黒い手2
4 / 7
黒い手2
あの後被害に遭った生徒に催眠をかけて色々情報を引き出しては見たが、手に入った情報はどれも「泳いでいたら急に誰かに脚を掴まれて引っ張られた」と主張するばかりで要領を得ず、せめて手の跡でもあれば何か手掛かりになるだろうと確認したが最後の被害者である生徒の足首ですら綺麗そのもので、結局手詰まりとなった。
被害者の意見、現場の視察、目撃者の意見、残るは事件の再現だが私達3人が幻影に狙われる確率は低い。
夜になり、いつもの如くスーパーで半額になった惣菜パンを齧り宿題を済ませていると、携帯にメッセージを受信した音が鳴り、慌てて確認するとどうやら知らない番号からで内容を確認してみると先程まで話していた例の霞流だった様で、内容としては時間と場所を教えて欲しいとのことだったので、写真で撮っておいた報告書に載っていた時間などを頑張って打ち込み送信した。
その後、何度かやりとりした後結局蒼と翠と話し合う事になり気づけば夜遅くになってしまい、宿題が終わったのはギリギリ日付が変わった時間だった。
次の日の朝は午前中に雨が降り、それにより水温が下がったためか不幸か幸いかプールは中止となり犠牲者が出る事は無く、そんなこんなで時間は過ぎ、気付けば約束の時間になっていた。
「どうも霞流です…」
「あ、夢乃です。今日はよろしくお願いします」
時間になると校舎の外側に見た事のない制服を着たどこかの女子生徒が立っていた為声を掛けて確認すると、やはり昨日連絡した霞流だった。
自分の見慣れた制服を着た集団に違う制服を着た生徒が1人いるだけで、こんなにも違和感を感じる事に驚きながら彼女と相対する。
「それじゃ案内お願いしてもいいかな?あまり人に見られるのは好きじゃないんだ…」
「あ、はい」
彼女は自分がこの場で浮いている事が気になるのか、頬を指で描きながら恥ずかしそうに今回の現場へ案内するように頼んだ。
「ここがその現場?随分と綺麗な場所だね、もっと暗くて淀んだ場所だと思ったよ」
霞流はプールサイドに案内した途端全体を舐め回す様に見回した後に今回の現場をそう評価した。
「普通はもっと暗いところなんですか?こう言う場所は?」
「…その敬語はもうやめて、多分だけど一年生だよね?私も一年生だから普通にお願い」
「え?ああ、そうだね。これでいこう」
「それで話は戻るけど、幻影は人の負の感情が集まって産まれるから、今回みたいに獲物を待つ感じのタイプは産まれた場所に大体いるから本当は空気が重いんだよね」
まるで湿気で集まり繁殖するカビだなと持ってみたが、一定以上濃度が高まると結晶化するアレかもしれないと頭で思い浮かべる。
「へー、それじゃあ今回は別の場所に潜んでいるってこと?」
「そうじゃないときもあるよ、幻界を作って籠られると周囲の負の感情を全て取り込んじゃうから今みたいに何も感じない時があるんだ」
「そうなんだ」
紛らわしい説明だなと思いながらも教えていただいている以上は謙虚に対応する様心掛ける。
「その幻界を見つけ出す方法とかあったりするの?」
「それは…私もよく分からない。戦闘は大体他の人が担当するから私は幻影と直接合ったりする事があまりないんだよね」
「へぇ…それじゃあ分かったとしても難しいね」
「そうでもないんだ、奴等には必ず人を襲わないといけない性質があって最悪そこを狙えばいいって結月ちゃんが言ってたよ」
結月?知らない名前だが、話の流れ的に多分霞流の友人で翠にとっての蒼の様な立場の人間だろう。
出来ればその結月さんとやらに話を聞けば答えが返ってきそう気がするが、それをしてしまうと私たちの評価が下がってしまいそうで怖い。
「ならその状況を再現すればいいって訳か…だったら」
「おーい!ごめんごめん!補修で長引いちゃったよ翠の奴が中々終わらなくてさ」
「ごめんなさい夢乃さん!蒼が勝手に別の事始めるから遅れちゃった」
「遅いよ2人とも!」
