぇ睨んでくんだぜ」
「それは怖いね。で、本命は誰なの?」
それは自業自得だろぉよ
浮気する暇があるなら本でも読めよ
「俺はいい加減な男じゃ無いんだよ
みんな本気で愛してる」
「あぁ全員に本気なんだぁ」
こいつバカなの?
「あいつらもダメなんだよなぁ
俺は昔からモテるんだからさぁ
彼女は自分だけっとか
思っちゃダメなんだつぅの」
「アハッハッ・・・」
そうだった、こいつ中高と女子達に
手当たり次第コクって嫌われてたよなぁ
昔から正真正銘のバカでした!
そして、こんなゲス男に引っ掛かる女も
バカだと思えちゃうなぁ可哀そうだけど
「なぁしばらくリクトの部屋に泊めてくれよ」
「えっ⁈あぁいやぁうん、いいけど
仕事は?」
家に来るのかよ⁈
相変わらず図々しい奴だなぁ
「大丈夫だ、心配ない有給休暇が
たっぷり残ってる」
「そうなんだ・・・」
いやーウザイんですけど!
何でこいつを泊めなきゃいけないの?
「女達に合鍵渡してあるから
あいつらが仕事で来れない間に
鍵交換して安全確保するわ」
「大変だね」
こいつに僕の彼女を合わせなくて正解
僕までゲスの同類だと思われたら
婚約破棄されちゃうよ
「あら~この曲お兄さんが入れたんでしょ~
は~い歌って~」
「よっ待ってましたリクトさん
歌ってちょうだいね~」
「うっ、うん」
こいつを来月の結婚式招待しなくてよかったぁ
ってそもそも結婚するの教えて無かったな
式が終わったら新居に越すし
電話も着拒にして完全に縁切ろう
もともと友達じゃ無いんだし
口無し 桶星 榮美OKEHOSIーEMI @emisama224
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