第8話 父と娘の秘密
「だが、そなたの母は、そなたを思って
「無論わかっております」
「その上、彼女はネーレンディア王女の生まれで、魔法に対する
「無論覚えております。わたくしがお父様の
「驚いたのは私の方だ。あの秘密の部屋を、まさかローズが、そしてアレグリアが発見してしまうとはなぁ。
アレグリアは、ローズの後をつけて、秘密の部屋を知ったときのことを思い出す。
ローズは
その後を
そして、戸口があるのと向い合せの壁にある、背の低い棚に向かった。
棚の引き出しをローズは次々に開けていき、ガタッと大きな音がした後、その棚を動かした。
すると、今まで棚があった部分にぽっかりと穴が開いていて、ローズはその中に入って行った。
アレグリアは何度もローズの後をつけて棚の動かし方を覚え、ついに秘密の部屋へ入ることができたのだ。
それからはアレグリアも秘密の部屋に出入りするようになり、薄暗い部屋の壁や床にぎっしりと
秘密の部屋でうっかりローズと
しかし、そのころにはアレグリアはすっかり魔法に
「成長してネーレンディア王国の
「お前の言う通りだ。あの時は本当に大変だったよ」
言葉とは
「お前の母上は
「お父様はどうやって魔導書を集めていたのですか?」
「
公爵は目を閉じ、大きく息を吐いた。目を開け、真剣な顔でアレグリアを見つめる。
「どうしてもラルカンスに行くと言うのなら、決してこの国の人間に知られないことが条件だ。お前がラルカンスの魔法学校に通っていることが知られれば、お前だけでなく、このディアマンテ家の
「わかりました。慎重に行動するようにいたします」
アレグリアにとって、社交界での自分の立場よりも、魔法を学ぶことの方がずっと有意義だった。
しかし、アレグリアが魔法に
父や弟のことを考えれば、
公爵は満足したように頷いた。
「よろしい。辺境伯の伝手で、平民として
アレグリアは公爵に向かってにっこりと
「お母さまが燃やしてしまったものよりも、ずっと貴重な魔導書を持って帰りますわ」
「目立ってはいけないと言っているのに。まったく困った子だ」
苦笑した公爵は、呆れているはずなのに、どこか楽しげな顔をしていた。
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