少し事件解決の糸口が見えてきたタイミングで2人が現れる。
正直蒼だけが遅れるならまだしも翠まで遅れていたので少し心配だったが、どうやら彼女らのクラスで何か蒼がやらかして補修か何かを受けていたようだった。
「それじゃあ全員集まった事だし始めようかな、映像に重なると見えなくなっちゃうから少し離れてて」
彼女は2人の簡単な自己紹介と挨拶を済ませると、私達に危害及ばないように離れる様に指示した。
「それじゃあいくよ‼︎」
彼女が両手を突き出すと周囲に光の様な粒が現れ始め、周囲がまるで蛍の河を彷彿とさせる景色が広がり始める。
「凄い綺麗…」
その光景を見て翠が声を漏らすが皆その光景に目を奪われ注意する人はいなかった。
そして、光の粒子が周囲に満ちた事を霞流は確認すると、浮遊していたその粒子達は一気に集まりだし3Dホログラムの様な立体映像を作り出した。
「いいかな?これは一度しか再現出来ないからちゃんと目に焼き付けておいてね」
彼女が言った言葉を合図に作り出されたホログラムがプールで起きた事件の状況を再現し再生し始める。
「これは…凄い」
霞流はその生徒や事件の細部まで何も知らない筈なのに、彼女の作り出したホログラムは被害に受けた生徒や周囲の状況などをはっきりと再現しており、まるでSF映画を見ている様な気分になる。
「携帯には…ああ駄目だ、やっぱ映らないや」
霞流によって作り上げられた3Dホログラムは幻想なだけあってか携帯などの映像機器に映ることはなく、彼女の携帯には何事のないいつものプールが映されるだけだった。
まるで吸血鬼だな。
再現されたホログラムは生徒を溺れさせる黒い手が消えた所で光の粒が一度集合を解き、暫くの浮遊の後新しい場面を再現するために集合する。
話が決まった時点であらかじめ彼女には一通りのデータをSNSを通じて渡してはいるが、体力的な都合もあり全ての状況を再現は出来ないと言われ選別を余儀なくされている。そのため何かの基準を決めてソートをかける事になったのだが、3人で話し合った結果一番多い学年と身長の特徴が一致する生徒を再現する事になった。
「これで一通り再現完了…ふぅー疲れた」
彼女の限界ギリギリまで再現をお願いした為、全てを終わらせた彼女は夏の気候も合わさってか汗びっしょりになっており肩で息をしながら尻餅をついていた。
「お疲れ様、今日はありがとうね」
「いえいえ、どういたしまして。それで悪いんだけど…」
「え?」
その後疲れ切った彼女を迎えと合流するところまで連れて行ってくれと頼まれ、疲労で歩けなくなった彼女を貸し出しの車椅子に乗せ最寄駅の方まで押していく。
もちろん蒼と翠は「補修の続きがあるから戻るね、幻想で分身を作業させているけど先生は騙せても課題は進まないから」とそそくさと教室へと戻って行ってしまった。
「あいつら…後で幻想の不正使用で捕まればいいのに…」
「あはははっ!流石にそんな事じゃお咎めは無いんじゃ無いかな」
「そんな事じゃってやっぱり悪用すると厳しい罰があったりするんだ?」
車椅子を押しながら住宅街の街通りを進みながら沈黙の気まずさ回避の為軽い世間話的な会話を始める。
「ん?そうだよ。あなたは入ったばかりだもんね。たまに幻想を悪用して犯罪する人がいてね、その人達を捕まえて色々する部隊もあるって言ってたよ」
「へーやっぱり悪用する奴は必ず居るんだね」
やはり不思議な力を使う以上本来の用途から外れる人は存在し、それを律する為の抑止力となる集団も存在する事になる。
「何をやっちゃいけないとか、どこに書いてあるの?」
「そーだね?よく分かんないけどここの担当者さんに聞けば教えてもらえると思う。私はパンフレット見たいな冊子だったけど」
どうやら聞けば貰えるらしく、ここの担当者は多分秋空先輩だろう。彼の私への対応を考えると渡さない予定だった為、忘れてしまったと言うのが正しいだろう。
「そういえばあなたの幻想は何なのかな?今日再現した光景にあなたは居たけど何もしてなかった」
