第6話 公爵とアレグリアの夢
扉を勢いよく開け、アレグリアの部屋に入ってきたのは
「ああ、
公爵は心の底から悲しそうな顔で、両手を広げながらアレグリアに近づいて来た。
「もう、お
立ち上がって公爵を迎えたアレグリアは、全身で公爵からの
公爵の
知っているが、公爵は強い力でアレグリアを抱きしめるので、アレグリアにとっては少し苦しい。
「
「お、お父様、わたくしは案外大丈夫ですわ。落ち着いてくださいませ」
「おお、なんと
公爵は落ち着くどころか、さらに強い力でアレグリアをしめつける。
アレグリアが流石に苦しすぎると思った時、幼い声が下から聞こえてきた。
「お姉さま、大丈夫ですか?」
公爵が我に返ったように力を緩めたので、アレグリアはほっとした。
下を向くと、小さな弟、ベルディが、大きな
「まぁ、ベルディ、来てくれたのね」
「お姉さまが悲しい目にあったからなぐさめに行こうと、お父さまに言われて来ました」
「優しいのね、ありがとう」
アレグリアは
背中に回された小さな手が、とても可愛らしい。
「すまない、ベルディを連れてきたことをすっかり
「お父様、心配してくださって嬉しいですが、力いっぱい抱き締められたら苦しいですわ」
「ついつい力が入ってしまったんだ。許しておくれ」
「いいですわ、許して差し上げます。その代わり、お父様にお願いがございます」
「お願い?」
公爵は突然の言葉に驚き、アレグリアをまじまじと見る。
そんな父に、アレグリアは
「ええ、
「それは内容次第というものだ。お前のお
公爵はため息をついて首を振る。
公爵がすんなり許可してくれなかったのは残念だが、アレグリアにとって
一国の
「で、お願いというのは何かな?この父に言ってごらん」
「わたくしを、ラルカンス王国の
「ラルカンス王国の、魔法学校…?」
公爵は
アレグリアの後ろに控えていたローズも驚いた様子で、二人は思わず顔を見合わせた。
ベルディは
「そんなところへ行って、どうすると言うのだ?」
「魔法を学んで、大切な友人を探したいのですわ」
「魔法を学ぶだと…?なぜお前はそうも
公爵は疲れたように
ローズも困った顔をしている。
そんな大人たちを見上げて、ベルディは状況を飲み込めない様子で言った。
「お姉さま、どこか遠くへ行ってしまうのですか?ラルカンスって、どこですか?」
「ベルディ、ラルカンスというのはお
「お姉さまがどこかへ行ってしまうなんて、僕はいやです」
ベルディは床に座り込み、大きな声で泣き出してしまった。
アレグリアはしゃがんでベルディの頭をなでるが、ベルディが泣き止む様子はない。
公爵は
「ローズ、ベルディを連れて行って寝かせてやりなさい」
公爵の命令にローズはお
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます