第11話 辺境伯との危ない遊び
フィニース
いくつも引き出しが並んでいる棚の前に立ち、引き出しを次々と開けては閉めていく。
最後の引き出しを閉めたとき、ガタッと音がした。
そして、辺境伯が棚を動かすと、向こう側にもう一つ部屋があるのが見えた。
「これは、父の書斎と同じ仕掛けですわ」
アレグリアは驚いてつぶやく。
「そうでしょうとも。私の
秘密の宝物、という言葉を聞いて、アレグリアには中に何があるのか理解した。
「辺境伯様。もしかすると、持っていてはいけないものをお持ちなのでは?」
アレグリアの言葉を聞いて、フィニース辺境伯はにやりと笑う。
「アレグリア様のおっしゃる通りです。さぁ、中へ入りましょう」
フィニース辺境伯に
「アレグリア様の予想通り、これは全て
フィニース辺境伯は魔石具の明かりをつけながら言う。
「魔導書がネーレンディアで
フィニース辺境伯は残念そうにため息をつく。
「その点、アレグリア様は魔導書の価値をご存じだと、
部屋中にある魔導書を見て目を
「これが全て魔導書なのですか?なんて素晴らしいのでしょう」
「ふふ、アレグリア様をこちらへご案内した
フィニース辺境伯は、机の上から、ほこりまみれの本を取る。手で
「それは私の
「まあ、そのように貴重なものをいただくわけには参りませんわ」
「いいんですよ。この本もアレグリア様に使ってもらえれば本望でしょう。アレグリア様ならたやすくこれを読めるでしょうし、上手く使いこなすことができれば、きっとこの先、アレグリア様の助けになりますよ」
「わたくしの助けに…?それは一体どういう意味でしょう」
「文を読み上げてみると、何か良いことが起きるかもしれませんよ。今から試してみますか?」
フィニース辺境伯は、にやりと笑って片目をつぶった。
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