「それは…そうだね…まだ基本的な事しか出来ないんだ」
「そうなんだ…まあそのうちわかる様になる。私もある日いきなり出来る様になったから」
「みんなそう言うけどさ、何かキッカケとかあったりする?感覚的なものでいいからさ」
「そうだね…うーん、よく思い出せないや。なんかある日ピンときてやって見たら出来た感じ」
「何その圧倒的天才の発言」
「ふふふっ…いつか出来る様になるよ」
「だと良いんだけどねぇ」
やはり皆固有幻想の話になるとある日できる様になったとか急に理解したとか感覚的な話が多く、正直参考にしたいが全くもって参考にならない。
これが天才と凡人の差かと思いながら車椅子を押しながら商店街の人混みの中を進む。
流石に車椅子が通るとなると周囲の人達が道を譲り、何時も私単体で進むよりもスムーズに移動することが出来る。
「あ、お待たせ結月ちゃん!待った?」
商店街を抜けて駅のロータリーまで抜けると霞流と同じ制服を着た少女が仁王立ちしながら誰かを待っている姿が見えたので、多分探しているのは彼女の事だろうと思い近づくと霞流が反応し手を振り彼女に合図する。
「はぁ…随分とゆっくりなのね、まあいいわ。貴方が夢乃明さんね、未知瑠をここまで運んでくれて有難う」
「あ、はい。どういたしまして?」
突然の事にビックリしながらも何とか返事をする事に成功するがキョドッてしまってうまく発音できたかわからない。
「あなたとはいずれどこかでまた会う事になりそうね」
「え?そうなんですか?」
突然の事で唖然としていると彼女は自然に私の手から車椅子のハンドルを受け取ると彼女の車椅子を眺める。
「そう…これ学校の備品なのね」
「そうなんだーまた返しに行かないとだね〜」
結月は溜息を吐きながら彼女を家に届けた後車椅子を返す算段を考えているのだろう。そして霞流はいつもの事なのだろう若干自虐を込めて笑いながらそう言った。
「まあ、段ボールに入れて学校に送りましょう。その方が楽だわ…」
「それがいいねぇ」
霞流は結月がボソッと行った事に賛成すると「あなたは加減というものを知りなさいと」一蹴される。
「では明さん、また」
「バイバイー明‼︎」
「あ,はい。また今度?」
「そう言えば事件を調べているみたいね…最近の事では無く昔の事件も調べなさい」
「え?それはどう…あれ?」
挨拶を終え彼女が私に背中を向けたタイミングでボソッと何かを呟いたと思った瞬間に彼女の幻想なのか一瞬にして姿が消え、駅前には私がただ1人残されたのだった。
…いったい何がどうなっているのやら。
「いやー悪いね!まさか美術課題の提出日が今日だったなんてすっかり忘れてたよ!」
「全く、私まで騙されちゃって酷い目にあったよ…ごめんね夢乃さん」
学校に戻り屋上へ向かうと2人がすでに待機しており私を見るや謝罪を始めてくる。
「全く2人は…」
「まあまあ、終わってしまった事を気にしてもしょうがないよね。話を切り替えて本題に行こう」
私が少しイラついている事を察したのか、蒼が慌てて話題を変えてくる。
「それじゃあさっきのホログラムを見て各々が思っている事を話さない?」
要するに認識のすり合わせ。3人集まれば文殊の知恵と言う様に人間の思考にも十人十色様々な考えがあるので意見を出し合うことで答えを導き出せるかもしれないのだ。
「そうだね、私は何にも分からなかった‼︎」
「ごめんさい、黒い手に女の子が引っ張られていたのは分かったけど、他には…最初は髪型とかも考えたけどみんなキャップを被ってるから同じだし、目つきもゴーグルで見えないし…」
「そうだよね…私も何となくだけど共通点で旧型の水着を着ている気がする」
「あーそうだっけな?でも確かに言われてみればそんな気がする」
ホログラムで見た女子生徒は皆旧式の水着を着ており、選別したので偏りはあると思うが体の線が細い子が選ばれている気がするのだ。
