第7話 公爵の説得
ローズとベルディが去り、部屋のドアが閉まった。
「…さて、アレグリア。落ち着いて話をしようじゃないか」
アレグリアは公爵の視線を受け止め、
アレグリアが目的を果たすためには、まず公爵を
「…はい、お父様」
「アレグリア、私がなぜお前の言葉を重く受け止めているのか、
「はい、お父様。我々、ネーレンディアの国民は精霊を敬い、精霊を
「その通りだ。ネーレンディアでは魔法は
「はい。ラルカンスでは、反対に魔法が発達しています」
「そうだね。ラルカンスでは、魔法は精霊の
「はい、存じ上げております」
「それがわかっていて、
公爵は拳で机を叩きながら言う。
公爵は気が高ぶっている様子だが、アレグリアは恐がる様子もなく公爵を見つめている。
「私が反対する理由は二つだ。まず、
「その数少ない交易を担う
「行くことはできるだろうが、その先が問題なのだ。反対するもう一つの理由は、アレグリアがこの国での
「アルフォード
「そのようなことはない。私がアレグリアの元に駆けつけるのが遅くなってしまったのは、事の
公爵は、両手でそっとアレグリアの手を包む。
「陛下が謝罪してくだされば、お前に
「お父様…」
アレグリアは公爵の両手からそっと手を引き抜いた。
「王太子殿下の
「アレグリア!私はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ!」
公爵は
「お前は、貴族の娘としての義務を放棄するのか?お前は生まれたときから
「お父様」
アレグリアも静かに立ち上がり、まっすぐに公爵の目を見つめる。
「わたくしは、その
「アレグリア…」
公爵は言葉を失い、悲しげにアレグリアを見つめる。
「そうだな…。王太子の…、王太子殿下のやり方は、あんまりだ。お前の言う通りだよ。…ラルカンスに行けば、お前は幸せになれると言うのか?」
「はい。必ずなれますわ。それがわたくしの願いですもの」
アレグリアは自信に満ちた様子で答える。
「殿下の婚約者になってから、わたくしは本当の願いを押し殺して生きてきました。本当のわたくしは、ずっと魔法に
「魔導書を燃やされたあの日、お前は声を枯らして泣いていたな」
公爵は遠い目をしてぽつりと言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます