第一話:鉄人無双
この事態を解決すべく、国と国が互いに力を合わせるために国同士を併合し、一つの大帝国を築き、技術力を集中させ、生産力を高める「帝国主義計画」が世界各地で実行された。
それにより、ヨーロッパの中心国と併合した「ユーロ統一帝国」、北欧とロシアが併合した「ノースランド大帝国」、中国などのアジア諸国が併合した「中亜連合帝国」、紛争をやめたアフリカ全土が併合した「全アフリカ同盟帝国」、南北アメリカが併合した「南北統一アメリカ合衆帝国」ら五大帝国が生まれた。
しかし、この四大帝国の出現により、世界の軍事力バランスが崩壊し、緊迫とした臨戦態勢が世界を包んだ。さらに、世界情勢の中心である「南北統一アメリカ合衆帝国」の首都が謎の爆発によって、人民もろとも消滅し、国家システムを機能不全させ、弱体化。その結果、各国の監視状態のタガが外れ、残る四大帝国は戦争意欲を爆発し、「
それから数十年後の
世界が崩壊しても、今さら和平を結べなくなるほど政治情勢が崩落し、無駄な争いが続いた。他国への憎しみ、戦争への強迫観念が入り混じる中、兵士は地獄さえも滅ぼそうとするかのように未来を見失った。
オーストラリア独立国、
そこにユーロ統一帝国の残党であるZU―1番地が物資や資源の強奪という海賊行動で攻めていた。
ギルバードにいる40万の兵士と比べ、ZU―1番地の部隊人数は5万ほどである。しかも、守る側の方が武器や軍備も整っているのに対し、攻める側の方は帝国自体が崩壊したため、古い武器の使い回しと、圧倒的不利な状況だった。
故に、戦場の入り口である軍事都市の鋼鉄の巨扉防衛線では旧式の
その時、スモッグの空と枯れた海の大地の間に弾丸のごとく銀色の何かが戦場に向かって、飛翔している。この世界に生きている鳥や活動できるジェット機がないはずなのに。
≪
戦場の上空に着いた何かが荒れる兵士たちの粗い群雄割拠を目視するや否や、最前線のど真ん中に電源が切れたかのように頭から落ちていった。
≪
その姿は両翼の仮面を持つ面構え、鎧のように包まれる胸、
その異形を見た兵士たちは敵味方問わず誰もが静止した。人形が落ちるが如く壊れるのではと。その不安がよぎるかのように鉄人の頭と地面はわずかな差になった時、反重力を身体全身のジェットを身に纏い、低空でひっくり返り、着地する
兵士たちは皆、鉄人の姿に息飲んだ瞬間、それは動き出した。
≪前方に敵を
身を前に出し、右手から
「かはぁ!?」
ギルバードの兵士たちは後悔した。息を呑む暇をあの異形を打ち抜くに使いたいと。そう思い立ち、
しかし、その弾丸となった光線の光速よりも先に鉄人は避け、
「がっ!?」
狙撃者の首を刎ねては殺し、
「うぐっ!?」
近くにいた兵士の心臓を貫いては殺し、
「ぎゃあ!?」
さらに近くにいる兵士の胴を真っ二つに切り裂いては永遠に殺し続けた。
「前方、未確認兵器確認。」
「砲撃、よーー……」
そんな異形に戦車が攻め込むが、超高速飛行により、すぐさま車体の前に来た鉄人が
「未確認兵器が接近……」
「やっ、やめ……」
「あっ、ああ……あああああああああああ!」
殺される標的たちは悲鳴を上げては逃げて、捕まえられては殺される。その光景を上空のあるドローンが監視していた。
味方であるはずのZU―1番地の兵士たちも戦慄した。この鉄人には誰にも勝てないと敵味方が思う。
すると、ZU―1番地の兵士たちの無線通信機から報告が入った。
『ZU―1番地全部隊に告ぐ。今、目の前にいる未確認兵器は我々の所有物だ。故にその兵器に続き、敵兵を殲滅しろ。』
その指令を聞いて安心したZU―1番地の兵士たちは我らが兵器であるという鉄人を無理矢理信じ込み、ギルバード軍事都市へと強行突破した。
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