であれば何か襲う対象に偏りが存在することになり、そのベースとなる何か意思の様なものが存在する事になる。
…それが後天的に意思を取得したのであったなら話は別になっちゃうんだけどね。
「問題はそれがどういう意味を持つかだよね?旧式の水着を着た子を狙うなんて今回の幻影は…変態なのかな?」
「そんな訳あるか‼︎あーあ、何時もみたいに攻撃的だったら対処が楽だったのにな」
「やっぱり今回の相手は珍しい感じ?」
「そうだねー、待ち伏せ型はそれなりに居るけどここまで閉じこもっている奴は初めてかな?もし今回がいつもの幻影だったらプールに潜って幻界こじ開けてボコボコさ‼︎」
「こら!危ないからやめなさい‼︎」
ブンブンと蒼は調子良く拳を繰り出したが、不運にもそれが翠の頬を掠めてしまい止めるよう彼女に怒られる。通常は美術室の様に攻撃的らしいが、たまに大人しい個体もいるようだ。
そして、やはり今回みたいに閉じこもっているのが稀である以上何かしらの特別がある様な気がしてくる。
「私はちょっと調べたいことがあるから協力して」
「あいよーって言いたいけど私もやりたい事があるんだ、何かあったら電話してね。前にダーツした所に居るからさ」
「ごめんねあんまり役に立てなくて」
どうやら蒼は何か閃いたようで翠を連れてそそくさとどこかへ行ってしまった。
もしかして私が仕切ろうとした事に腹を立ててたりしないよね、と不安に駆られるが気にしても今更どうにもならないと自分に言い聞かせ、今は自分のやるべき事をやろうと心を入れ替える。
その後市の図書館に入り過去の記事を漁っていく。
あの時結月が言った事がどうしても気になってしまう、彼女は過去を調べろと言うのだが過去の新聞を調べてもこの学校の記事は何処にも載っていなかった。
もしかしたら何処かに載っているのかもしれなかったが、何せいつの記事なのか分からない以上何処までも続くバックナンバーに集中力が途切れ途切れになってしまうのだ。
「よう、調べ物か?精が出るな」
「あ、秋空先輩」
新聞を出してはしまってを繰り返している為目立ってしまったのか、手持ちを見る限り新しく入荷された本を借りにきたであろう先輩に遭遇する。
「いったい何を調べてんだ?ちょうど暇だから手伝ってやるよ」
「え?うそ…」
「何信じらんねもの見る顔でこっち見てやがんだ、流石の俺だって後輩の手伝いくらいするぞ」
あまりの事につい驚いた表情をしてしまい、それを先輩に咎められたが、流石に今までの言動からそれは無理があるなと思う。
「はあ…まあいいや、それで?いったい何を調べてやがる」
「それがですね…」
場所を変えた方がいいかと思ったが、周囲では子供の絵本の読み聞かせをやっており奥様方の喋り声が聞こえる事から小声なら喋っても大丈夫だろうと思い、仮に聞かれてもゲームの話くらいにしか思われないだろうと今までの経緯を説明し。過去の記事を探していることを伝えた。
「なるほどな…意外に考えてんだな」
「失礼ですよ先輩」
「悪い悪い、それよりも昔の事件か…本部に行けば何か事件の記録があるかもしれないな」
「どう言う事ですか?」
「幻想からみの事件は一般には明かされないで秘密裏に処理される場合が多い、だけど何かあった時に参照できる様に記録だけは本部に残す事になっている」
「これから本部ですか…」
腕時計を見ると時間はすでに閉館時間手前である七時手前を示しており、これから本部に行き手続きをした後閲覧し報告書を書くとなるとかなりの時間がかかってしまう。
「分かりました…今から行きますので先輩は連絡お願いします」
背に腹は変えられない、蒼が別行動で動いている以上何の成果も得られない事はあってはならないのだ。
「馬鹿かお前は…入りたての新入りが情報室に入れる訳ないだろ。俺が代わりに行ってやるよ、ちょうどあの人に報告することもあるしな」
「え?時間とか大丈夫なんですか?」
「まあ、大丈夫だろ幻想で飛ばせばそんなに時間は掛からなねぇ」
「え?幻想って現実には干渉できないんじゃないんですか?」
先輩の言葉が頭に引っかかる、幻想は周囲の認識に干渉するもので精神に影響を与える事は出来ても、現実には何も影響を与えない事が原則だった気がする。
「あぁ…そうだったお前には何にも説明してなかったんだったな、幻想にも例外がいてな条件があるが世界に干渉できる奴もいるんだ」
「えぇ⁉︎何ですかその反則的な能力は⁉︎」
「まあ、そいつは世界系って言われてな…ってもう時間か、それじゃあ何か目ぼしい情報があったらメッセージ送るわ」
「あ、はい!よろしくお願いします」
「じゃあな」
話に夢中になり気づけば蛍の光が流れていた。
流石にこれ以上は長居できないなと先輩は頭を掻きながら少し面倒くさそうに出口へと向かい、何か結界みたいなものを展開していたのか周囲の喋り声の音量が上がった気がした。
きっと会話が外部の人に聞こえない様に配慮してくれたのだろう。
どうせ聞かれても外部の人間には分からないだろうと思っていた私の考えは甘く、今回は色々と先輩に助けられた様だった。
外に出ると先輩の姿は既に無く空は真っ黒になり、そろそろスーパーに行かなくては半額惣菜が売り切れてしまうと思い急いで帰宅し夕食代を回収する。
家に戻ると家族たちは既に食事を済ませてリビングで寛いでおり、そこで変に私が入ると空気が悪くなってしまうので幻覚を纏い気配を消しながら食費を回収する。
幻想を使える様になって家族と変に出くわす事がなくなり、ある意味これがいちばんの恩恵じゃないのかと思っているところもなくはない。
ただ体力的なことを考えると家にいる間中常に使えるわけでは無いので、少しずつ時と場合と状況を考えてセーブしていかないと何かあった時に対応できなくなってしまう。
後、隠れすぎて居なくなったと思われてトラブルになるのも嫌なので、小さめだが音は出しておかないといけないと思い玄関を出る際には幻纏を解除してスーパーへと向かった。
買い物を終え食事を済ませると携帯にメッセージが届いており、内容を確認すると先輩からの報告だった。
何処まで仕事が早いんだ、と思いながら内容を確認する。
報告の後過去にあの学校で起きた事件について調べみたが、数年昔に生徒が溺死した事件があったらしい。
学年はお前より一つ上の二年で放課後に立ち入り禁止のプールに入りふざけていたのか溺死し、職員が朝の水質管理をする際に発見されたそうだ。
それ以上の情報は特に書かれていなかったが、この事件どうもきな臭い。何かまだありそうな気がする。
何も分からなそうだが、別の経路で調べて何かわかったらまた連絡する。
成る程、やはり何かあったのかと思い先輩にお礼のメッセージを送る。
あの先輩が何かあると言うのであればきっと何か隠された情報があるのだろう。
だが、いったい何を隠しているのかはおおよそ分からなくもない、多分いじめだ。考えるまでもなく被害者Aはいじめに遭いプールに突き落とされ溺れているところを笑われ放置されたのだろう。
そしてAは途中で足が攣ったか元々怪我をしていたのかそれとも落とされた際に足を捻ったのか、理由は何にせよ自力でプールサイドに上がる事が出来ずに力尽きた。
何にせよ学校側は批判されることを恐れいじめについては知ってか知らずか事件を隠蔽したのだろう。だから先輩の言う様に何かが隠されているように感じるのそのためだ。
だとすれば、この件の犯人はその溺死事件の少女と言う事になるが、死んだ人間がどうやって生徒らを溺れさせているのだろう。
死んだ人間が幻影になる例は聞いた事がない、仮そうであれば心霊スポットにいる幽霊の殆どは幻影で駆除されず放置されていることになってしまう…まあ私が知らないだけかもしれないが。
まあ、とりあえず何も情報が無い以上その線をベースにしてこの件を解決するしかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます